文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

再生可能エネルギーは上積みを急ぐべきか

2016-01-10 13:47:40 | 電気・電子工学
 今日の中国新聞の社説に気になる記事が載っていた。「電力小売り自由化」に関して「再生エネの上積み急げ」という記事だ。もちろん、利用できる再生可能エネルギーは利用すべきだし、そのこと自体については異論はない。しかし現状ではコスト面や安定供給上の問題がまだまだ山積みだ。全量買い取り制度なんて、何を考えて始めたのか疑問だらけだが、あのように拙速で進めて、消費者に高い電気代を負担させるのはいかがなものか。

 特に気になるのは、「太陽光でつくったクリーンな電気です」という事業者のアピールを経産省が禁じる方針だというところに異論を唱えているところだ。社説には「これでは消費者の選択肢は狭められかねない。どこで、どのようにして作られた電気であるかも、知りたいポイントである。」と書かれている。

 わざわざ再生可能エネルギーによる高い電気を選択するような消費者がどれだけいるかはさておき、この発言は社説子の電力に関する無理解を示しているのではないだろうか。どんな電源でも、いったん電力系統につないだら、そこから先には色はつかない。どの電源から受電しているかは、所詮は約束事にしかすぎないのである。

 そして再生可能エネルギーが電源として役立つとすれば、それは既存の大電源が、需給のアンバランスをバックアップしてくれているからに他ならないのだ。太陽光などの再生可能エネルギーが、需要に応じて発電できない以上、需要家は必ずほかの電源によって起こした電気を受電することになる。だから、経産省の方針は、こういった意味で正しい。すべてを再生可能エネルギーでまかなった電力など、どこにも存在しないのである。

 また社説では「蓄電池の開発が進めば安定した電源になる・・・」とも書かれている。確かに安定はするだろうが、その分コストも上がる(蓄電池設備の費用はもちろん、電力も充放電によって、3割程度のロスが生じる)ことを忘れてはならない。やはり現実的なのは、大電源を中心にして、コスト的にも系統連系的にも問題のない再生可能エネルギーを少しずつ増やしていくことだろうと思う。



 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 書評:50代から始める知的生... | トップ | 放送大学新カリキュラムへの... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

電気・電子工学」カテゴリの最新記事