北野誠が大変なことになっている。というよりも北野誠がパーソナリティを勤めていたラジオ「サイキック青年団」の突然の終了~全面降板~謹慎という一連の出来事をめぐって、2ちゃんねるを中心にさまざまな憶測と陰謀説が飛び交い、それはまさに「都市伝説」の誕生を思わせるような事態となっているのだ。何故、ここまで北野誠事件が盛り上がったのか、都市伝説化へと誘ったものは何なのだろうか。
北野誠、芸能活動休止…ラジオで不適切発言 - 芸能 - SANSPO.COM
J-CASTニュース : 北野誠「不適切発言」の中身とは ネットで様々な憶測広がる
【盛り上がりを生み出した土壌】
そもそも関西以外で問題となった「誠のサイキック青年団」という番組はどんな内容だったのか。wikiから引用すると「パーソナリティの北野誠と竹内義和が、世相から芸能、政治、経済、下ネタに至るまで幅広い分野の"濃い"話題を取り上げトークを展開する大阪のラジオ番組。深夜だからこそ言える、大阪だからこそ言える本音トークが特徴」とのこと。
僕も高校から大学の頃までよく聞いていたから知っているが、裏ネタ・噂を決めウチで話す虚実ない交ぜの「はまる」人にははまる番組だ(ちなみに「パトレイバー劇場版」を知ったのはこの番組)。そんなこともあって、サイキッカーと呼ばれる熱狂的なリスナーからすると、ここで話されたネタは全てを真実だとは思っていないものの、その「虚」を楽しむという習性から「陰謀説」のようなものは大いに盛り上がるタイプが多い。
そんな中で、本来なら3月末にイベントを行い20年にわたる番組が終了するという予定が、突如、3月8日の放送をもって終了となる。しかも3月8日の放送では北野誠が泣きながらイベント中止の告知をし(この時点では番組が最後になるとの案内はなかったようだ)、翌週の放送日にいきなり番組が打ち切られていたという。
この異常事態がまずリスナーを中心に陰謀説を受け入れる土壌を作り出していたのだろう。
とはいえ、これらの事情はあくまで関西の一部ラジオのリスナーが中心だ。東京で冠番組を持っているわけでもないタレント・北野誠の全レギュラー降板というニュースで何故、ここまでネットが盛り上がったのか。
まずこのニュースの異常性があげられるだろう。特定の番組の降板ということであればこれまでもいろんな例があるが、「全番組降板(=廃業?)」「不適切な発言があったということ以外の理由が明示されない」というのは例がない。ここで「何があったのか」「何故、(理由が)言えないのか」「どんな発言だったのか」と関心が高まりやすいネタになってしまったのだ。
しかも「関西でしか聞けない」「(何かはわからないけど)やばいネタをいっぱい話していたらしい」「問題発言が多すぎてどのネタかわからない」など、実際にラジオを聞いていないインターネットユーザーにとっては、「想像力が掻き立てられる」ような話ばかりが漏れ伝わってくる。
また2ちゃんねるを中心に、「マスゴミ」に対しての不信感(テレビは権力を持っている側にとって不都合なニュースは伝えない、特定の層の圧力を受けている)が存在しており、今回のニュースもそうした不信感から煽り立てたといえるだろう。
こうした土壌をもとに「北野誠事件」は「謎解き」の様相を帯び盛り上がっていくことになるのだが、今回の件であえて「都市伝説」と書いたのはここからが凄いからだ。
【謎のメッセージと妄想の物語】
ここからネット上ではいくつかの断片的な事実(とおぼしきこと)やそれにまつわる憶測があふれることになる。
1)自民党(政府)陰謀説
・過去のイベントの中で「某タレントHは首相の愛人だ」と発言した。
・実質最終回となった放送で、浅田美代子の「わたしの宵待草」がかかったが、何かメッセージがあるに違いない
・麻生太郎は「宵待草」というバーが行きつけだ
深刻な内容の放送にも関わらずその流れを無視するかのようにかかった「わたしの宵待草」という曲。これは北野誠と竹内義和が放送ではしゃべれなかった「敵」の正体を僕ら(サイキッカー)に伝えようとしたからに違いない、そう考えたリスナーたちはここに、「自民党陰謀説」を見出すことになる。
2)某宗教団体S陰謀説
これは、北野誠が過去にCBCラジオで某宗教団体への批判ともとれる発言をしたところ、CMが入り、CM明けに「不適切な発言がありお詫びします」とアナウンサーが謝罪をしたという事実をもとに、そもそもS学会嫌いが2ちゃんねらーの支持を得て、S学会陰謀説へと繋がることになる。
しかも盟友・竹内義和がサイキック青年団終了後のブログの中で「そうか、そうか!」というタイトルのエントリーを行っていることが発覚。これが今回の事件の首謀者を暗示しているに違いないとして、一気にS学会陰謀説が盛り上がることに。もっともこのタイトルにそういった意味がないことを竹内氏がコメントしたことでこの説は収束していくことになる。
3)B事務所陰謀説
そもそも2ちゃんねらーの間ではB系と呼ばれる芸能事務所が芸能界や放送局を支配しているという「B事務所陰謀説」というのが根強くある。今回の事件についても、こんな圧力をかけられるのはB事務所しかないという憶測があり、それにまつわる事実とも噂ともつかない書き込みがそれを補強していくことになる。
・B事務所のS社長はやくざ(でホモだ)と発言した
・人気タレントFJとJTの離婚はB事務所の陰謀だと発言した
・B事務所が支配する音事協(日本音楽事業者協会)からの圧力があった
などなど
更に、朝日放送のアナウンサーがmixiの中で、「(音事協からの圧力を認めた上で)今回の事情はとてもじゃないが誰にも言えない。松竹芸能(北野誠が所属する事務所)自身も相当やばいことになる」といった内容の日記がありそれが削除された、という書き込みがありそのことがB事務所陰謀説を加速させることとなった。
そしてとどめとも言うべきものが、桂ざこばがラジオ放送内で「北野誠、がんばれよ!」「何を言うたんや」「バーニング」などと発言し、これがB事務所陰謀説へと決定付けることとなった。
他にも、「サイキック青年団」終了後の竹内氏のブログに「焼肉」の写真があり、前述の「浅田」美代子の曲とあわせて、利権とも関係が噂される食肉卸売業者HとB系事務所とのつながりを暴露したためにB事務所が怒ったとか、同時期に設立の発表があった「映像コンテンツ権利処理機構(仮称)」の利権化を目論んだB事務所が、同機構への参加に積極的でない関係者に対しての「見せしめ」が目的だったなど、その背景についてもさまざまな憶測を呼ぶことになる。
まぁ、真偽のほどは別として、村西とおるの参戦などもあって、ネット上では「B事務所」の圧力があったということで謎解きは収束に向かいつつある。
それにしても今回、その事実関係が不自然なほどネットに漏れ伝わらなかったこともあり、ちょっとしたキーワードとそれに基づく想像(妄想)によってさまざまな陰謀説があふれることとなった。陰謀説を唱える人たちは、「浅田美代子の宵待草」「ブログの写真」「ブログのタイトル」など全く関係のない断片に、物語性を持たせ、陰謀説を作り上げていったのだ。
こうして北野誠事件は物語を誘ういくつかの「キーワード」と「想像力(妄想)」によってある種の都市伝説のようにさまざまな形で語られたわけだけれど、ネット時代の宿命だろうか、かっての都市伝説に比べてその賞味期間は非常に短い。竹内氏による否定コメントや桂ざこばの発言があったとはいえ、その想像力に基づく「物語」はわずか一週間後には「B事務所批判」でしかなくなり、やがてB事務所の「物語」の1要素に還元してしまうのだ。
◇◇◇◇
2ちゃんねらーの中には、ネットラジオとして「サイキック青年団」を復活させればよいという意見も多々あった。個人的にはこうした番組こそネットの世界に向いていると思いつつも、あらゆる発言や内容が記録され流通してしまうネットでは、「北野誠」の名前でやるというのは難しいだろう。
インターネットの時代において、放送局が「サイキック青年団」のようなラジオ番組を行っていたこと、タレントを使ってこんな「過激な発言が許された」番組があったということ事態が、あるいは、都市伝説のようになってしまうのかもしれない。
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「誠のサイキック青年団」涙の最終回 #01 (2009年03月08日放送)
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そもそも関西以外で問題となった「誠のサイキック青年団」という番組はどんな内容だったのか。wikiから引用すると「パーソナリティの北野誠と竹内義和が、世相から芸能、政治、経済、下ネタに至るまで幅広い分野の"濃い"話題を取り上げトークを展開する大阪のラジオ番組。深夜だからこそ言える、大阪だからこそ言える本音トークが特徴」とのこと。
僕も高校から大学の頃までよく聞いていたから知っているが、裏ネタ・噂を決めウチで話す虚実ない交ぜの「はまる」人にははまる番組だ(ちなみに「パトレイバー劇場版」を知ったのはこの番組)。そんなこともあって、サイキッカーと呼ばれる熱狂的なリスナーからすると、ここで話されたネタは全てを真実だとは思っていないものの、その「虚」を楽しむという習性から「陰謀説」のようなものは大いに盛り上がるタイプが多い。
そんな中で、本来なら3月末にイベントを行い20年にわたる番組が終了するという予定が、突如、3月8日の放送をもって終了となる。しかも3月8日の放送では北野誠が泣きながらイベント中止の告知をし(この時点では番組が最後になるとの案内はなかったようだ)、翌週の放送日にいきなり番組が打ち切られていたという。
この異常事態がまずリスナーを中心に陰謀説を受け入れる土壌を作り出していたのだろう。
とはいえ、これらの事情はあくまで関西の一部ラジオのリスナーが中心だ。東京で冠番組を持っているわけでもないタレント・北野誠の全レギュラー降板というニュースで何故、ここまでネットが盛り上がったのか。
まずこのニュースの異常性があげられるだろう。特定の番組の降板ということであればこれまでもいろんな例があるが、「全番組降板(=廃業?)」「不適切な発言があったということ以外の理由が明示されない」というのは例がない。ここで「何があったのか」「何故、(理由が)言えないのか」「どんな発言だったのか」と関心が高まりやすいネタになってしまったのだ。
しかも「関西でしか聞けない」「(何かはわからないけど)やばいネタをいっぱい話していたらしい」「問題発言が多すぎてどのネタかわからない」など、実際にラジオを聞いていないインターネットユーザーにとっては、「想像力が掻き立てられる」ような話ばかりが漏れ伝わってくる。
また2ちゃんねるを中心に、「マスゴミ」に対しての不信感(テレビは権力を持っている側にとって不都合なニュースは伝えない、特定の層の圧力を受けている)が存在しており、今回のニュースもそうした不信感から煽り立てたといえるだろう。
こうした土壌をもとに「北野誠事件」は「謎解き」の様相を帯び盛り上がっていくことになるのだが、今回の件であえて「都市伝説」と書いたのはここからが凄いからだ。
【謎のメッセージと妄想の物語】
ここからネット上ではいくつかの断片的な事実(とおぼしきこと)やそれにまつわる憶測があふれることになる。
1)自民党(政府)陰謀説
・過去のイベントの中で「某タレントHは首相の愛人だ」と発言した。
・実質最終回となった放送で、浅田美代子の「わたしの宵待草」がかかったが、何かメッセージがあるに違いない
・麻生太郎は「宵待草」というバーが行きつけだ
深刻な内容の放送にも関わらずその流れを無視するかのようにかかった「わたしの宵待草」という曲。これは北野誠と竹内義和が放送ではしゃべれなかった「敵」の正体を僕ら(サイキッカー)に伝えようとしたからに違いない、そう考えたリスナーたちはここに、「自民党陰謀説」を見出すことになる。
2)某宗教団体S陰謀説
これは、北野誠が過去にCBCラジオで某宗教団体への批判ともとれる発言をしたところ、CMが入り、CM明けに「不適切な発言がありお詫びします」とアナウンサーが謝罪をしたという事実をもとに、そもそもS学会嫌いが2ちゃんねらーの支持を得て、S学会陰謀説へと繋がることになる。
しかも盟友・竹内義和がサイキック青年団終了後のブログの中で「そうか、そうか!」というタイトルのエントリーを行っていることが発覚。これが今回の事件の首謀者を暗示しているに違いないとして、一気にS学会陰謀説が盛り上がることに。もっともこのタイトルにそういった意味がないことを竹内氏がコメントしたことでこの説は収束していくことになる。
3)B事務所陰謀説
そもそも2ちゃんねらーの間ではB系と呼ばれる芸能事務所が芸能界や放送局を支配しているという「B事務所陰謀説」というのが根強くある。今回の事件についても、こんな圧力をかけられるのはB事務所しかないという憶測があり、それにまつわる事実とも噂ともつかない書き込みがそれを補強していくことになる。
・B事務所のS社長はやくざ(でホモだ)と発言した
・人気タレントFJとJTの離婚はB事務所の陰謀だと発言した
・B事務所が支配する音事協(日本音楽事業者協会)からの圧力があった
などなど
更に、朝日放送のアナウンサーがmixiの中で、「(音事協からの圧力を認めた上で)今回の事情はとてもじゃないが誰にも言えない。松竹芸能(北野誠が所属する事務所)自身も相当やばいことになる」といった内容の日記がありそれが削除された、という書き込みがありそのことがB事務所陰謀説を加速させることとなった。
そしてとどめとも言うべきものが、桂ざこばがラジオ放送内で「北野誠、がんばれよ!」「何を言うたんや」「バーニング」などと発言し、これがB事務所陰謀説へと決定付けることとなった。
他にも、「サイキック青年団」終了後の竹内氏のブログに「焼肉」の写真があり、前述の「浅田」美代子の曲とあわせて、利権とも関係が噂される食肉卸売業者HとB系事務所とのつながりを暴露したためにB事務所が怒ったとか、同時期に設立の発表があった「映像コンテンツ権利処理機構(仮称)」の利権化を目論んだB事務所が、同機構への参加に積極的でない関係者に対しての「見せしめ」が目的だったなど、その背景についてもさまざまな憶測を呼ぶことになる。
まぁ、真偽のほどは別として、村西とおるの参戦などもあって、ネット上では「B事務所」の圧力があったということで謎解きは収束に向かいつつある。
それにしても今回、その事実関係が不自然なほどネットに漏れ伝わらなかったこともあり、ちょっとしたキーワードとそれに基づく想像(妄想)によってさまざまな陰謀説があふれることとなった。陰謀説を唱える人たちは、「浅田美代子の宵待草」「ブログの写真」「ブログのタイトル」など全く関係のない断片に、物語性を持たせ、陰謀説を作り上げていったのだ。
こうして北野誠事件は物語を誘ういくつかの「キーワード」と「想像力(妄想)」によってある種の都市伝説のようにさまざまな形で語られたわけだけれど、ネット時代の宿命だろうか、かっての都市伝説に比べてその賞味期間は非常に短い。竹内氏による否定コメントや桂ざこばの発言があったとはいえ、その想像力に基づく「物語」はわずか一週間後には「B事務所批判」でしかなくなり、やがてB事務所の「物語」の1要素に還元してしまうのだ。
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2ちゃんねらーの中には、ネットラジオとして「サイキック青年団」を復活させればよいという意見も多々あった。個人的にはこうした番組こそネットの世界に向いていると思いつつも、あらゆる発言や内容が記録され流通してしまうネットでは、「北野誠」の名前でやるというのは難しいだろう。
インターネットの時代において、放送局が「サイキック青年団」のようなラジオ番組を行っていたこと、タレントを使ってこんな「過激な発言が許された」番組があったということ事態が、あるいは、都市伝説のようになってしまうのかもしれない。
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