文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
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書評:奇跡を起こすスローリーディング

2015-03-29 11:29:20 | 書評:ビジネス
奇跡を起こすスローリーディング (日文新書)
クリエーター情報なし
日本文芸社


 読書は、速読するだけが能ではない。ゆっくり味わうことでのみ味わえるようなものもあると説くのが、この「奇跡を起こすスローリーディング」(伊藤氏貴:日文新書)である。

 本書は3つの章からなっており、まず第1章では、スローリーディングとは、何かについて説明している。ここで大切なのは、どんな本でもスローリーディングに向くわけではないということだ。著者は、フランシス・ベーコンの言葉を引用して、本を「味わい本」、「鵜呑みにする本」、「咀嚼される本」に分けている。それぞれ、文学作品、情報収集のための本、自ら思考するための本を考えればよい。この中で、スローリーディングに向くのは、「味わい本」、「咀嚼される本」に分類されるものである。

 ただし、著者も言っているように、一つの本が、どの分類に含まれるかが変化することもある。著者は、「ある程度はその本自体のジャンルや質によっても決まってきます」(P29)と書いている一方で、「同じ本であっても読む人によって「鵜呑み本」にも「咀嚼本」にもなりうる本がある」(P64)とも書いている。読書とは、読み手と本の相互作用なのだ。だから、読み手の持っている知識、理解力、本を読む目的によっても変わってくるということだろう。

 例えは、一般のビジネス本のように中身がスカスカのもの(もちろん、例外はある)は、ただ速読すれば良い。情報収集できれば、それでよいからだ。著者も、いつもスローリーディングを行っている訳ではなく、必要な場合は速く読んでいるという。しかし、思考力、想像力を養うためには、ゆっくり読む必要がある。このあたりは、著者の意見に賛成だ。

 次に、第2章では、スローリーディングの方法論に述べている。例えば、「少し背伸びした本をえらんだ方がよい」、「アクセルとブレーキを使い分ける」、「筆者の意図とは別の可能性を考える」等、スローリーディングということにこだわらなくても、本の読み方として色々と参考になる。いくつかは、私も心掛けてはいることだがが、改めて教えられたことも多い。

 そして第3章は、本書のまとめである。スローリーディングを行うことによる効用が色々と述べられている。人は、単に本を読んで情報を詰め込むだけでは成長しない。本を基に、自ら考えることによってこそ成長があるのだ。そのためには、じっくりと本と対峙し、対話して、対決しなければならないのだろう。

 ところで、私だが、色々と忙しいので、この本は速読してしまった(スマン!)。しかし、折に触れて、ためになりそうなところをスローリーディングで読み返してみよう。

☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。


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