アンゴラは元ポルトガルの植民地で、独立したのは、1975年のことだからまだ独立して半世紀も経っていない。 首都はルアンダ。しかし独立後も順調とはいかず、内戦状態が2002年まで続いた。米ソがそれぞれ別の組織を支援した、代理戦争でもある。本書は、この内戦時代のアンゴラを舞台にした物語である。
この物語は、アンゴラ内戦に関するノンフィクションかと思ったのだが、
これからお読みいただく物語はフィクションである。(p7)
と明記されている。
主人公は、ルドヴィカ・フェルナンデス・マノ(ルド)というポルトガル生まれの女性。両親は亡くなり、唯一の肉親である姉の結婚に伴い、アンゴラの首都ルアンダの高級マンションの最上階に移り済んだという設定だ。しかし独立後の内戦が勃発し、姉夫婦が行方不明になる。ルドは、部屋の入口にセメントで壁を作り、犬のファンタズマと一緒にマンションに閉じこもって過ごす。しかし、この作品は、ルドのことだけが書かれているわけではない。書かれているのは、混乱したアンゴラの様子。
本作品を読んで感じたのは、西洋植民地主義とマルクス主義のひどさ。どちらも世界に混乱をもたらしただけだ。
ところで、この作品にはあまりヤマのようなものが感じられない。ただ黙々と書かれているという感じだった。まあ私の読んだアンゴラ文学第1号としては記念すべき作品だろう。
☆☆☆