ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

電気自動車の普及とガソリンスタンドの行く末

2012年03月18日 | ビジネス
日曜日、買い物に行く途中に、車のガソリンが少ないことからガソリンスタンドを探す。国道沿いであればともかく、ちょっと裏道を走っていたためか、開いているガソリンスタンドが意外と少ない。そう言われると、ガソリンスタンドの数自体が減ってきているような気がする。

ガソリンスタンドが減った理由としては、1)自動車の利用者の減少、2)セルフ型スタンドの増加にともなう競争の激化、3)エコカーの増加 といったことが挙げられるだろう。

このうち1)自動車の利用者の減少は自動車業界全体の問題。ただでさえ長期的には日本は急速な人口減少社会となる。利用者減は避けられない。これに加えて、最近の若い世代の自動車離れは深刻で、トヨタが自社の自動車の宣伝目的ではなく「自動車免許を取ろう!」キャンペーンのためにテレビCMをしなければならない時代だ。

2)セルフ型スタンドの増加は業界内の問題。ビジネスモデルが変われば勝者と敗者が生まれるのは資本主義の必然。結果的に、ローコストで運営できるセルフ型スタンドに席巻されて多くのスタンドが閉鎖もしくはセルフ型への切り替えへと追いやられていく。

これら2つの問題は、そうはいっても、既に見えている問題でもある。これに対して、3)エコカーの増加はこれから本格的に起こりうる問題。たしかにハイブリッド自動車の登場・普及は大きくガソリン需要を減らしたかもしれない。しかし今後、電気自動車が普及し始めるとさらに大きな問題になるだろう。それはそもそも「ガソリン」を必要としない社会の到来なのだから。

かといって、「ガソリン」の代わりに「電気」を販売すればいいという問題ではない。

当然、電気自動車も「充電」が必要なわけで、「充電スタンド」の普及は社会的インフラの1つとして整備していかなければならない課題だ。しかしこの「充電スタンド」とは「ガソリンスタンド」が代用できるできるものだろうか。否、「ガソリンスタンド」だけが代用できるものだろうか。

ガソリンの場合は危険物の取り扱いの免許の関係から提供できる人は限られるが、電気はすでに自宅へも供給されているものだ。「普通充電」であれば、100Vの普通のコンセントからも充電できる。最近のマンションなどでは電気自動車用のコンセントが用意されているものもあるし、深夜に充電すれば電気代も夜間割引が適応される。

また、スタンドに入ってガソリンを満タンにする際の所要時間は5分程度だが、電気自動車を充電するためには「急速充電器」を利用したとしても80%の充電に15分~30分程度必要となる。今までと同じようにちょっとスタンドに立ち寄って「充電」するとなると微妙な時間だ。

むしろ外出時に充電をするのであれば、ファミレスやGMS、マクドナルドといった外出先に「充電器」が設置されている方が便利だろう。

つまり電気自動車が本格的に普及する時代では、自動車に動力源を供給する事業に対して参入障壁が大きく低下し、他業種を含めた競合過多の市場となる。さらにガソリンスタンドは集約していくことが予想される。かってカメラ業界が経験したように「産業突然死」さえ考えられるのだ。

こうした状況は何もガソリンスタンドだけではない。電気自動車の普及は何もこれまでの自動車メーカーでなくとも自動車を製造できる時代を創りだす。もちろん「車を安全に効率良く走らせる」という点で、自動車メーカーに一日の長があることは間違いないが、仮に日立やパナソニックといった電気メーカーやベンチャー企業が参入することだって考えられる。

以前として自動車メーカーが中心で在り続けたとしても、これまでのような巨大な産業・莫大な収益を上げ続けられるわけではない。いずれにしろ「自動車産業」の大きな構造変革は訪れるのだろう。

これまでであればこのような大きな変化は半世紀に一度くらいだったのかもしれない。これからの時代、こうした「大きな変化」は2、30数年に1度、あるいはそれ以上に短いスパンで訪れるのだろう。

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