コントローラブル。
官僚の間では絶対の指標である。
自分達の意思でコントロールできないものなど、この国にあっては
ならないのだ。
長年、政権与党の座を占めている政党とは、阿吽の呼吸があった。
互いの顔を立てつつ、最終的には官僚機構の保全が成立してきた
のである。ところが、改革を旗印に掲げた首相とその内閣は強すぎ
た。圧倒的な支持率を背景に、構造改革が断行されていく姿は、
官僚にとって危機以外の何者でもなく、それらは排除されなければ
ならない。それから何代かの政権が短命に終わったのも、実は官僚
の暗躍の賜物である。そして、再び従前の官僚と密着した政権を
成立させるに至った。ここまでは筋書き通りである。
ところが、その政権は想定を超える不評を買ってしまった。国民は、
意識的かどうかは兎も角として、旧体制にNoをつきつけたのだ。
そして、野党の躍進。
容赦のない野党の攻撃は、当然のように官僚とその機構にも向け
られた。このまま野党に政権交代を許してしまっては、官僚組織の
崩壊を招く恐れがある。政治が官僚の手を離れてしまう。
その危惧を具現化させない画策が必要である。現内閣の支持率を
上げねばならないが、彼らの中に、向上という言葉はない。優れた
者を退場させることが画策なのである。
そして、内調室長のもとに、官僚を代表する賓客が現れたのだ。
ネタはある。検察が掴んでいる。
あとは、それをいつ行使するかの問題だと言う。
政治献金の問題が適当だろうとも言った。
野党を追い落とす結果が伴うのであれば、内閣とて諸手で歓迎する
に違いない。簡単なことだ。検察から不正献金を公表させればいい。
公安組織として、政局や自己保全の為に、公表時期をコントロール
してもいいものだろうか。室長は自問自答した。
勿論、答えはNoである。
しかし、慢性的な人手不足は、全ての案件に取り組むことを不可能
にしている。その結果、優先順位といったビジネス的観念が入り込
むのを許しているのが現状。そして、優先順位というものは、恣意的
になる宿命を帯びたものなのだ。
悩んでみても、室長も官僚の一人。選択肢は限られていた。
野党第一党の党首、政治献金の問題で・・・・
この記事が紙面を飾ったのは、室長室に賓客が訪れた翌日のこと
だった。そう、賓客が退出した後、彼は同期である検事総長に面会
した。何を言うべきかは明らかだった。内調の上位機関である内閣
と、官僚組織の保全。両者を成立させるのだ。
公安の長である検事総長とて、抵抗はしない。官僚としての大儀が
あるのだから。
彼らの大儀は、正義に優先するのだ。
・・・
なんて感じじゃないことを祈るばかり。
別に民主党の支持者だとは言ってませんが、様々は権力と思惑の
暗躍を邪推する今回の一件でした。
亡国のクリック。
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