文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
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書評:天体衝突

2014-05-05 08:56:00 | 書評:学術教養(科学・工学)
天体衝突 (ブルーバックス)
クリエーター情報なし
講談社


 かって地球を我が物顔で闊歩していた恐竜たちは、なぜ絶滅したのか。これまで様々な説が唱えられてきたが、現在有力なのは、天体が地球に衝突したことにより、巻き上げられた塵が太陽光を遮りったために環境が激変したことが原因だというものである。

 中生代白亜紀最後の地層と、新生代第三期最初の地層で有孔虫の化石がまったく異なるという。この境界は、K/T層と呼ばれていた。これは、ユカタン半島に衝突した天体の影響であり、これにより恐竜を含む多くの生物が絶滅したというのだ。

 生命の進化など、自然の変化に対しては、2つの見方がある。変化が、長い時間をかけてゆっくり進むという斉一説(漸進)説と、突発的な天変地異によって生じるという激変説である。しかし、発掘された化石群をみると、決して生物が連続的な進化をしているようには見えない。恐竜など多くの生物が突然絶滅し、残った生物たちがまた新たな進化の道をたどっているのである。地球の歴史の上では、何度か激変が起きているのだ。

 本書、「天体衝突」(松井孝典:ブルーバックス)は、その原因が天体衝突であるということを、天体が衝突したときの現象、これまで発見された衝突性クレーター、天体の衝突頻度などから朱鷺起こして詳しく説明している。

 記憶に新しい天体衝突は、爆発により、多くの建物が損壊し、多数の怪我人が出た、20m弱のロシアのチェリャビンスクの隕石衝突である。多数の隕石が回収されたか゛、チェバルクリ湖の湖底から回収された破片は600キログラムもあったという。本書中にその写真が掲載されているが、なかなかの迫力だ。ツングースカ爆発を引き起こした隕石などは、このチェリャビンスク小惑星の数倍程度ということだから、こんなものが空から降ってくると思うと、そら恐ろしい気分になる。

 隕石の落下自体は、そう珍しい現象ではなく、1m位なら10日に1度はあるそうだ。しかし、10km級のでかいのは、幸いなことに1億年に1度位だそうなので、あまり心配し過ぎる必要はないのかもしれないが、でもやっぱり怖い。

 昔から、怖い物の例えとして、「地震、雷、火事、オヤジ」と言うが、、「オヤジ」の権威は地に落ちてしまったので、今ならさしずめ、「隕石、地震、雷、火事」といったところか(笑)。

☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。

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