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「二流小説家」デイヴィッド・ゴードン ハヤカワ・ポケット・ミステリ

2012-09-18 | 読書


 


最近大当たりで面白い本にばかり出会っている。おかげでテレビの録画がたまって、容量が残り少なくなっている。


語り手(ハリー・ブロック)は、ミステリ、ポルノ、ヴァンパイア小説、SFなどを生活のために書いてきた。ジャンルが変われば名前も変えて、やっと糊口をしのいでいる有様。それぞれの本に貼る肖像写真を苦し紛れに作り出すところがおかしい。アルバイトに高校生の家庭教師までしている。この生徒がまたマネージャーができるほどに優秀でハリーは助言を聞き、教える立場ながら教えられることが多い。そこに80日後に死刑になる男から、告白本を書いて欲しいと依頼が来る。迷った末にベストセラー作家を夢見て(結局は折れて)、書くことを引き受け面会に行くが、殺人犯は知的で狡猾だった。訳のせいか、作者のせいかとても読みやすく難解なところはない。それでいて、ハリーが今までに書いた作品の引用や、作者の生き方、思想、文学論もありコレがまた読ませる、面白い。この作者もミステリ好きで(そう書いている)、名の知れた探偵や刑事が織り込まれていて、ひょんなところでお名前にお会いして、と言う具合で、ちょっと嬉しい。


さすがポルノ小説の作家でもあり、露骨なシーンや言葉も出て映画化するならきっと15Rだろう、ただ、ミステリには始めがあって終わりがある。型どおり犯罪が起きて解決する、それはそうだが、そうやすやすと型にはまってはいない(と作者が書いているがそのとおり)こういうところも型破りな、変わったスタイルで面白い。


わかり安い種明かしが中にはであるそうだが、まったく見つからなかった。さすがに意外な展開は多く、スリルがある。ポケミスでも450頁は厚みがあって長い。それを飽きないで一気に読み通すことができる。面白さのエッセンスが詰まっている。アメリカ探偵作家倶楽部賞新人賞候補作、2011年のことだが、それでどうなったの、調べても答えはないけれど。次作はどうなるのだろう。★ また個人的には だ!


 

コメント
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