このタイトルにある「大犯罪」という言い方に時代を感じてしまうのだが、「舞踏会殺人事件」に続く第二弾。
人形町で小間物屋をやっている藤兵衛が殺される。この藤兵衛、小間物屋の主人だが、土蔵に暮らしていたという変わり者。なんでも土蔵もちになったのがうれしかったらしい。そして犯行現場はこの土蔵。現場はタイトルの通り「密室」になっていた。
この事件を調査するのは前回と同じメンバーで、結城新十郎と花廼屋(はなのや)因果そして、泉山虎之介の3名。但し名探偵の役は結城新十郎。ただし、花廼屋因果は推理の才はないが、腕っぷしは強いので犯人を捕まえる役。泉山虎之介は、前回と同様勝海舟のところに出向いて、勝の迷推理を聞く役である。
このシリーズに出てくる勝海舟は、悪血を採ると称して、ナイフで自分の体を切り刻む変態だ。そして自分の推理が間違っていた言い訳をするのもいつもの通り。それにしても、泉山虎之介、勝の迷推理を聞いて、
「虎之介は海舟の読みのひろさに益々敬服の念をかため、その心眼の鋭さに舌をまいて、謹聴しているのである。」
ということらしい。どうしてそうなる!
☆☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。