本書は雀聖と呼ばれた阿佐田哲也さん、本名色川武大(いろかわたけひろ)さんによる麻雀小説をコミカライズしたものである。この麻雀放浪記はいくつかの篇にわかれているが、これはその風雲篇。舞台は敗戦後まもないころの日本。
昔の大学生は殆ど麻雀をしていた(やらない人もいたが)。今のように家でやるようなゲームもなかったし、インターネットもほとんど普及してない時代だ。暇なときにやることと言えば麻雀位だった。大学の周りには結構雀荘があったが、全自動卓はまだないような時代だったので、もっぱら手摘みの時代だった。
この麻雀放浪記は、「坊や哲」を主人公に、賭博としての麻雀を描いたものだ。風雲篇では、いきなり主人公が重度のヒロポン中毒患者として登場する。ヒロポンつまり覚醒剤だが、昔はどうも薬局に普通に売っていたらしい。これに禅坊主のクソ丸、その連れのドテ子といった関西人と知り合う。
一つ疑問なのは、代打ち麻雀で幻覚を見るくらいの重度の覚せい剤中毒だった主人公が、その後はやめているようなところだ。ヒロポンって、そんなに簡単に辞められるのか。その前に人間を辞めていると思うのだが。
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