変化を受け入れることと経緯を大切にすること。バランスとアンバランスの境界線。仕事と趣味と社会と個人。
あいつとおいらはジョージとレニー




決意で創り出す節目。
自ずと訪れる節目。
別れという節目。

終わりであり始まりでもある瞬間。
気をつけないと、あっという間に過ぎ去ってしまう。

年齢と共に時の経過速度が速まったように感じる。
聞いてはいたが、本当なのね。

どうして、時間は前にだけ流れるんだろう?
一方だけに進むのって、時間だけなんじゃないかなぁ。

あとは科学者に任せよう。


 クリックの節目。
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ブログというか、日記というか、備忘録というか。
ここに思いついたままの記録を残すようになって、間も無く1年が
経とうとしている。
まずは1年位やってみよう、と思って始めたことなので、そろそろ
目標が完遂する。

我ながら、お疲れ様でした。

そして多くの方々から様々なコメントを頂戴したこと、深く感謝して
おります。
幾つかのランキングなぞというものに登録してみたり、小説とかの
カテゴリグループに参加してみたりもして。
定期的に訪問して下さる方もおられたりして、とても充実した時間
を持てたこと、感謝するとともに興味深い時期でもありました。

何とか「毎日更新」を続けて参りましたが、所期の目標は達成した
といことで、方向転換しようかと考えています。
折角続けて来たことなので続けようとは思っていますが、そろそろ
仕事的に大転換期が来るということもあって、ちょっとお休みしよう
かなと。具体的なアイデアがある訳じゃないけど、いろんな方向性
も考えてみたいし。

何はともあれ、不躾なコメントをあちこちで残して来たこと、本来は
個別に訪問して御礼申し上げるべきところですが、ここで纏めてと
いうことでご容赦ください。

ありがとうございました。

そう言えば、もしかしたら「ブログ潰し野郎」になっていたかもしれま
せん。おいらがコメント入れた途端に、記事の更新が停まったサイト
が幾つもありました。悪気はないのですが、きっと「困ったコメント」
を残してしまったんでしょう。
おいらという人間性の為に、そのあたりを掘り下げる必要があるよう
に感じています。

てな訳で。

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今日の新宿は大賑わい。
ちょっとした仕事があって出かけてみた訳だが、繁華街は活況を
帯びること甚だしい。

寒いけどね。

レニークラビッツのHeaven Helpという曲が大好きなんだけども、
この曲を聴いていたい気分な午後。
一仕事終えて日が暮れて、知人のライブの聴衆になったんだ。
Heavenとは趣が大分違うけど、おいらが大好きな音楽を提供して
くれるミュージシャン。アーティスト。曲はオリジナルです。
久しぶりなんだけども、やっぱ良かった。
何が好きなのかはわかんない。
素人のおいらにゃ、レベルを量ることもできない。

でも、そんなのはどうでもよくて、いいものはいい。
好きなものに理由は要らない。
素敵だと思うことに罪はあるまい。
聴く側、としてはね。
やる方は大変なんだろうけどね。

ありがとう。

未だ見つけられないおいらが持って生まれた才能とは、人を癒した
り楽しませたり、救ったりするものなのかな。はたまた反面教師的
な何某かなのかな。今の仕事の延長線上に無いことだけは確実!
目を開いていれば、いずれは分かるんだろう、きっと。
受け入れられるかな、周囲もおいら自身も。

考えてもしょうがねぇ。

染み渡るクリック。
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トワイライト・ゾーンのBGM。思い出してしまうと、暫くはアタマの中を流れ続け
るんだ。タラララタラララ・・・。

ららぽーとって、あちこちにあるのね。
以前、千葉方面に住んでいた時は、船橋のららぽーとにはよく行ったもんだ。
スキードーム「ザウス」ができる前の話です。車で見る映画館とかあった頃。
とにかくデカくて、当時は「そごう」もあったなぁ。
聖地甲子園球場の横にもできた。旧阪神パーク跡なんだと思う。帰省した時
には立ち寄っている。
そして昨年、今のウチの近所(車的には)にもできた。

アーバンドック ららぽーと豊洲。

バーゲンが最終日だというので、出掛けてみた。
中に「Stone Market」が入っているは知っていた。見ると、50%offの張り紙が!
努力嫌い&他人任せなおいらとしては、パワーストーンに頼るところも多々な
訳でして、これは買わねばなるまいー! こういうところは大ハッスルします。
力を入れる場所が違う気がするけど、そんなヤボは言わない。おいら、自分に
は甘いんです。

しかし、店内全品が半額な訳ないよね。一部だけでした。
結局は何も買わず仕舞い。

何やってんだか。

色んな意味で黄昏。

クリックぱわー!
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トキメキでどきどき。

不安でドキドキ。

あなたにドキドキ。

自らの過ちにどきどき。

結果は時間軸の断面でしかない。
恐れることは無い。
浮かれることもなかれ。

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ここんとこ、色んな買い物をしました。
まずは照明。
目が悪くなった。老眼。何回かここにも記録したけど、急速に進行している。
近くのモノ、小さいモノが見えない。そして、暗い所では、急激に悪化する。
ということで、照明を替えてみました。
器具は替えずに蛍光灯を交換。そういえば、この家に越してきた時から交
換していないのだから、10年選手な蛍光灯達。よく頑張りました。
さて、買ってみると、結構高い。でも、迷わず「イイモノ」にした。そして点灯
させてみたところ。
明るいねー! 別の部屋みたい! これはいいや!!
大満足♪

次はハードディスク。どうにも容量が足りないので、買い足してみた。外付
は既に1台増設済なので、今度は内蔵型。おいらのPCは未だSATA対応
じゃないので、ATA100の7200rpm。Seagateの250ギガにしました。16MB
もキャッシュがあるのね。え? どうして320ギガにしなかったって?
それを言ってくれなさんな(泣)。失敗したかな・・・。
でも、付けてみると、静かだし、いいんじゃねぇのって感じ。
充分だよ♪

更にハードディスク関連。廃棄したPCから取り外したHDDがたまっている。
2.5インチのヤツは、携帯用に便利なので、IDEからUSBへの変換アダプタ
付きのケースを買い足した。
やっぱ便利だわ。DVDじゃ、2層でも8.5ギガしか入んないもんね。
よしよし♪

次に、DVDプレーヤー。
今時、プレーヤーです。何でと言うと、MPEGが再生できるという。これは
有り難い! ということで即買い。¥5,000也。
本当に再生できるから驚いた。
便利だわ、これは♪

しかし。
今時の電気屋さんは、ポイントカードが当たり前。
レジでのやり取りもいつも通り、、、のはずだった。
 「ポイントはどうされますか?」
 「加点してください。」
 「・・・は?」
 「ん? 加点してください。」
 「ポイント使われますか?」
 「いやいや、カ・テ・ンしてください。」
 「ポイント残高は、xxxxポイントですぅ♪」
・・・宇宙人か、この姉ぇちゃん? と思いつつも。
 「今日はポイントを使いませんから、貯めてください。」
この後も、彼女の接客は満面の笑顔で続けられた。

ある意味、凄ぇ。

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----------------------------------------------------------------
カテゴリの 『連載』 を選ぶと、古い記事から続きモノの物語になります。
----------------------------------------------------------------
 <目次>      (今回の記事への掲載範囲)
 序 章         掲載済 (1、2)
 第1章 帰還     掲載済 (3、4、5、6、7)
 第2章 陰謀     掲載済 (8、9、10、11)
 第3章 出撃     掲載済 (12、13、14、15、16)
 第4章 錯綜     掲載済 (17、18、19、20)
 第5章 回帰     ○   (24:4/4)
 第6章 収束     未
 第7章 決戦     未
 終 章          未
----------------------------------------------------------------
第5章 《回帰》  (続き 4/4)
    ◆
 想像以上だった。ブリタニアには何も残っていなかった。廃墟と化した宮殿の中で、冷静さを取り戻したルナは一人で善後策を練っていた。フェルチアを亡くした痛みに囚われないためにも、休んでいることはできない。
 この状況で誰が一番得をしているか。神聖同盟? いや、違う。彼らは所詮小間使いに過ぎない。王か? それも違う。彼は陰謀の中心にいると思われるが、同時に王国の将来を憂いでもいる。宰相派か? 王と一枚岩ではないのだろうか。それは有り得る。如何にも目先の損得だけで動きそうだ。しかし、リモーやその他の軍人を手なずけることはできまい。王国の兵士は優秀であり、決して騙し通せるものではない。ということは、帝国が動いたということだ。しかし、動機がわからない。神聖同盟は帝国にとっても面白くない存在だろう。名目上は属国といえ、既に神聖同盟は少なくとも軍事力において帝国と肩を並べるところまで来ている。しかし、そうであれば王国と神聖同盟を戦わせ、両者の疲弊を望むはずだ。ところが現状は王国だけが打撃を受けている。皇帝が、国としては老獪になったとは言え、往年の帝国回復という野心に目覚めたか。正当な皇族の末裔である王国をまずは殲滅し、その後に神聖同盟と事を構えるつもりか。今の皇帝ならは無い話ではない。それとも何か他の謀略があるのか。

 ルナが如何に考えようとも、替え玉の国王を王国に送り込み、宰相派までをも取り込んで、王国に神聖同盟を攻撃させようとしているのが皇帝であるということまでは、思い至らなかった。増してや、国王に王位を禅譲させることで皇位の統一を図ろうとしていることは、想像の範囲外であった。その上、皇帝の駒であるはずの替え玉国王が内々に謀反を起こし、宰相ともども独自の謀略に手を染めているなど、分かろうはずもないのだ。しかしルナの鋭さは、謀略を見通すことではなかった。裏にも裏がありそうだということに気付くセンスがあり、それに沿ってすぐに行動を起こすことができるところに彼の本分がある。

 迷っていてもしょうがないと思った。帝国のカプトゥ・ムンディ(世界の首都)に向かうことにした。そこで何かが見えて来るはずだ。そもそも、双方とも正当な皇位継承者を主張する王国と帝国が並び立っていることが不自然なのだ。きっとこの不自然さから導き出された何物かが諸悪の根源のはずだ。何も無ければ自分の運命もそこまでということだ。確信はあったが根拠は無い。賭けである。だから、部下は連れて行けない。ルナは一人で出発の準備に向かった。

 ルナ達が宿営しているのは、今は廃墟となった町のはずれにある元はブリタニアの軍が布陣していた基地である。町以上に徹底的に破壊されたそこには、瓦礫以外の何物も残ってはいなかった。滑走距離が短いタイガー・ルナであればこそ、滑走路の跡地と周辺の道路に着陸できたが、それも至難の業であった。カク・サンカクが空母に持ち込んだタイガー・ルナのパーツは持って来ることができなかった。一刻を争う脱出だったのだ。ブルータスが整えた補給は、ルナ隊の再起に充分とは言えなかったが、それは止むを得ないだろう。そんな中で飛び立つには、隊員の機体からパーツを取るしかない。ルナが単独で行動を起こそうとしたのは、補給の面からも理に適っていた。

 そんなルナ隊の宿営地から町の反対側にある丘の上、なだらかな斜面を持つ山間に逃げ込んでいた人々がいた。国政を運営していた人々であり、宮殿の地下から何とか脱出していたのだ。そこは、町の喧騒を避けて宮殿の人々が議論する時に使われる言わば別荘であった。地上部分は通常の民家にしか見えないので、王国軍の爆撃を逃れていたのだ。
「かなりの数の戦闘機が着陸した模様です。ここからでは確認できないので、偵察しましょう。」
「危険だな。複数の戦闘機を今ここに派遣するのは王国軍しか考えられない。見つかるのは望ましくない。」
「しかし、じっとしていても何も始まりません。」
「それは分かるが、今は危険過ぎる。ブリタニアの市民の生き残り、どうしていると思う?」
「…………。」
「市民に見つかったら、その場で我々はなぶり殺しにされるぞ。今はじっとしている時だ。機会を待つのだ。」
「しかし、我が軍の連中は、着陸した戦闘機はタイガー・ルナだと言っています。音で分かると。ルナが戻って来たのかもしれませんよ。ならば、ルナには補給が必要なはずです。」
不毛で結論の無い会話が続いていたが、その場に現れた別の男がそれを遮った。
「軍の連中が……、行ってしまいました。」
「何だと?」
「あれはタイガー・ルナに間違い無い、ルナが戻った、と言って出て行きました。」
「今はとても微妙な時で、一つの行動も慎重に構えねばならん時だが……。」
ルナに代わってブリタニアの国政を担ってきた統領は、溜息とともに決断した。
「動き出したものは止むを得ん。着陸した戦闘機隊を偵察する。」
別荘を守る者、個別に偵察に出る者、市民の生存者と出くわした時の対処方を考える者、そして、戦闘機が王国軍であった場合の処置を検討する者、それぞれを任命して即座に結論を出させた統領は、偵察隊とともに別荘を出た。
 道程は静かだった。怪鳥からの攻撃は爆撃とは違って爆弾で地面が穴だらけ、ということではなく、地上の建造物はことごとく焼けただれていたが、突出物が少ない道路は、比較的元の形を保っていた。すぐに軍の連中が乗り出した車両が道に止まっているのを見つけた統領は、異様な雰囲気に自分達の車も停めた。数人が軍の車両に近付いたが、中には誰もいなかった。統領が周辺の調査を命じようとしたその時、一発の銃弾が静けさを打ち破る轟音とともに統領の横をかすめた。
「何者だ?」
銃を撃った男が瓦礫から出て来て問い掛けた。銃を振り、武装を解除するように求めながら。反撃を試みようとする一同を押さえ、統領が静かに答え始めた。
「私はブリタニアの統領だ。あんたは?」
「統領だと? 笑わせるな! この町を見ろ!」
瓦礫と焼け跡だけに成り果てた町を振り返りながら、男が怒鳴り付けた。
「町がこうなってしまったのは統領の思惑か? だったら今、俺が貴様を殺す!」
「自分の国の町を焼きたいはずがなかろう?」
「じゃ、王国の侵略を止められなかった統領が貴様というわけか!」
男は銃を統領に向けて続けた。
「同じことだ! 貴様が町を焼いたんだ!」
それには統領も言葉を詰まらせた。側近が反撃のために銃を構えようとした時、怒鳴り続ける男の後ろから見慣れた連中が顔を出した。勝手に偵察に出て行ったブリタニア軍の連中だったが、統領に銃を向ける男の耳元で何某かをつぶやいた。それに男は応えて言った。
「知っているさ。この人が本当の統領だってことくらい。」
状況を飲み込めない統領とその一派が硬直しているのを見て、男が銃を降ろした。
「俺はブルータスと言う。ルナの斥候をやっている。」
統領が思わず口を開いた。
「では、あの戦闘機隊はルナ伯爵なんだな?」
「そうさ。ルナ隊が帰還したんだ。」
「会わせてくれ、ルナ伯爵と。」
「会わせてやるさ、統領さん。だがな、さっき俺が言ったことは忘れんでもらいたい。」
忘れるものか、と統領の目が頷いた。国を、市民を守れなかった統領として、それなりの覚悟を見てとったブルータスは、統領をルナの元に連れて行くことにした。その道すがら、統領は自分が知らない情報をブルータスから得ようと質問責めにした。知っている限りを概ね話したブルータスが、念を押した。
「ルナを一人にしちゃダメだ。あんたも協力してくれ。」
「分かっているつもりだ。」
 これで、補給の問題はいくらか解決するだろう。ブリタニアはタイガー・シャークⅡを配備していたが、ルナが王国に招聘されるにあたり、カクバージョン化、即ちタイガー・ルナ化を進めようとしていたのだ。焼き払われた国土の中にも、幾らかの設備と部品は残っているはずだ。また、軍の連中が手足となってルナ隊をサポートできる。小さくはあっても、ルナを中心に一つの纏まりができようとしていた。そして、ブリタニアの統領とルナが再会した時、その纏まりはあらゆるものが分裂しようとしている状況にあって、唯一の強固な集団となった。確かに、ルナは何処からか分からないが冷ややかな視線を感じていた。恐らく、生き残ったブリタニアの人々が、遠目にルナ達を見ているのだろう。それも期待や羨望といった類のものではなく、恨み辛みといった思いを持って。彼等を説得するのは不可能かもしれない。諸悪の根源を暴き、正義を確立するまでは。こうなってしまったのは、一重に王家の統治の失敗である、とルナは考えていた。これ以上は巻き添えを増やしたくないという思いが強かったので、やはり単独で事を決することにしていた。

 とりあえず仕立てた滑走路に、一人の男が立っていた。ブリタニアから召集した隊員だったか。
「隊長。」
「どうした、こんな所で。」
「パイロットが滑走路にいるのは普通だろ?」
「そうか……。」
「俺にも家族がいたんだ。ところが、生きているのかさえ分からない。」
「…………。」
「知りたいもんだ。」
「俺にもわからん。すまないが、一緒に探してやることはできん。」
「そうじゃないだろ。分かっているはずだぜ。どうしてこうなったか、これからどうすべきかが知りたいんだ。」
男の顔は引きつっている。悲しみにも理由があるはずだ、彼の目がそう言っていた。
「俺もそれを探しに行こうとしている。」
「そんなこったろうと思ったぜ。」
隊員が腰から銃を引き抜き、ルナに向けた。
ルナはそれも仕方ないと思った。目の前の男のように、悲しみや恨みを持った人間は数限りが無いことだろう。そんな一人の憂さ晴らしのために、自分の人生に幕を引くのも悪くはない。何も解決しないだろうが、少なくとも一人の人間の区切りを付けさせることができる。それでもいいではないか、そう思ってこれまでの人生を振り返ろうとした時、男が再び口を開いた。
「ブルータスに言われててね。隊長が一人で飛ぼうとしたら力ずくでも止めろってね。動かないでくれよ。」
男が携帯無線のマイクに何かを呟くと、すぐに隊員達が集まって来た。
「隊長、見せてもらいたいもんですな。あんたの決断とその結果を。一人でなんて何処にも行かせねえさ。」
ブルータスの仕業であった。少々ヤツは優秀過ぎたようだが、今となってはしょうがない。
「カプトゥ・ムンディに行く。付いて来るか?」
一人の隊員が叫んだ。
「カクは何処だ? 遠距離飛行だ。ここの整備でローマまで行けるか?」
珍しくカク・サンカクが笑っていた。ベルァーレがいるわけでもないのに。意中のベルァーレは今、ブリテン王国軍の統帥に連れ去られてしまっていたが、未だカクの知るところではなかったのだ。近いうちに統帥の魔の手はカクに伸びて来るだろう。小さくはあっても折角纏まったルナの一味は、既に崩壊の芽を植え込まれていると言っていい。しかし、この時点では何物にも替え難いこの世の春を得て、カクの能力は今まで以上に発揮されていた。その哀れを知る者はここには未だ誰もいなかったが。
「俺の整備がどうしたって? 燃料が尽きない限り、どこにでも行けるさ。」
明るいカクの太鼓判を得て、あっという間にパイロット達は自らの機体に乗り込んでしまい、パイロットで滑走路に立っているのはルナだけになった。元甲板要員が大声で怒鳴った。もうフェルチアはいないが……。
「隊長! 出撃準備完了! 隊長が戻って来た時には、次の出撃準備に備えておくから安心して行ってもらっていい。」
統領は口を開かなかったが、その目が強い意思を湛えていた。ルナが再び戻ってくる前に、彼はきっと生き残った市民との軋轢を解消しようとするだろう。それはムリかもしれないが、何もしないで手をこまねいてはいないだろうことだけは確かだった。
 出撃を前にして、一人で出かけようとしていたことがみっともないことのように思えて来た。国と臣民の将来を決する行動を自分だけで成せると考えたのは、何たる自惚れか。己を恥じていた。自分には強力な仲間がいるのだ。そのこと自体を喜んでいいのか、怒るべきなのか、ルナ自身にも分からなかったが、魂が荒ぶるのを感じていた。
「俺は王族だ。本来の場所に帰らねばならない。」
自分でも何を言っているのか分からなかった。彼の血が喋らせているのか。
そもそも皇族とはルナの血統を現す。それが乗っ取られ、帝国の旧領土の一部であるブリテンに引きこもって王国を名乗って来たのだ。その王国も今や何者かに取って変わられようとしている。黙っている時ではない。原点に帰らねばならないのだ。
「皇帝に会わねばならない。俺が皇帝だって言ってやるために!」
次にここに来る時は、帰って来るのではなく、皇帝として出向いて来ることになるだろう。

 隊員達の静かな歓声とともに、ルナ隊が空に舞い上がった。帝国の首都、カプトゥ・ムンディに向けて。

<まだまだ続きがあります。>

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我が家のデジカメ。2メガ時代の古いものだけど、メーカーからリコールが
かかった。そしたら、在庫がもう無いらしく、現行機種に交換してくれると
いう。そりゃ、天地の性能差ですよ。そろそろ買い換えようと思っていたの
で、とても有り難いお話です。
 頑張れ、キャノン!
おいらは30年来のキャノンユーザだけど、これからもよろしくね♪

車のダッシュボードに付いている引出が壊れた。
ディーラーに持ち込んだら、保証で直してくれた。
 いいぞ、VW!
未だこのディーラーでは2台目だけど、魅力ある車を出してる限り、おいら
はここのお世話になるんだろうな。

もとより期待していなかったことだから、どちらもとても嬉しいです。
giftを頂戴した気分。ありがとう。

giftと言えば。
「天賦の才能」という意味もあったような気がする。
一神教を信奉する人なら、神が与えたもう能力のことだろう。おいらの様な者
からすれば、人それぞれが得手と不得手を持っているという、ただそれだけの
こと。要は血液型の種類と同じで、型によって特性が異なる。梅毒に強いO型、
チフスに強いA型、みたいな感じで、特性を分けることで種としての抵抗力を
強めているように感じる。どの特性を得るかは、確率の問題でしかない。

神が与えようが、確率の問題と捉えようが、どっちでもいいと思っていた。
でもさ、違うんだね、根本的に。

前者なら、人はそれに気付かねばならない。気付いて神に感謝するんだろう。
気付かずに見過ごす事は罪になるんだろうな。だから許しを請うんだ。そして、
神を祝福するんだ。
後者なら、基本的に人はそれに気付かない。科学的論理的に検証されるのは、
後になってからなんだ。先に気付いた者は、強者となり指導者となる。でもね、
基本的に偶然の重なりが導く結果論なんじゃないかな。

どっちでもいい。
どちらが人を幸せにするか、それだけのことだよ。
人それぞれだよ。

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首も痛いけど、痛み止めの薬がいくらかは効いている。
椎間板を挟む背骨の一部が、とうとう変形し始めているそうな。
痛ぇ訳だよ。
ただそれだけじゃなくて、全然別件なんだけど、とある人から
鋭い指摘事項があった。おいらの「表現方法」について。
刃物のような切れ味で、おいらの心をえぐって行きやがった。
グサッという音がする感じ。

うるせ~わいっ!

悔しいやら情けないやら・・・。

今は弁解はすまい。言い訳に聞こえるから。
反論も止めておこう。負け惜しみになるから。

心身ともに痛ぇな~(泣)。

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痛い。
首にヘルニアがあるんだ。
年に何回か、発症するんだ。
イタタタタ・・・。

こりゃダメだ。文字通り首が回らん。
       HELP!
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いつものセット。
飲み薬が一番効きます。
つか、塗ったり貼ったりするのは、効きません。

寝返りがうてない恐怖、起き上がれない不安。
またきやがった。

ちぇっ。

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「あなたと同じ歩幅で歩いてみるの。」
松たか子が出演しているCMのフレーズである。

これはとても大切なことだ。
相手の立場でモノを考える、なんてことはよく言われることだけど、
なかなかデキることではない。やる/やらない と できる/できない
の両方の意味で難しい。
物理的にできない場合のハナシを置いておく。
敢えて「やらない」人のハナシにも触れないことにする。

つまり、能力的にも制約的にも「できる」人で、且つ「やる」気がある
人のお話になるんだと思う。

全く別の人なんだから、相手と完全に同じ感性を持つことはできない。
だから、「相手の立場」になることは難しい。

ここまでは当たり前なんだけど、この先、アタマで考え、想像し、相手
を理解しようとする。自分の経験や知識を駆使して。
もっと相手を理解しようとするなら、やはり相手と同じことをせねばなる
まい。相手の歩幅に合わせて、歩いてみる訳だ。
その時点まで生きてきた環境も違うし、同じことをする期間は限定的だ
から、それで全て分かろうはずもないけど、キッカケは見えるはず。
見えると思いたい。人間の感性は、それくらいできるはずだ。

ということで、とてもいい姿勢だと思った訳さ。

でも。
相手を見下しているからこそ、の考え方の様な気もする。
相手の歩幅に合わせる?
これは、自分の歩幅が相手よりも優っている、という前提で上から目線
で言ってるんじゃないか。
そんな気もして来る。

なんか良く分かんなくなってきました。

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神戸周辺を大地震が襲ってから12年が経つと言う。亡くなられた方々が
6千人を超えたなんて、余りの深刻さにおいらの貧相な想像力では現実
味を感じることさえ難しかった大災害。

阪神淡路大震災。

あの日、おいらは東京の病院のベッド上にいた。
病気で入院してたんだ。入社以来、始めての長期休暇でもあった。
病院の朝は早い。
朝6時のニュースをテレビで見るのが、入院中のおいらの日課だった。

「神戸方面を震源とした大きな地震があったようです。」
「神戸放送局と連絡が取れません。」
「現在、大阪からヘリコプターを神戸に派遣しております。」
「未確認情報ですが、高速道路が横倒しになっているようです。」
「ビルが倒壊しています。」
「大橋が落ちています。」
「一面火の海です。」

呼吸することすら忘れたかのようにテレビに食いついていた。

西宮のおいらの実家はいったい・・・。
実家で一人暮らす母はこの直前、おいらを見舞う為に上京していたので、
難を逃れていた。
後日談だが、実家でいつも母が寝ているベッドには、大きな洋だんすが
倒れ込んでいたという。

おいらが入院していなかったら。
見舞いに来ていなかったら・・・。

おいらの病気も完治したし、家は半壊だったけど修理できたし。
母は今も元気だ。
守ってくれた何者に対する感謝の気持ちは絶えない。

こんなおいらは、あの悲劇について語る資格が無い。
経験してしまった知人友人達が、「あの時」の話をしても、第3者的に
理解するのがせいぜいだ。
しかし、天災は人を選ばない。あの場に居合わせなかった多くの人達
よりも、その幸運が身にしみている。
だからと言って、何をする訳でもないんだけど、これじゃダメなのかな。

当たり前のように『明日』は来てもらわねば困るんだ。
まずはそのことに感謝してみる。

心から感謝のクリック。
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想像しよう。
静かな森には、眼下の小川のせせらぎと、小鳥のさえずり、そして、時折
通り過ぎる一陣の風が僅かに木々をざわめかせるが、それは静寂である。
これらの音達と見事な調和を見せる音の主役は、源泉から湯船に流れ入
る温泉の流水音、そして湯面を叩く音。
森の香りを肺いっぱいに吸い込み、緑を帯びた青味に刺激を覚える。
この場合、温泉は無色透明がいい。木々の緑を湯に映し、波紋が光を放つ。
源泉掛け流しで加水加温度が無ければ、弱アルカリ性塩化物泉でいい。
岩風呂と形容される湯船がお似合いだ。
季節は春。時刻はお昼前。
至高の時。

改めて想像しよう。
手を伸ばせば届きそうな夜空を飾る無数の星達。湯船は、脱衣所の明かり
だけに照らし出されている。周囲は一面の雪景色、その静けさは音を拒否
しているかのようだが、乳白色温泉の流れだけが、静寂を打ち消している。
空気は冷たく澄んで、湯船から容赦なく暖かみを奪い取る。それでもとうとう
と沸き出でる源泉は、冷たい空気に挑戦し続け、湯船は一定の温度を保つ。
白くにごる強酸性硫黄泉がいい。檜をふんだんに使用した湯船。
匂い立つ硫黄の香りが、否応もなく鼻をつく。僅かに浴槽の檜から放たれる
フィトンチッドが、絶好の対照を演じる。
季節は冬。時刻は夜。
至福の時。

こんな想像もできるのではないか。
日中の暴力的な陽光も夕暮れとともに穏やかさを帯び、見渡す限りに広がる
海は、徐々に黒味かかっていく。それは赤く焼ける空と好対照を成し、打ち
付けては泡と消える白い波がアクセントとなる。1/fリズムを見事に刻む波の
音と、それに僅かに混じりこむ湯が流れる音。間も無く訪れる闇までの僅か
な時を惜しみながら、海を、空を眺めながら身を湯船に預ける。潮の香りが
ベタ付かない不思議な調和。
この場合も無色透明な温泉がいい。湯船を構成するのは大きな岩石。
季節は晩夏。時は夕刻。
最良の時。

共通点は『静寂』。
都会の喧騒からの逃避。
心身ともに、とはいかないけども、心だけでも洗いに出掛けた訳さ。

空しいと感じる精神状態では、やってはならないこと。

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カテゴリの 『連載』 を選ぶと、古い記事から続きモノの物語になります。
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 <目次>      (今回の記事への掲載範囲)
 序 章         掲載済 (1、2)
 第1章 帰還     掲載済 (3、4、5、6、7)
 第2章 陰謀     掲載済 (8、9、10、11)
 第3章 出撃     掲載済 (12、13、14、15、16)
 第4章 錯綜     掲載済 (17、18、19、20)
 第5章 回帰     ○   (23:3/4)
 第6章 収束     未
 第7章 決戦     未
 終 章          未
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第5章 《回帰》  (続き 3/4)

 この日の天候は優れなかった。立ち込める雲の狭間に機影を確認したのはルナだった。雲の合間から朝日を浴びて輝く機体は、近付くにつれてタイガー・シャークⅡの特色を示した。王国の空軍である。恐らく、最初にブリタニアを攻撃した編隊だろう。血が血管を流れて行く音がルナの耳に響いた。途方も無く腹が立っていた。部下に何も命令を発しないまま、ルナは空軍の編隊に単身で突入して行った。
 これが本当の鬼人と言うのだろう。ルナの乗機は、天才整備士のカク・サンカクがチューンアップしたとは言え、元は空軍と同じタイガー・シャークⅡ型の戦闘機なのだ。にも関わらず、空軍の戦闘機はまるで武装していない農薬散布用の双発機の如くであった。片側のスロットルバーを足で蹴飛ばし、絶妙のタイムラグで方向舵を力いっぱい傾ける。すると、ドッグファイトモードに設定されたタイガー・ルナは、その優れた空力特性を持つ翼面に姿勢変化の空気を存分に溜め込み、同時にプロペラ軸の角度が旋回方向に傾く。更には左右に並ぶニ機のプロペラを駆動するエンジンと変速機は、その出力とギア比を変えて旋回を補佐する動力を発生させる。もともとタイガー・シャークⅡに装備されたシステムではあったが、カク・サンカクのチューンアップは徹底していた。プロペラ軸の調整角度がオリジナルを上回っており、左右のエンジンの出力とギア比の変動幅を増大させて、回転差を大きくさせた結果、能動的旋回能力が大幅に向上していたのだ。また、プロペラ軸の駆動距離が大きくなったことや、左右の回転差が増大することによって、レスポンスの低下が一切見られないといった、非の打ち所が無い躾が成されていた。ルナと対峙したパイロットからは、妖怪変化の如く、消えては現れ、現れては消える、と映ったことだろう。目で追うことができたとしても、上下左右に自在に動くルナ機に対し、どんな反撃ができたであろうか。次々とルナの機銃に引き裂かれた機体の破片が飛び散り、それらがルナ機の風防をかすめた。翼に染み付いた液体は四散する機体から漏れ出した燃料か、それとも乗員の血しぶきか。何者もルナを止めることは出来なかった。彼の部下でさえも。それどころか、撃ち落とす相手がいなくなった時、ルナ隊にまで飛び掛って来そうな勢いだった。
「隊長! もう終わっています! もういいんです!」
フェルチアがあらん限りの声で怒鳴った。ルナは何も応答せず、そのままブリタニアに進路を取った。激しい鼓動と息遣いが徐々に静まっていくのと反して、同属を討ったという途方も無い空しさが込み上げて来ていた。
 その時、凄まじい殺気が編隊を包み、誰もが冷や汗を流しながら四方を凝視してその原因を探した。今までに感じたことが無い、悪意に満ちた殺気であった。
「怪鳥だ……。」
誰からともなく呟きが漏れた時、雲の合間から巨大な飛行機が現れた。それは空飛ぶ空母というべき規模だったが、悪魔座上の怪鳥というイメージそのものであった。翼の後には非常識な数のエンジンが並んでおり、リニアロータリーエンジン特有の腹に響くような排気系の重低音と甲高い金属音を吸気系と駆動系から響かせていた。その怪鳥が、これまでの音とは異なる低い大きな雄叫びを上げたかのように、空気を振るわせる鼓動とともに稲光に似た光を放った後、瞬時の沈黙に続いて幾つかの悲鳴が上がった。
「隊長~!」
「何だ!?」
「あれからの攻撃だ!」
「攻撃だと? あれは武器なのか?!」
混乱して取り乱した会話が飛び交っている中を、数機のタイガー・ルナが、タイガー・ルナであったであろう破片が、海上に落下して行った。恐るべき破壊力である。続けざまに稲光が再び空を駆け巡った。パニック寸前であり、中には定員以上に乗員を乗せた機体があるにも関わらず、ルナ隊は散会して攻撃体制に入っていたが、それでも数機のタイガー・ルナが部品以下の単位にまで粉砕されて消えていった。どこをどう飛んだのか、その時にはルナ機は怪鳥を射程に捕らえており、その銃口から銃弾を怪鳥に浴びせていた。銃弾は怪鳥の体に幾つもの穴を穿ち、整然と並ぶ機銃座の何機かを破壊した。
「怪鳥なんかじゃない! ただ、大きいだけの飛行機だ!」
ルナの叫びも空しく、かすり傷程度ではビクともせずに飛びつづける怪鳥の上面に並ぶ機銃座から、無数の迎撃弾がルナ機に放たれた。王家の血を引くルナにとって、それをかわすのは不可能ではない。空力学を駆使した翼面が発揮する受動的旋回能力と、各種の能動的旋回補助システムから得られるその動きには、対空機銃とて照準すること自体が神業に近い。照準がムリとみるや、怪鳥の機銃座からは一面の弾幕が張られた。ルナはそれらを僅かな挙動で寸分のところでかわし続けたが、ちょうどそこに飛び込んで来たルナ隊の隊員達にとっては、針のむしろに飛び込んだようなものである。軽量なタイガー・ルナは、数発の機銃弾で四散してしまい、次々に夜明けの太陽に光る海面に飲み込まれていく。
「退避しろ! 逃げるんだ!」
そんなルナの叫び声を待つまでもなく、各々が回避行動を取りながら散会していった。それはまるで、巨鳥に群がるハエのようだったろう。違いは巨鳥が武装していること。低空に、高空に、雲に、逃げ惑う隊機を見送りながらルナが怒鳴った。
「増装タンクを未だ付けているヤツはいるか!?」
基本的にそんな機体はいないはずである。航空戦に外装の燃料タンクを付けたまま臨む者など、ルナを除いてはいない。ブリタニアへの残りの距離を考えると、増装を切り離して怪鳥に戦いを挑んだ機体は、撃墜を免れていたとしても、もう戦闘できるだけの燃料は残っていないはずだ。つまり、ルナのこの問いかけの意味するところは、燃料に余裕がある機体が残っていれば、怪鳥から逃げるのではなく未だ戦いを仕掛けようということなのだ。たとえ増装を付けたままの機体があったとしても、通常の隊員は申告を躊躇したことだろう。
「私の機は未だ付けています!」
フェルチアである。定員オーバーであり、パイロット以外の人間を載せているため、戦域から離れていたので、増装を切り離していなかったのだ。歴戦の勇者が集うルナ隊の隊員でさえ黙ってしまったのを尻目に、彼女はあっさりと申し出て見せたのである。それは彼女がルナに対して抱く他の隊員以上の何かが成させる技なのか。
「よし、まだ一戦する燃料が残っているな。タンクを切り離して俺に続け。」
「勝機は?」
これだけルナに心酔する彼女であっても、流石におののいている様子が伺える。
「ヤツも普通の飛行機だ。我々の銃撃で被弾している。上部甲板上の銃座に破壊した所があって穴が開いている。そこに俺が切り離した燃料タンクをぶつける。貴様は俺の後方に控えて、タンクがぶつかった所を銃撃しろ!」
「無茶です、隊長! 飛びながらタンクを目標に、それも銃座に……」
「やるんだ、フェルチア! 俺はできる! そして貴様もできる!」
ニ機のタイガー・ルナが怪鳥に向かって突入した。
逃げたと思って油断していた怪鳥の乗員は、改めて突入してくるタイガー・ルナに面食らうことになった。その間隙を突いて、ルナ機とフェルチア機が極限にまで怪鳥に接近した。
「ここだ!」
タイガー・ルナのリニアロータリーエンジン用に強化された燃料を七割方満たしたタンクが、ルナ機から切り離された後もまるで手が添えられているかのように正確に飛んだ。銃撃で破壊され、穴があいた状態になっている元銃座があった所に、時速数百キロの相対速度で激突したタンクは変形・圧壊し、中身の燃料を怪鳥の体内に染み込ませていく。
「フェルチア! 今だ!」
ルナ機のエンジンが許容回転数を越えて唸りを上げ、後方に焼けたオイルの匂いを残しながら上昇に転じた刹那、フェルチアがスロットルレバー上面に配置された機銃の発射ボタンを力任せに押した。コンマ数秒のタイムラグも無く、フェルチア機の機首に装備された機銃から銃弾が怪鳥に浴びせられていく。既に広範に広がっていた燃料は、安全性のために発火温度が高められているものだったが、音速を超える銃弾が金属の機体を引き裂く時に発する高温の火花によって、いとも簡単に発火した。それが一瞬で爆発的に燃え広がっていくのを横目で確認したルナは、困難をやり遂げてやや放心状態のフェルチアを怒鳴りつけた。
「逃げるぞ、着いて来い!」
ただちに我に返ったフェルチア機は、反転上昇するルナ機を追ったが、怪鳥の上面に無数に配置された機銃もニ機を追った。ルナが再び鬼人の動きでひとしきりの弾幕を避けたが、怪鳥からの銃撃はすぐに止んだ。そしてルナが振り返った時、フェルチア機は視界にはなかった。ルナの目には、内部から火災を起こし、猛烈な黒煙を吐きながら高度を下げている怪鳥だけが映っていたが、それも涙でかすんで見えた。
「フェルチア……、俺の部隊に来たばかりに……。」
ルナにとっても、彼女に対して特別な感情が芽生えていたことに、ここでやっと気付いたのだ。無くして始めて気付くというのは、人の人たる所以か。前回、涙を流したのはいつだったか。ドーバー戦役の英雄とうたわれながらもブリタニアに追放された時でさえ、彼は涼しい顔を装っていたものだ。昨晩、旧知の戦友である副官の裏切りを知り、自らの手にかけた時とも違った、彼が初めて味わう苦渋であった。長い間に溜め込まれた涙が一気に溢れ出たとでもいうように、とめどなくそれは流れ続けた。

 呆然と飛び続けるルナ機の周りに、三割は数を減らした編隊が集結し、そのままブリタニアに向けて進路を取った。

<続きがあります。>

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何をするにしても。
心と頭がそのモードになっていないといけない。
好きなこと、楽しいことなら、意識せずとも自然にモードが切り替わる。

仕事モードへの切り替えには、それなりの儀式が必要だ。
『通勤』という行為は、なかなか優れた制度だと思う。
おいらの場合、通勤電車の中では読書をしていることが多い。音楽を
聞いていることもあるわさ、稀には。
そんなこんなの小1時間、職場に入る頃には仕事モードになっている
から不思議だ。帰宅時も、徐々にプライベートモードに変換されていく。
イライラしてたりアタマにきてたりすることも多いけど、引きずらない様
にしている。
仕事しない訳にはいかんのだし、まぁしょうがねぇべ。

今日は珍しく、朝からデートモード。
慣れないことはするもんじゃない。
調子が狂うっちゅうの。
一人になって職場に向う道すがら、何とも言い知れない違和感がある。
朝っぱらからニヤける怪しいおっさんから、くたびれたビジネスマンへの
モード変換。以前は、自然に切り替わっていく自分を第3者的に眺めて
いたりしたもんだけど、そうは行かないようだ。
ここんとこ、安定した勤務形態が続いていたからかな。いつもと違うと
いうことが、結構しんどいことなのね。
色んな職場を転々とすることが多いITの業界。みんな疲れる訳だよ。
しかし、そんなこと言ったら営業なんてもっと大変だよなぁ、きっと。

という訳で、モードの切り替えは迅速に。
そこに時間を使ってちゃ勿体無い。

今回の反省でした。

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