森羅万象、政治・経済・思想を一寸観察 by これお・ぷてら
花・髪切と思考の
浮游空間
*応援お願いします*
カレンダー
2006年5月 | ||||||||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | ||
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | |||
7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | ||
14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | ||
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | ||
28 | 29 | 30 | 31 | |||||
|
goo ブログ
最新の投稿
8月6日(土)のつぶやき |
8月5日(金)のつぶやき |
6月4日(土)のつぶやき |
4月10日(日)のつぶやき |
2月10日(水)のつぶやき |
11月12日(木)のつぶやき |
10月26日(月)のつぶやき |
10月25日(日)のつぶやき |
10月18日(日)のつぶやき |
10月17日(土)のつぶやき |
カテゴリ
tweet(762) |
太田光(7) |
加藤周一のこと(15) |
社会とメディア(210) |
◆橋下なるもの(77) |
◆消費税/税の使い途(71) |
二大政党と政党再編(31) |
日米関係と平和(169) |
◆世相を拾う(70) |
片言集または花(67) |
本棚(53) |
鳩山・菅時代(110) |
麻生・福田・安倍時代(725) |
福岡五輪幻想(45) |
医療(36) |
スポーツ(10) |
カミキリムシ/浮游空間日記(77) |
最新のコメント
Unknown/自殺つづくイラク帰還自衛隊員 |
これお・ぷてら/7月27日(土)のつぶやき |
亀仙人/亀田戦、抗議電話・メールなど4万件突破 |
inflatables/生活保護引き下げ発言にみる欺瞞 |
これお・ぷてら/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/10月2日(火)のつぶやき |
これお・ぷてら/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/国民の負担率は低いというけれど。 |
THAWK/10月2日(火)のつぶやき |
THAWK/[橋下市政]健康を奪い財政悪化招く敬老パス有料化 |
最新のトラックバック
ブックマーク
■ dr.stoneflyの戯れ言 |
■ machineryの日々 |
■ えちごっぺのヘタレ日記 |
■ すくらむ |
■ 代替案 |
■ 非国民通信 |
■ coleoの日記;浮游空間 |
■ bookmarks@coleo |
■ 浮游空間日記 |
過去の記事
検索
URLをメールで送信する | |
(for PC & MOBILE) |
どこにいる? キクスイカミキリ
子どもの頃たくさんいて、最近ではなかなかお目にかかれない髪切がいます。たとえば、キクスイカミキリはあぜ道の端っこに植わっているヨモギでよくみかけたカミキリです。体長わずか10ミリにみたない程度の小さなカミキリです。全身黒っぽく、前胸部の中心付近が赤い、それが目印になる種です。どこにいってしまったのか。
もう一つ。リンゴカミキリです。これは、小学校の校内のサクラの木でたくさんみることができたのです。サクラの若葉を後食し、木の周りをあちこち飛び回るこのカミキリの姿がいまでも記憶に残っています。リンゴカミキリの仲間は、九州の低山地でもいくつかの種類をみることができるようです。けれども、私たちの子どもの頃のように平地でみかけることは、少なくとも私は最近ではありません。
思想としての加藤周一
何よりも思考の明晰さ。その上に―和漢洋に通じ該博な石川淳を加藤はよく引き合いにだしますが―、かくいう加藤本人の該博ぶりにも私は驚かざるをえないのです。加藤は最近、九条の会を舞台に実践的に社会運動にかかわっています。
こんな加藤自身をふりかえる書、これが『20世紀の自画像』でしょう。1919年生まれの加藤は、15年戦争にむかう戦前と戦中、敗戦をへて戦後の日本を、日本で、そして日本の外からみてきたといえるでしょう。その加藤の視点でかかれてきたのが、たとえば朝日新聞の時評『夕陽妄語』であり、これをよんだ人はすくなくないでしょう。
この本では、さまざまなテーマをとりあげていますが、1つだけ日本のナショナリズムに関する言説を紹介します。加藤はこのようにいいます。
「ナショナリズムという以上、国の独立が大事でしょう。独立の内容は何かというと、今言ったようにフランスでは言語や文化。アメリカでは民主主義に最近では軍事力が加わった。日本では今まで国家神道と軍事力でしたが、それが戦後失われて、ナショナリズムに根拠がない。どうして日本で右翼的なナショナリズムが力を得ずにきたのか。ナショナリズムの感情はアメリカ追随に反発する。しかし軍事力の増強を求めているので、親米的であればあるほど軍事力増強になる。親米ではナショナリズムではないでしょう」
これは小熊英二のいう「おかしいナショナリズム」を別の言葉でおきかえたといってよい。日本の深刻な対米従属について、加藤は、「米国との軍事同盟の強化は、アジアでの孤立から脱出すために役立たないばかりでなく、現状ではむしろそれを強化するようにみえる」と指摘します。日本が「歴史認識」に固執するかぎり、アジアの人びとの反日感情と対日批判のいら立ちは、おそらく再び爆発するだろうという見通しにたって、加藤がのべる「それは日本のみならず、アジア、殊に東北アジアにとっての大きな不幸」という言葉に私はまったく同感します。
本書第二部の成田龍一『戦後思想史のなかの加藤周一』は、よく整理された加藤周一論になっています。
加藤周一『20世紀の自画像』(ちくま新書)
まだまだ続く新種のカミキリ
日本では蝶とともに、カミキリはよく研究され調査がすすんでいます。
でも、『カミキリ通信』188号によれば、日本産のカミキリは約936種(亜種を含む)で、いまだに新種が登場しています。
本ブログでもよく紹介するウェブサイト「カミキリ情報館」で大珍品としてあげているカミキリは以下のとおりです。
イシガキケブトハナカミキリ
Calaphia lepturoides babai Makihara,1982
ヒメヨツスジハナカミキリ四国亜種
Leptura kusamai keiichi N.Ohbayashi,1999
アカオニアメイロカミキリ
Obrium cantharium shimomurai Takakuwa, 1984
ツジヒゲナガコバネカミキリ
Tsujius itoi K.Ikeda,2001
オキナワトゲヒゲトラカミキリ
Demonax sawaii Ikeda, 1990
タイワンチビカミキリ
Sybra(Sybra)pascoei taiwanella Gressitt,1951 与那国島産のみ
サドミヤマチビコブカミキリ
Miccolamia(Isomiccolamia) glabricula sadoensis Hasegawa et N.Ohbayashi,2001
ヤクチビコブカミキリ
Miccolamia(Isomiccolamia) yakusimensis Hasegawa et N.Ohbayashi,2001
ヤエヤマドイカミキリ
Mimectatina divericata yaeyamana (Toyoshima,1982)
リュウキュウクモガタケシカミキリ
Exocentrus takakuwai Makihara,1986 奄美諸島(徳之島)
でも、『カミキリ通信』188号によれば、日本産のカミキリは約936種(亜種を含む)で、いまだに新種が登場しています。
本ブログでもよく紹介するウェブサイト「カミキリ情報館」で大珍品としてあげているカミキリは以下のとおりです。
イシガキケブトハナカミキリ
Calaphia lepturoides babai Makihara,1982
ヒメヨツスジハナカミキリ四国亜種
Leptura kusamai keiichi N.Ohbayashi,1999
アカオニアメイロカミキリ
Obrium cantharium shimomurai Takakuwa, 1984
ツジヒゲナガコバネカミキリ
Tsujius itoi K.Ikeda,2001
オキナワトゲヒゲトラカミキリ
Demonax sawaii Ikeda, 1990
タイワンチビカミキリ
Sybra(Sybra)pascoei taiwanella Gressitt,1951 与那国島産のみ
サドミヤマチビコブカミキリ
Miccolamia(Isomiccolamia) glabricula sadoensis Hasegawa et N.Ohbayashi,2001
ヤクチビコブカミキリ
Miccolamia(Isomiccolamia) yakusimensis Hasegawa et N.Ohbayashi,2001
ヤエヤマドイカミキリ
Mimectatina divericata yaeyamana (Toyoshima,1982)
リュウキュウクモガタケシカミキリ
Exocentrus takakuwai Makihara,1986 奄美諸島(徳之島)
ナイターと髪切
ん? ナイターと髪切? カミキリってナイターすんの? しり上がりのイントネーションが聞こえてくるようです。この時期、テレビではどこかで必ずといっていいほど中継をやっているのでそう思われるのも当然かもしれません。
いやいや、カミキリはナイターはしません。するのはカミキリ屋さんなのです。
カミキリ屋さんのナイターとは、灯火採集のこと。つまり、昆虫、ここではカミキリたちの灯火に集まる性質を利用した採集の方法なのです。
カミキリ屋さんのナイター、これは重装備を必要とします。車がひっきりなしに行きかう都会のなかでは通常、採集はやりませんから、山間の見晴らしのよいところでやる。そうすると、もちろん、灯火を準備するためにはポータブルの発電機を要するのです。それだけではなく、灯火の後ろに張る白いスクリーン、そしてそれを支えるポールと結構、大がかりなのです。しかも真夜中のことですから、体力も消耗する。これだけでもう私はためらって、本格的なナイターへの参加はなかなか。
そのかわりに(といってもナイターには所詮かなわないのですが)、いまは相当の山奥でも自販機はある。また、街灯もそこそこあるのです。捨てたものではありません。だから、これらを見回ってよく観察すれば、カミキリにも出会うことができるでしょう。
すいぶん前のことですが、山間のダムの、いくつも設置された大きなライトに前夜から集まった昆虫たちの、翌朝のおびただしい死骸に驚いたことがあります。昆虫も以前にくらべると数は減っているとはいえ、それでも見ることはできるはずです。
ナイターには、どちらかといえば曇りがちの日の、むし暑い夜がよいようです。
カミキリはこのように、花や伐採木、ソダだけでなく、灯火にも集まります。
写真は誘蛾灯。私の田舎では、子どもの頃、田んぼのあちこちでみかけました。
【灯火に集まるカミキリ】ホソカミキリ、ウスバカミキリ、クロカミキリ、ムナクボカミキリ、ゴマフカミキリなど多数。
新しい福祉国家
著者によれば、現代日本では、憲法9条と25条が新自由主義と新福祉国家の対決の渦中におかれている。そこで、この対決の構図を視野に入れ、新福祉国家の道を探る、これが本著『憲法25条+9条の新福祉国家』の課題とされています。
タイトルが示すように、二宮厚美さん(神戸大学)は、憲法9条と25条を双子の関係としてとらえ、その現代的な意義を明らかにした上で新しい福祉国家、少なくともその筋道を展望しようとしています。
そこでは、著者はアマルティア・センの思想に依拠しつつ、新福祉国家の理念として人間の発達保障を主張します。
センは、人間のもちあわせる諸機能を選択的に組み合わせて実現する能力の発達が平等に保障されることを説くのです。
著者によれば、諸機能とは、健康に生きるとか、おいしいものを堪能する、スポーツ・芸術を楽しむ、自然環境を享受する、友人と語らう、といった人間らしい生活を充足する機能のこと。
新しい福祉国家という以上、そうでない福祉国家がすでに存在していた。それを、二宮さんは、日本においては「強力な企業社会プラス未熟な福祉国家」と特徴づけています。そうすると、現局面は、新自由主義が戦後日本に特徴的な福祉のあり方に牙をむいている、ということでしょう。
そこで、二宮さんのいう二正面作戦が提起されます。その1つは、「未熟な福祉国家」を新自由主義の攻撃から守り、発展させること、いま1つは、「強力な企業社会」「利益誘導型開発主義」のくずれから、新たな福祉国家の養分や活力をくみとること。ところが、ものごとは単純ではない。新自由主義がおしつける弱肉強食のなかに、私たち自身がおかれ、いわば戦場の様相を呈することになるからです。
では、どう打開するのか。本書の終章の末尾にそれは示されています。「憲法を生かす国民運動の未来」が中見出し。著者がいうように、「要求や権利を声に出しても所詮は無駄、なんの効果もないという無力感が漂うなかでは、権利意識はなかなか発展しないし、高まることも難しい」。地域・職域にまたがる運動、国民的な組織の役割がいま重要になる、と二宮さんは指摘します。単なる研究者ではなく、さまざまな社会運動に実践的にかかわってきた人たるゆえんがここにあります。
だが、社会保障は、制度的に細分化されています。このことが国民の間の分断を可能にしている面もある。センのいう潜在能力を享受する層が権利を主張することだけでは「戦場の様相」を打開できない。そうでない層の想像力を働かせることも打開には必要なのです。このブログで最上敏樹さんをとりあげましたが、そこでいう「平和ならざる状態」への関心が求められているのです。
二宮厚美『憲法25条+9条の新福祉国家』(かもがわ出版)
文明の衝突/内なる衝突の交差
大澤氏の言説を概括すれば、つぎのようになります。
(文明の)対立は2つの水準で登録され、両者が、短絡的に同一化されている。第一に、それを「文明の衝突」-文明の外的な衝突-としてとらえるならば、対立は「普遍思想」をめぐってである。実際には普遍化しきれない、互いに独自の「普遍思想」をかかげる、国際的な共同体が対立しあっている。いま一つに関しては、共同体の内部にひそむ亀裂として、共同体としての価値観の中核的な部分に関しては合意があるにもかかわらず、この中核的な部分に関して、ほとんど差異がないことが葛藤の源泉になっている
この言説にしたがえば、9・11テロは、アメリカにとっては、まさに青天の霹靂としてあり、外部からの不意打ちとして受け止められたのでした。外的でも内的でもあるような衝突、深刻な葛藤を引き起こす要因たる「敵」は、純粋に外在的なものではなくなります。つまり、葛藤の原因は内からも生まれ出るものなのです。その結果、9・11テロがもたらした最も顕著な変化としてセキュリティ(安全保障)に対する「配慮の未曾有の高まり」があった。敵は遠くだけにいるのではなく、世界中に、そしてここにもあそこにもいるということになるのだから。いいかえれば、これは内戦状態の普遍化ということであり、際限のない「敵探し」に乗り出すことになります。これでは問題を解くことはできない。
では、大澤氏は何によって問題を解くのか。結論だけをあげると、軍事的行動よりはるかに効果的な「テロ対策」としての、大規模な経済援助。自己と他者を共通に囲う真の普遍性、<普遍性>があるとすれば、それはお互いが「何かであること」を根本から否定し、無化する、つまりアイデンティティの変容によってもたらされる。この変容は、赦しの行為において引き起こされる。これが、大澤氏が結論づけたことでした。
問題は、氏のいう「内なる衝突」の構図のなかにウサマ・ビンラディンなどのように、イスラム社会にありながら特権化された共同体をどう位置づけるかということです。
ウサマ・ビンラディンは、よく知られているように、サウジアラビアのビンラディン・グループの一員です。ビンラディン・グループは、Saudi Binladen Group(SBG)と総称される、サウジ国内最大の建設業者。
この階層は、共同体としての価値観の中核的な部分に関してはアメリカと合意があり、そしてこの中核的な部分に関してアメリカ社会とほとんど差異がないのではないか、という疑問です。9・11の計画の始終をあらかじめアメリカは察知していたという風説に表されるように。したがって、この共同体はイスラム社会と実は対立しているのでないか。文明の衝突と「内なる衝突」が交差しているのです。
大澤氏の同書は今日の時点にたって読み返されなければならないと思います。
大澤真幸『文明の内なる衝突』(NHKブックス)
「牛」という漢字
髪切は、中国語では天牛。蝸牛はカタツムリですから、天牛と蝸牛との共通項である「牛」という漢字は、どうやら触覚、ツノを表すようです。牛のツノとカミキリの長い触角はどこからみても似ているとは私には思えませんが、ともかくカミキリは天牛なのです。
その天牛について、構造主義生物学者として知られる池田清彦さんは『昆虫のパンセ』のなかで、その魅力の源をつぎのように語っています。
「精巧でエレガントで、えも言われぬ品格」
私が髪切に魅かれるのも、まさにこの言葉の語るところと同じです。たとえばルリボシカミキリをみて、だれもがエレガントだと感じざるをえないでしょう。そして、その触覚や鞘翅(さやばね)の精巧さと品格に驚く人は少なくないと思います。
忙しくて放っていた連休中の髪切のなかに、ピックニセハムシハナカミキリもでてきました(写真)。このカミキリは、春から初夏にかけて出現、カエデやサワフタギなどの花に飛来するようです。写真のカミキリもやはりイロハモミジの花に来ていたものです。「図鑑21世紀」で紹介されているように、縦じま型になっています。
分布は局地的。
オリンピック幻想
これを考えるのにちょうどよい本があります。吉見俊哉さんの『万博幻想』です。
そのとびらには、こう書かれています。
「万博は一貫して、豊かさへの大衆的な欲望と国家の開発主義政策との癒着を可能にする仕掛け―万博幻想―として機能してきた」
吉見さんがとりあげているのは、大阪万博、沖縄海洋博、つくば科学博、愛知万博ですが、国家を福岡市という枠組に置き換えて考えてみると、先の引用がよくあてはまります。
著者は戦後万博の歴史をつぎのようにふりかえっています。
第一に、知識人たちの理念がくり返し博覧会協会のちぐはぐなシステムのなかで挫折してきた歴史
第二に、会場となった列島の丘陵部や沿岸部とその後背地が、他の国家的なプロジェクトと連動しながら開発され、その自然景観を変貌させられてきた歴史
第三に、そのようにして誕生した代わり映えしない未来都市に、膨大な大衆が自分たちの「豊かさ」を確認する舞台を見出していった歴史
知識人たちの役割を考える上でその理念の挫折のみをとらえることに、私は疑問が残りますが、けれど、上の3点は戦後日本の万博の本質をついていると思います。
まさに、山崎福岡市長の立候補宣言には、彼がそこまで戦略的に練り上げる能力をもつ人物かどうかは別にして、おそらくこの3つがからみあう力学が働いているのはまちがいないでしょう。万博と同じく福岡オリンピックは、とびらの言葉にあるように、豊かさへの大衆的な欲望と開発主義政策との癒着を可能にする仕掛けー幻想―として機能するのです。
働く力のなすがままになっていてはたまりません。少なくない市民がいま、この仕掛けを見抜いています。そこに私は可能性をみます。戦後の万博と同じ系譜に位置づけられることのないように、招致をストップさせる、この一点での共同が必要です。
吉見俊哉『万博幻想』(ちくま新書)
選択可能性と予測不可能性
複雑系は、以下の3つの特性を備えているといわれています(中村量空『複雑系の意匠』)。
開放性、非線形性、組織性がそれです。システムが開放性をもつとは、それが閉鎖されておらず、外部にエネルギーを放出したり、逆に外部からエネルギーを吸収したりすることを意味しています。したがって安定的な状態を保つことができないために状態を予測することが困難な系だといえます。非線形とは、むろん線形に対立する概念ですが、線形とはたとえば、1と1を足せば2になり、2を1と1に分けることができる数の世界のように、総合と分解の過程で部分が変化することのない系をさします。だから、非線形とは、部分の和だけでは全体が形成されない世界だと考えてよいでしょう。3つ目の特性である組織性とは、環境への適応を自律的に制御しながら組織化することとされています。したがって、この特性は、過去の軌跡に依存した形態をもつ生物や社会に特有のものと考えられています。
われわれの暮らす社会を考えてみると、規範/規則にもとづく拘束性と、それとは相対する規範/規則から離反した自由性との対抗のなかにあります。そこまで考えなくても、少なくとも私のまわりには、自分と同じように考え、同じように行動することに価値をおく、すくなくない人びとがいます。そこに発展の契機があるのかどうか。
ポイントは、主体が自己の想像力を発揮し、独自の方法をもちいて行動できる余地を残しておくことです。この点でまさに、主体の選択可能性を保障することが発展には不可欠だといえるのでしょう。それぞれの主体が、自らの思考をめぐらせ、たちどまり、また対象にはたらきかけ、苦闘しながら、対象である他者がこんどは主体に転移する瞬間に、つながりがうまれたとき、自己である運動の主体は何ものにも変えがたい達成感を感じとるのではないでしょうか。
中村量空『複雑系の意匠』(中公新書)
開放性、非線形性、組織性がそれです。システムが開放性をもつとは、それが閉鎖されておらず、外部にエネルギーを放出したり、逆に外部からエネルギーを吸収したりすることを意味しています。したがって安定的な状態を保つことができないために状態を予測することが困難な系だといえます。非線形とは、むろん線形に対立する概念ですが、線形とはたとえば、1と1を足せば2になり、2を1と1に分けることができる数の世界のように、総合と分解の過程で部分が変化することのない系をさします。だから、非線形とは、部分の和だけでは全体が形成されない世界だと考えてよいでしょう。3つ目の特性である組織性とは、環境への適応を自律的に制御しながら組織化することとされています。したがって、この特性は、過去の軌跡に依存した形態をもつ生物や社会に特有のものと考えられています。
われわれの暮らす社会を考えてみると、規範/規則にもとづく拘束性と、それとは相対する規範/規則から離反した自由性との対抗のなかにあります。そこまで考えなくても、少なくとも私のまわりには、自分と同じように考え、同じように行動することに価値をおく、すくなくない人びとがいます。そこに発展の契機があるのかどうか。
ポイントは、主体が自己の想像力を発揮し、独自の方法をもちいて行動できる余地を残しておくことです。この点でまさに、主体の選択可能性を保障することが発展には不可欠だといえるのでしょう。それぞれの主体が、自らの思考をめぐらせ、たちどまり、また対象にはたらきかけ、苦闘しながら、対象である他者がこんどは主体に転移する瞬間に、つながりがうまれたとき、自己である運動の主体は何ものにも変えがたい達成感を感じとるのではないでしょうか。
中村量空『複雑系の意匠』(中公新書)
招かれざる客
土場というカミキリの世界
伐採した木材などの集積場を土場とよんでいます。土場は、髪切たちの産卵や配偶行動の場所であって、カミキリたちがよく集まります。
どちらかといえば針葉樹より広葉樹のほうがより多くの種類のカミキリが集まるようです。
カミキリは、生木だけでなく、枯れた材にもたくさんの種類があつまります。詳しく調べると、同じ枯れた材につくカミキリでも、まだ伐採されて新しいものにつくものや、ほとんどボロボロになった材につくカミキリもいるようです。
いずれにしても土場にいけば、よくカミキリの交尾や産卵するシーンに出会います。それだけカミキリにとって、土場はえがたい場所ともいえるのではないでしょうか。
あなたも土場をみつけたら、ちょっと足を止めてムシたちの世界をのぞいてみませんか。そこには未知の世界が広がっているはずですよ。
オリンピック開催地立候補のむこう
データマックス社の「市政ニュース」が最近、福岡市の江頭副市長をよくとりあげています。まるで市長であるかのような扱いです。
たとえば、彼はつぎのようにインタビューのなかで語っています。「港湾局の計画部長のときに手がけられた仕事が、福岡タワーであり、マリゾンであるわけですね」という問いにたいして、江頭氏はこう答えています。
「民活、ウォーターフロント開発を中心に手がけました。もうひとつの重大なやつは、和白の計画をどうするか。陸からずっと埋立をしていく方式か、あるいは干潟をずっと残していくのかという、二つの選択があり、それを人工島方式に変えて、それ以前の計画をちゃらにして、海岸線と水面を残すということになりました。平成2年の2月に。」
まさに人工島計画に、当の江頭氏自身、加わっていたわけです。
オリンピック招致を契機に浮上した北天神開発構想。これには江頭氏はこう答えています。
「もうひとつは、港湾計画を立てるに当たって、長期計画を作らないといけない。将来方向にあった上で、法定は10年ですけど、もっと長く見た上で10年間をどうするか。将来構想のときに、須崎ふ頭も、ここをどうするかというので絵を描いたんですよ」。
当時から須崎ふ頭の再開発というのは俎上にあがっていたわけですね。ちょうど天神北ランプが開通するころですね 、と『市政ニュース』の記者が問うと、「天神の、西鉄の駅をどうするかというのと同じくらいの時期ですが、北天神でKBCさんを中心とした勉強会をやってて、ショッパーズさんとか、ベスト電器さんとか、あの辺まできちんと都心開発をして、それにあわせて漁港も変えてほしいと、港湾の須崎も将来変えなくちゃいけないと。
そのときはちょうど、世の中全体としては『水辺の都心でなくちゃいけない』とウォーターフロントにふさわしいもの、でかつ都心機能を持つ、シーポート、いわゆる港、テレポート、情報化の港、ターミナルというものを作らなければならない。それを62年か63年に作った。
20年前の亡霊が再びよみがえる。(江頭氏は)「まさにオリンピックを契機とした須崎ふ頭の再開発にまた立ち会うということになる」(『市政ニュース』)。
『市政ニュ-ス』は、山崎広太郎市長8年の検証 ~元支援者が語る「市長の変節」」も同時に連載しています、山崎市長のオリンピック開催地立候補のむこうに何があるのか。この2つの記事の連関をかんぐるのは、この私だけなのでしょうか。
データ・マックスホームページは
http://www.data-max.co.jp
たとえば、彼はつぎのようにインタビューのなかで語っています。「港湾局の計画部長のときに手がけられた仕事が、福岡タワーであり、マリゾンであるわけですね」という問いにたいして、江頭氏はこう答えています。
「民活、ウォーターフロント開発を中心に手がけました。もうひとつの重大なやつは、和白の計画をどうするか。陸からずっと埋立をしていく方式か、あるいは干潟をずっと残していくのかという、二つの選択があり、それを人工島方式に変えて、それ以前の計画をちゃらにして、海岸線と水面を残すということになりました。平成2年の2月に。」
まさに人工島計画に、当の江頭氏自身、加わっていたわけです。
オリンピック招致を契機に浮上した北天神開発構想。これには江頭氏はこう答えています。
「もうひとつは、港湾計画を立てるに当たって、長期計画を作らないといけない。将来方向にあった上で、法定は10年ですけど、もっと長く見た上で10年間をどうするか。将来構想のときに、須崎ふ頭も、ここをどうするかというので絵を描いたんですよ」。
当時から須崎ふ頭の再開発というのは俎上にあがっていたわけですね。ちょうど天神北ランプが開通するころですね 、と『市政ニュース』の記者が問うと、「天神の、西鉄の駅をどうするかというのと同じくらいの時期ですが、北天神でKBCさんを中心とした勉強会をやってて、ショッパーズさんとか、ベスト電器さんとか、あの辺まできちんと都心開発をして、それにあわせて漁港も変えてほしいと、港湾の須崎も将来変えなくちゃいけないと。
そのときはちょうど、世の中全体としては『水辺の都心でなくちゃいけない』とウォーターフロントにふさわしいもの、でかつ都心機能を持つ、シーポート、いわゆる港、テレポート、情報化の港、ターミナルというものを作らなければならない。それを62年か63年に作った。
20年前の亡霊が再びよみがえる。(江頭氏は)「まさにオリンピックを契機とした須崎ふ頭の再開発にまた立ち会うということになる」(『市政ニュース』)。
『市政ニュ-ス』は、山崎広太郎市長8年の検証 ~元支援者が語る「市長の変節」」も同時に連載しています、山崎市長のオリンピック開催地立候補のむこうに何があるのか。この2つの記事の連関をかんぐるのは、この私だけなのでしょうか。
データ・マックスホームページは
http://www.data-max.co.jp
同定、この極め難きもの
連休中に黒岳のふもとのカエデに来ていたヒゲナガコバネカミキリは何であったか。同定してみました。もともと同定は得意とはいえない。とくにこのヒゲナガコバネカミキリはお互いによく似ています。ネットの図鑑21にのっている図表にてらしてやってみるのですが、これがまたうまくいきません。
図でみるかぎり、写真の2頭はカエデヒゲナガコバネカミキリのようにみえるのですが、どうでしょうか?
数年前からカミキリの魅力にひかれた私は、ヒゲナガコバネカミキリを宝満山ではじめてみました。4月下旬、大きなモミジの木の花をすくってみると、他の昆虫にまじって、何やらネットの中でうごめく小さなハチのようなものが目にとまりました。でも、よくみるとハチのように元気ではない。ネットの上を触角をゆらゆらと動かしながら這い回るもの、それがコジマヒゲナガコバネカミキリでした。
ヒゲナガコバネカミキリといえば、福岡県になじみの深い種がいます。ヒコサンヒゲナガコバネカミキリです。
同種は、県内では英彦山や犬ケ岳で採集されており、九州では局地的に産するといわれる稀少種です。
しかし、同定を極めてみたい!
開発推進を表明ー福岡市オリンピックQ&A
オリンピック招致の世論づくりのために、福岡市がアンケートをはじめました。けれど賛否は問わない。このアンケートの資料と同じQ&Aを、招致準備事務局が市のサイトにアップしています。その内容はどうでしょうか?
まず、借金を漸減させる根拠が乏しい。(オリンピック招致には)「施設や交通インフラ等の整備にあたり1,000億円の市費負担が必要です。この負担については、前年度の決算剰余金(黒字)から30億円程度を10年間積み立て300億円。残り700億円については市債で対応しますが、これまでと同様の財政健全化の取組を進めていくことにより、2015年の市債残高(一般会計)は現在より1,000億円減少するも込みです」ときわめて楽観的?です。
これまで借金を積み増しこそすれ、減らせなかったのが山崎市長ではないでしょうか。だからこそ今日の借金日本一があるのです。市自身が、「年収600万円の家計に置き直すと約1,100万円の借金」と認めています。収入の漸増基調もたやすいことではありません。何よりも、Q&Aによれば「借金の返済を最優先する考え方」は市はとらないということになりますから、これは重大です。開発主義をさらにすすめ、市民生活は省みないことの表明といわれても仕方がないように思います。
福岡市は13日、招致活動の推進のために「オリンピックプラザ」を開設しました。さっそくワークショップを開催、集まった市民に計画を紹介したそうです。そこで出された意見は、読売新聞14日付をみるかぎりはっきりしません。
一方、同じく立候補を表明した東京都の基本計画を担うのは建築家・安藤忠雄氏に決定。
ところで、同じ日の読売新聞は、招致反対の市民のデモ行進を伝えていました。行進したのは「福岡オリンピック招致に反対する会」。同会はすでに6万5千人を超える署名を集めているそうです。
まず、借金を漸減させる根拠が乏しい。(オリンピック招致には)「施設や交通インフラ等の整備にあたり1,000億円の市費負担が必要です。この負担については、前年度の決算剰余金(黒字)から30億円程度を10年間積み立て300億円。残り700億円については市債で対応しますが、これまでと同様の財政健全化の取組を進めていくことにより、2015年の市債残高(一般会計)は現在より1,000億円減少するも込みです」ときわめて楽観的?です。
これまで借金を積み増しこそすれ、減らせなかったのが山崎市長ではないでしょうか。だからこそ今日の借金日本一があるのです。市自身が、「年収600万円の家計に置き直すと約1,100万円の借金」と認めています。収入の漸増基調もたやすいことではありません。何よりも、Q&Aによれば「借金の返済を最優先する考え方」は市はとらないということになりますから、これは重大です。開発主義をさらにすすめ、市民生活は省みないことの表明といわれても仕方がないように思います。
福岡市は13日、招致活動の推進のために「オリンピックプラザ」を開設しました。さっそくワークショップを開催、集まった市民に計画を紹介したそうです。そこで出された意見は、読売新聞14日付をみるかぎりはっきりしません。
一方、同じく立候補を表明した東京都の基本計画を担うのは建築家・安藤忠雄氏に決定。
ところで、同じ日の読売新聞は、招致反対の市民のデモ行進を伝えていました。行進したのは「福岡オリンピック招致に反対する会」。同会はすでに6万5千人を超える署名を集めているそうです。
?
?