SPECULA #7「都市と芸術をめぐる現実(リアリティ)」川俣正ｖｓ桂英史

川俣正さんと桂英史さんのトークイベント。ちょうど東京藝大の先
端研の修了制作展のオープニングと重なっていて、大盛況でした...

以下、印象に残った発言をかいつまんで...

昨今のアートフェアのあり方について
川俣『ノウハウに乗った方法が定着してきてつまらなくなった。ま
た、観る側もフレーズに乗ったものを要求するようになってきた。
サイトスペシフィックはもういいや。作りたくない。』

日本と西洋でのアートの観方にについて
川俣『西洋ではアートは特別な人しか作れないと思われている。だ
から観客参加型の作品を海外に持っていったら注目を集めると思う。
一方、日本にはそうした考えがなく、誰もが作れると思っている。
だから観客参加型の展示がうける。』

日本と西洋でのマーケットについて
川俣『アブダビのような予算の上限のないところにプロポーザルを
出して、自分の小ささを知った。あそこは40年前まで砂漠だったと
ころ。街を作るということとパブリックアートを作るということに
垣根がない。』
桂『マーケットがあるからクリティクスが鍛えられるのではないか。』
川俣『西洋だとひとつの価値観を持っているとリスペクトされるし、
とんでもないことに賛同してくれる人がいる。若い頃は売れない、
マーケットに乗らないモノを作ることによって、売れていこうと思
っていた。』

ここら辺。西洋と日本とはバックボーンが違うから、違うものは違
うものとして別々に語ったらいいという雰囲気で...

川俣『ポリティクスよりも環境的な条件の方が面白い...』

日本のアートの状況について...
桂『日本では色んなものが観光になってしまう...日本には芸術はな
いけど芸能はある。クリシェは芸能...アメリカの現代アートは国ぐ
るみでポリティカルに作られたアート。それを日本は表層的に真似
て...』
＃ 何をさして表層的に真似たと言っているのか聞いてみたかった...

観客について
ゲスト『観る側の人たちも分からなければならないと思いこんでい
る。それはきっと教養として観ているからだろう...』
川俣『作品から言葉が出るのは作品が弱いということ...現代アート
が分からないとかいうけど、興味がなかったら観るな！現代美術を
そんな中途半端な言葉でカテゴライズするな！作品を観ればそれで
いい。ひとつひとつの経験が蓄積することによって自分が何が好き
なのか分かってくるはず。嫌いな人に好きな事を語っても通じはし
ないし、ポピュラリティを現代アートに求めるな！』

若者君について
ゲスト『どこかに作品の条件があるのではないかと思い込んでいる...
そうした条件から自分で作れるのが本当の作家。』
川俣『作家はしかけないといけない。ノウハウに乗らないで混乱さ
せるようなことをしかけないといけない。』

会場からの発言にも鋭いのが多かった。
アート系のコンサル『この十年、アーティストを街づくりの現場に
連れてくることが多かった。住民をだまらせるためのシンポジウム
なども多く見てきた。だけど、そんなガス抜きに使われるアートは
観たくない。作家には予定調和を超えたモノを、言葉じゃない表現
をバシッと見せてほしい...（会場内から拍手）』

あと、一番おかしかったのが
桂『川俣さんは美術史を何も知らない...』

やっぱり川俣正からは目が離せません...