美術と本と映画好き...
徒然と(美術と本と映画好き...)




本作品を節目に活動を休止するク・ナウカの公演、とりあえず最後
の公演だからどまん中にくると思いきや、外角低めのちょっと打ち
にくいコース...

そんなところがいかにもク・ナウカらしい...

初めてク・ナウカの芝居を観たのは1995年の『サロメ~セ・グロテ
スク』、もう十年以上の付き合いになります。そのときに舞台の上
の美加里さんと目が合いました。彼女の動きが止まったほんの一分
くらいが、十分にも二十分にも感じられたのです。それ以来、虜に
なった私は機会があるたびに公演に足を運ぶようになりました。

演技をする役者と台詞を語る役者、二人一組で演じられるク・ナウ
カの芝居には確固たる型があります。しかし、ここ何年かの公演か
らは、そんな型を壊そうという工夫が感じられ...ま...

といったような語尾をぶつ切りにするような言い回しや、動きだけ
で表現するムーバーに言葉だけで表現するスピーカーなど、以前は
厳格に運用されていたルール。最近はそうした決まりごとよりも、
効果の方が優先されるようになっていたと思います。また、悲劇の
印象が強かった初期の作品から、近頃は喜劇(もしくは祝祭的で明る
く楽しい作品)など、その幅も広がりを見せていました(『マハーバ
ーラタ』という作品は、そのひとつの到達点だと思います)。

やっぱりモノを作る人たちなのですから、あるレッテルのようなも
のに対するジレンマのようなものがあったのでしょうか。十七年も
走ってきたのだから、ここら辺で少し、休んでみるのも悪くないの
ではないかな...

今回の作品からは猟奇的なものを感じ、それはそれで新しい機軸の
模索なのかしらとも思いつつ、居心地の悪さも感じました。だけど、
ラストのコーラスには、それまでのじめじめを吹き飛ばす開放感に
満ちていて、もっともっと続けばいいのにな...なんて思いました。

さよならク・ナウカまた会う日まで...

奥州安達原 (ク・ナウカ) 2/27 まで...


個人的に好きな作品を三つ選ぶとこんな感じかな...
・『サロメ』(1995 青山円形、2003 日比谷公園)
・『マハーバーラタ』(2003 東京国立博物館)
・『熱帯樹』(1997,2000 目白・旧細川侯爵邸)


あと『巷談宵宮雨』のような怪談仕立ての小さな芝居をむしむしす
る時期の恒例にして欲しかったな...


ブログに書いたク・ナウカ関連の感想集
アンティゴネ (2004/10)
マクベス (2004/11)
ぼくらが非情の大河をくだる時 (2005/2)
山の巨人たち (2005/3)
巷談宵宮雨 (若手演出家シリーズ 2005/6)
王女メデイア (2005/7)
ク・ナウカで夢幻能な「オセロー」 (2005/11)

コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )



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コメント
 
 
 
私も行きました (ogawama)
2007-02-25 22:22:31
そもそもク・ナウカを知ったのが「徒然と」で、見るのは今回がはじめてでした。
なので比較はできないのですが、どまん中じゃないというのはなんとなくわかるような気が。
>ラストのコーラス
あの辺で解き放たれました。
妙に高揚してしまって、楽しかったです。


 
 
 
Re: 私も行きました (lysander)
2007-02-26 00:12:46
ogawamaさん
コメントありがとうございます。

> 見るのは今回がはじめてでした。
(当面の)最後の公演が観られて、良かったですね。
ちょっとクセのある球でしたが、ク・ナウカのエッセンスは
感じられました。
付録のDVDもなかなかでしたね。
 
 
 
はじめまして、かな? (菊花)
2007-03-05 00:12:57
美術系ブログでこれまですれちがっているかとは思いますが、たぶん直接のご挨拶は初めてかと。芝居道楽+美術館道楽+本読みの菊花です。
ク・ナウカ、これまで見逃してきたのですが、ようやく見ることが出来ました。しかも先日文楽で見た『奥州安達原』の続き。うわー、こう来るのかーと楽しめた舞台でした。強度の方言?とか、ラストの土蜘蛛とか、やってくれるなーと思ったのでした。
実は、美人と噂の美加里も楽しみだったのですが、あのメイクでは…(しょぼーん)
 
 
 
Re: はじめまして、かな? (lysander)
2007-03-06 01:26:50
菊花さん
こんばんは

この公演はちょっと変化球でしたが、観られて良かったですね。
# この次はいつになるか分かりませんものね...

菊花さんは随分と芝居を観ているのですね。
私はこの劇団がなくなったらほとんど観にいくのがなくなって
しまいます...(^^;
 
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