入江のいざない(ギャラリー不定点観測 番外篇)

その絵には朝の空気を感じる。明朗な空気。暗闇は溶け、朝焼けの
紅みがわずかに残る。人はだれもいない。空気はさえざえとしてい
る...

『入江のいざない』という名のこの小品は、淡い空色と淡い水色が
印象的な作品です。空にはほんのりとした紅が射しています。
ほとりにたたずむ三本の樹木と、空をめぐる小鳥の...ベージュ...

これまでは人からいただいた絵を飾っていたのですが、日本画は今
回が初めてです。あらためて手元に置いてみると、油彩や水彩とは
違った、独特の雰囲気が感じられます。買ったからこそ気づけるこ
とってあるのだな...

土曜日に生まれて初めて画廊で買い物をしました。翌水曜日に画廊
のご主人からお手紙をいただきました。この作品の作家さん(三十代
前半の女性)は大作も描かれていること。この小品からは、そんな大
きな作品とは違った、優しい心情が伝わってくるように思うこと。
そして、この作品を気に入ってくれた人の、初めての買い物になっ
て嬉しく思うこと...そんな言葉が綴られていました。

前々から、部屋を飾る作品が欲しいと思っていました。生活の中で
毎日顔を合わせる作品なので、自然のモチーフが好ましいと思って
いました。そんなときに出会ったのがこの作品です。作家さんが自
分で選んだという銀色の額縁に、繊細な色。最初はそこだけ浮かん
だようにみえてた空間が、日に日に目にしっくりしていきます...
あるいは、この作品が、新しい居場所になじんできたのかもしれな
いな...

これから過ごす人生の後半戦を、共に歩む仲間...