この作品を一言で言えば、なろう系異世界ざまあ小説とでも言うのだろうか。ざまあ小説には一つの型がありそうだ。まず、主人公が役立たず難癖をつけられ、属していたパーティなどをクビになる。しかし、実際には、主人公はパーティで重要な役割を果たしていた。他のメンバーはみんな目が節穴で、そういったことには気が付かず、パーティから離れた主人公は大活躍していく。そして主人公が抜けたパーティは、どんどん落ちぶれていくというもの。
主人公は、リティと言う少女。ユグドラシアと言うパーティに属していたが、その扱いは非道そのもの。そもそもリティがこのパーティに入ったのだって、リーダーのアルディスの気まぐれと憂さ晴らしのためだった。だからちょっとしたことでリディに手が出る足が出る。そしてとうとうリティはパーティから放り出されてしまう。
通常のなろう系異世界ざまあ小説との違いは次の三点。まず、ユグドラシアのメンバーは人格は最低だが、別にリティのせいで強くなったと言う訳ではない。リディが入った時点で、彼らは腕は立ったが、問題だらけのメンバーだった。しかしリティが抜けてからは、凋落の一途を辿る。
次に、この作品では、ジョブがそれぞれのジョブギルドで修行して、試験に合格すれば得られるというところが面白い。他の作品では、ジョブは神様がくれて、主人公は不遇職と見なされていたジョブを割り当てられるというものが多いのだ。
最期に、この作品では、冒険者のランク制度だ。通常のAランクとかBランクとかではなく、1級とか2級とかとなっているところだ。そして2級以上は試験に通った段階での「準」という階級がある。この後、それなりの地位のある人に認められれば「準」が取れるのである。しかし、冒険者とは本来自由なもの。それが偉い人に認められないといけないのには違和感がある。
リティの行動基準は明快。「冒険がしたい」それだけなのだ。彼女は、「フィジカルモンスター」として、どこまで強くなるのだろうか。
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