文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:新電気 2015年10月号

2015-11-01 12:16:55 | 書評:学術教養(科学・工学)
新電気 2015年 10 月号 [雑誌]
クリエーター情報なし
オーム社


 電験3種受験者や現場技術者のための電気技術専門誌、「新電気」の2015年10月号。この号の特集は、<「主任技術者」という仕事>だ。これは、中部電気保安協会の協力によるもものである電気主任技術者の1日の仕事を追ったものである。対象となっている業務は、受電設備の竣工検査および年次点検だ。

 私は、試験合格で、電験1種の免状は持っており、法律上は、すべての電気設備の工事、維持、運用に関する保安の監督を行うことができるが、管理部門での業務が長かったため、あまり現場での実務をやったことがない。こういった記事があると、主任技術者は、具体的にどんなことをやっているのかが分かって、とてもありがたい。
 このほか、「変圧器の保守と事故事例」や「シーケンス制御の基礎知識」などの記事も現場業務を知るうえで役立つ。

 また、最初に書いたように、この雑誌は、電験3種受験者のための雑誌という性格が強いので、そのための連載講座も充実している。一つ気になったのは、「送電線の保護方式」(p79)というところだ。表形式で、各種保護方式を紹介して言うのだが、送電線保護ではもう特殊なところにしか使われていない過電流計電方式を主体とした欄は、送電線の後備保護として広く使われている距離計電方式を主体にした方が良かった。

 またパイロット継電方式については、これも殆ど使われることが無くなった表示線継電方式が主体になっている。この方式で現在主流なのは、PCM電流作動方式であるが、言葉でも記載されているのは、ふた昔くらい前の主流である位相比較方式や方向比較方式までで、電流作動方式については触れられていない。伝送路についても、近年多く使われている光ファイバーが入っていないのはなんとも遺憾だ。思うに、この項の筆者は、あまり送電線保護方式には詳しくないのだろう。

 ともあれ、既に電験を持っていると言う人も、たまにはこのような雑誌を読んでみて、知識の維持・向上を図っていくことも必要なのではないか。

 付録は、「平成27年度電験3種試験問題と解答・解説」。こちらも、受験生だけでなく、既に資格を持っている人にも役立つだろう。

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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