「丸い卵も切りようで四角」とか「四角い豆腐も切り様で丸く」とか言う言葉を聞いたことがないだろうか。要するに同じことを表すにしても、表し方次第で効果が異なるということだ。そして何かを表すときに図解にするということはものすごく大切なことだ。「目は口ほどに物を言う」と言う言葉もある。本来の意味とは少し違うようだが、言葉で長々と説明されるよりは、図解にすると一目で分かるという経験をした人も多いだろう。これは理系の人が、言葉で長々と説明されるより数式一つ示してくれた方が、理解しやすくなおかつ厳密だということに似ている。
本書は、著者がフィナンシャル・タイムズで使ってきた(ドラフト段階でボツになったものもあるようだが)データ・ビジュアライゼーションについて紹介したものである。このような場合には、こういったように図解した方が分かりやすいというように紹介されているので、常に本棚においてすぐに参照できるようにしておくことを推奨したい。
残念なことに、データ・ビジュアライゼーションを悪用する人もいる。捏造はもっての他だが、データは正しくても自分に都合のいいような見せ方をしているものもある。本書を読めばそういった欺瞞を見抜くにも役立つだろう。また目立てばいいというようなものもある。例えば20頁に紹介されているようなもので、本書では「精巣円グラフ」と呼んでいるが、地の図としてパンツ(ブリーフ)が使われており、パンツの両側と脚の付け根の部分にグラフが描かれている。でもパンツを使う必然性はまったくない。こういったものも時折目にするのでご用心。
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