ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

ユングの8つの性格タイプと「愛情乞食」と「シジジィ」

2011年06月12日 | Weblog
ユングの性格分析の話を思い出したので、久しぶりに「性格タイプ診断」をやってみた。

ユング心理学、性格タイプ診断

先日の記事にも書いたように、ユングは性格を、関心というエネルキーの方向性から「外向的/内向的」の2つに分けた上で、機能という観点から「思考型/感情型」(合理的機能)、「感覚型/直感型」(非合理的機能)の4つとをかけ合わせた8つの類型に分けている。

ただしこれらのどれか1つに当てはまるというわけではない。いずれの人もこの8つの機能を持っているが、発達しているものと未発達なものか存在するのが一般的である。発達している機能を「主機能」、未発達な機能を「劣等機能」と呼ぶ。

8つのタイプは以下とおり。

1)外向的思考タイプ
2)内向的思考タイプ
3)外向的感情タイプ
4)内向的感情タイプ
5)外向的感覚タイプ
6)内向的感覚タイプ
7)外向的直感タイプ
8)内向的直感タイプ


1)外向的思考タイプ

このタイプは、関心が外部の様々な事象・知識・情報に向かっており、それらをうまく整理、活用できるタイプ。現実社会での処理能力が高く、行動力もある。複雑な問題も大事なポイントをすぐに発見して、一刀両断、重要な意見を言えるようなタイプ。そういった意味では社会的エリートに多いタイプ。

もちろん弱点もある。思考タイプは概して感情タイプが劣等機能となることが多い。特に外向的思考タイプは、知識や情報の整理は得意だけれど、自分の言葉で意見や感想を語ることが苦手だ。内向的感情タイプが正反対となる。

2)内向的思考タイプ

内向的思考タイプは関心が自身の内側に向かっており、自分独特の考え方を打ち立てるタイプ。現実的なことよりも、抽象的な問題を考えることに関心は行きやすく、「理想」「理念」を打ち立てるタイプでもある。冷淡・我儘・傍若無人な印象を与え誤解されがちだが、基本的には誠実で穏やかなタイプ。

感情面が劣等機能で、普段は愛想がないのにいったん親しくなると「雌ライオンが幼児にじゃれ付くよう」に的はずれな愛情を示すことになる。正反対のタイプは「外向的感情タイプ」。

3)外向的感情タイプ

「外向的感情タイプ」は他人の感情を読み取り、それに自分の感情を合わせるのが得意なタイプ。社交的であり、誰とでも気軽につきあうから友人も多い。自分のことよりも他人のことを喜ばせるのが好きで、そのためには多少の犠牲も厭わない。組織の潤滑油役としてはぴったりだ。

表面ではいつも感じがよいが、時に非常に他者に対して批判的になり、しかもそのことに自身が気づいていない。また周囲の状況に合わせるのが得意なために自身で考えることが苦手でもある。

このタイプは独りでいることが苦手で、1人でいると弱点でもある「内面的思考」によって自身を否定的に考えたり、自虐的な思考に囚われたりする。正反対のタイプは「内面的思考タイプ」

4)内向的感情タイプ

「内向的感情タイプ」は、同様に豊かで激しい感情をもち同時にそのコントロールに長けているものの、なかなか表面には出てこない。このタイプは心のなかにはっきりと判断基準をもっており、それと関係のない人たちを無視してしまう。その反面、もの静かでどこか神秘的な印象を与えたり、クールで何事にも動じない、さりげなく優しいといったイメージを与える。

このタイプは一言で言うと「ツンデレ」。近寄れば近寄るほど冷たくされ(たように感じられる)、逆に本人が親しくなろうとすればするほど、ひどい態度をとったりする。心と態度が一致しないのだ。正反対のタイプは「外向的思考タイプ」。

5)外向的感覚タイプ

このタイプは5感を使うことに長けていて、現実のものを身体的な感覚で捉えることが得意なタイプ。例えば部屋に入ると、誰がどんな服をきていて、誰と誰が話をしていた…といったことを瞬時に把握する。彼らは感情もあまりなく、考えることもしない。直感も想像の飛躍にしか感じられない。彼らは現実を愉しむことに長けているが、時にはそうした快楽主義が行き過ぎて神秘主義や新興宗教、オカルトめいたものに惹かれることがある。

このタイプの弱点は「直感」であり、正反対のタイプは「内向的直感タイプ」。

6)内向的感覚タイプ

「内向的感覚タイプ」も感覚を使うことに長けているが、その印象を自身の中にゆっくりと吸収していくため、外見からはどう感じているのかうかがい知れない。また吸収された内容は主観的な印象が加わるために、現実のものとは一致しないことも多い。非常にイメージ豊かで、空想好きであり、神話的な世界に住んでいるような感じでもあり、何気ない日常の中でも満足できるタイプでもある。

苦手なものは「直感」であり、周囲のものに対して否定的な直感として受け取りがちだ。正反対のタイプは外向的直感タイプ。

7)外向的直感タイプ

感覚タイプが現実の要素を捉えることが得意なのにたいし、直感タイプは物事の「可能性」を捉えることが得意だ。「外向的直感タイプ」というのは、そうした無意識から与えられる「勘」や「閃き」を活用し、商売運が強く、株・投機やギャンブル、ジャーナリストなど将来動向を予測する職業に向いている。

このタイプの人は常に新しいものにチャレンジをしたがるために、1つの物事をなしえることが苦手だ。すぐに飽きてしまうのだ。また主義や主張、感情による価値判断とは無縁であり、才能を嗅ぎ分ける能力には長けているものの、自分で何かを創造することはできない。

劣等機能は「感覚」で、内向的感覚タイプが正反対となる。


8)内向的直感タイプ

「8)内向的直感タイプ」もカンはいいのだけれど、それが外部ではなく自身の内側に向けられる。そのためシューマンや預言者などにみられるタイプである。倫理や道徳はあまり関係がなく、彼らの内向的直感は集合的無意識の領域と結びついているために、彼らが語る言葉は主観的であり、象徴的であり、他人から合理的に理解することは難しい。社会から認められていない天才や埋もれた大人物、馬鹿か利口かわからないような変人といった人が多い。

彼らの弱点は身体的な感覚であって、性的なことが苦手でもある。正反対となるのは外向的感覚タイプである。


で、僕の性格分析の結果はというと、

・外向的思考タイプ:8
・内向的思考タイプ:8
・内向的感情タイプ:7
・内向的感覚タイプ:7
・内向的直感タイプ:3

といった感じで、全体的には「内向的」な傾向が強く、思考、感情、感覚がバランスよく特典している。でも特筆すべきは

・外向的感情タイプ:-6

「外向的感情タイプ」というのは他人の感情を読み取り、それに自分の感情を合わせるのが得意な…おいおい、これでも一応「営業」職なんだけど、これでやっていけるのか?! 

そういえば、同じ職場のスタッフが「……さんは感情の起伏があまりないというか、感情が『ない』という感じですね」と言ってたっけ。いやいや、そうじゃないんですよ。「内向的感情タイプ」の要素も高いわけで、「豊かで激しい感情を持つと同時にそのコントロールに長けているのですが、それがなかなか表面に出ない」だけなんですよ。きっと。

こうしたユングの性格分析について、最初に読んだのが、宝島社の「性格の本」。その中にもう1つ、印象的な話があった。それは「シジジィと愛情乞食」というもの。これはこの8つのタイプとは違うものの、タイプの異なる2つのミュータントだ。

「愛情乞食」というのは、1人の指導者を擁して集団的に行動することを好み、仲間内では非常に情に厚く、外に対しては攻撃的であって家父長制の下にいきているタイプ。「シジジィ」というのは一匹狼的であって、自分の身1つで行動し、孤独で傷つきやすく、頼りとするところは、現実に存在するしないに関わらず、母の胸しかないといったタイプ。

例えば「旅行へ行きたいな」と考える時、シジジィにとってはそれは「ひとり旅」に出ることを想定している。これに対し「愛情乞食」は皆で一緒に行くことを想定している。その方が楽しいだろう、と。

70年代のヒッピーたちの殆どはこうした「愛情乞食」たちだという。そういう意味では「愛情乞食」たちは親しみやすく、社会性がある一方、集合的で自立していない連中だといえる。彼らは依存的なのだ。これに対して、シジジィは多かれ少なかれ完全主義者であり、自己完結的。一匹狼のアウトローであって、両者は正反対の存在だ。

プラトンは「饗宴」の中で、人間はもともと男女が1つに結合している存在だったと語った。男女両性具有の存在であり、頭が2つ、腕が4本、足が4本ある存在。しかしあまりに傲慢で神々を攻撃しようとしたために、神によって男女2つに切り裂かれたのだという。そのために人間たちは失われた半身を探し求めねばならなくなった…

ユングはここに男性は心の奥にアニマと呼ばれる永遠の女性像を、女性はアニムスという永遠の男性像をつくりあげるのだという説を見出す。そしてその無意識のイメージが他者に投影され一大恋愛を引き起こしたり、未発達な人格の一片としてその人の弱点となるのだと。

シジジィの語源はこの分化前の存在、聖なる男女の一対のことを示す。つまりシジジィとは生まれながらにして自己完結的な存在(失われた半身を必要としない存在)であるか、まだ男女に明確に分かれていない幼児性を残した存在のことだ。

愛情乞食とシジジィは共に「やさしい」存在だ。しかしシジジィは自己完結的であり本質的に反対語のない「やさしさ」だ。やさしい人はやさしい、それ以外の何者でもない。これに対して愛情乞食のやさしさや愛情は獲得的なものだ。そのやさしさに惹かれ、シジジィが愛情乞食たちとともに過ごすとしたらこれは悲劇以外の何者でもない。シジジィは愛情乞食の餌食になることが目に見えており、だからこそシジジィは天涯孤独とならざろうえない…

この記事を読んだ当時、もし2つのどちらかだとすれば間違いなくシジジィだなと思ったことを覚えている。最近も、気の合う同僚同士で仕事の慰労会を開いたのだけれど、肝心な店の前まで来て、急にそのまま1人で飲みに行きたい欲求に駆られて…もちろんそのまま店に入ったわけだけれど、特に理由もなく、むしろ楽しみにしていたにもかかわらず、こんな風に感じるのはこういうことなんだろう。

久々に性格診断をして感じるのは、むかし以上にその傾向がはっきりしているのではないかということ。知らぬ間に得意な機能を優先して使っているのだろうか。それとも職場環境などがたまたま自身のもっていた特性と合致していたためにこうなったのだろうか。

いずれにしろ、劣等機能というのは、「苦手」なのは分かるけれど、自身の陰の部分としていろいろなものに投影され、悪さをする可能性がある。なくすことは難しいにしても、付き合い方は学んでおかねばならないのだろう。

ボタンの掛け違い、負の感情、ユングの性格分析 - ビールを飲みながら考えてみた…

ユングの「タイプ論」(1)

1 コメント

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Unknown (gangangansoku)
2011-06-17 23:36:51
初コメントです、興味深い投稿、じっくりと読んでしまいました。私はこういうタイプでもあるし・・こうでもあるし・・・といろいろ考えさせられました。でも自分をよく知ることはとても大切なことですね。 また読みに来ます
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