文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

銭形平次捕物控 194 小便組貞女

2023-09-07 10:49:57 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 江戸時代は、妾は社会的に認知された職業だった。それも、給金も待遇もよかったので人気の職業であった。しかし中には不心得者もいたようで、わざと寝小便をして、お払い箱になり、支度金をせしめる連中がいたようだ。どんな美女でも寝小便をされると、特殊な性癖がある人でない限りは、百年の恋も冷めるというもの。こういった女たちを小便組といっていたらしい。

 さて事件の方であるが、若松屋という浅草三間町の材木屋の裏の路地で御朱印の傅次郎という悪が殺された。なぜ、「御朱印の」と名乗っているかというと、傅次郎の唯一の自慢が、御朱印船に乗ったことがあるということだからだ。

 この若松屋には小便組の一人「お扇」という妾がいた。若松屋の主人敬三郎は、2年前に本妻を亡くし、何かと不自由だというので、「お扇」を妾として雇い入れたのだ。若松屋には、傅次郎が殺される前から、嫌がらせのような出来事が続いていた。そして事件が起きてからは「お扇」も行方知れずになっていた。

 これに乗り出したのがお馴染み三輪の万七。もちろん迷探偵役としてだ(笑)。万七は最初お扇を犯人と決めつけていたが、実際にお縄にしたのはお扇の妹のお篠。もちろん誤認逮捕である。これに乗り出して、見事に事件の真相を暴いたのが平次という訳だ。しかし本当に悪いのは傅次郎とばかり、あえて真犯人をつかまえようとせず、評判のいいお扇を妾から本妻にするように勧める始末。平次は事件の真相次第では、見て見ぬふりをするというところがある。何がなんでも犯人をお縄にして手柄を挙げようというタイプではない。この辺りが平次の一番の魅力だろう。なお、この話でも投げ銭は行わない。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

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