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「日本の古典50冊」 阿刀田高 三笠書房

2015-04-12 | 読書

時々思い出す「古典」は「万葉秀歌」や「源氏物語」だけではなくて、まだ少しは影が残っている「方丈記」や「平家物語」の冒頭だったり、「徒然草」だったりする。
------古典とは、長い年月にわたってその民族の評価に耐え、尊重され続けてきたものだ。しかもその寿命はとてつもなく長い
五百年、千年、二千年くらいの歴史を持つものもある------

西行の生きた時代を知りたいと思い、時代背景を考えたりしていると、本屋さんでもいつもと違う棚に目が行ってしまった。
そこで見つけたこの本だが、読みやすく面白かった。編集も興味深く仕上がっている。

大見出しもあるが長くなるので、殆ど常識程度のものかもしれないが、私が初めて知ったか、過去に触れたかして興味を持ったものを列記する。それぞれに短いあらすじや読みどころが添えてある。いつか読む機会があるように記録した。

「出雲国風土記」奈良時代に書かれた出雲神話の本拠地の伝承を紹介する地誌。
「金槐和歌集」悲劇的な最期を遂げた鎌倉将軍、源実朝の家集。(名前だけ知っていただけ)
「徳和歌後万載集」古典のパロディを満載した江戸時代の狂歌集。
「山陽詩鈔」詩吟で人気の高い、頼山陽が詠んだ漢詩集。
「俳風柳多留」社会を鋭く風刺した川柳を満載。
「北越雪譜」鈴木牧之が雪国の生活を紹介した江戸時代のベストセラー。
「梁塵秘抄」後白河院が熱中した平安じだいの流行り歌。
「絵入狂言記」能と能の間に演じられるこっけいな台詞の台本集。
「作庭記」陰陽五行説に基づいた平安時代の庭つくりの秘伝書。
「喫茶養生記」鎌倉時代に、栄西が表した日本最古の茶書。
「正法眼蔵隋聞記」道元の弟子、懐奘がわかりやすくまとめた師の法語集。
「山上宗二記」山上宋二が千利休から伝授された茶の湯の秘伝書。
「和俗童子訓(女大学)」システム化した教育法を説いた貝原益軒の教育論。
「守貞謾稿」江戸時代の生活を詳しく記録した風俗百科事典。


大見出しは

栄枯盛衰の必然を知るための5冊
たおやかな感性に触れる5冊
波乱万丈の物語に酔いしれる12冊
日本独自のエンタテインメントに詳しくなる7冊
鋭い人生哲学に対峙する10冊
古人のビジネス感覚に学ぶ4冊
この分け方もわかりやすい。

阿刀田さんのコラム10編 から興味を引いたもの

ж 「花」といえば「桜」? 「梅」?どちらが正解
ж ルックスよりもまずは「和歌」ーーー平安恋愛事情
ж 平安時代の最先端科学「陰陽道」
ж「裏千家」と「表千家」ーーーそのルーツの違いはどこに? etc

この一冊で早分かり! と言うように軽くうわべをなでるだけの紹介分だったが仕方がない。それでも読み物として、とても面白かった。



 

コメント
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