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堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』を反ネオリベの書として読む。
ちょうど小林多喜二の『蟹工船』のヒットが話題にのぼっていますが、堤さんのこの著書が売り上げを伸ばしているのも、同じ事情によるでしょう。
つまり、現代の貧困は、大企業・財界の最大限の利益確保を追求せんがための身勝手な雇用政策にみられるような、労働者を使い捨て状態に置くことによってもたらされてきたと考える私は、まさに使い捨てられ、小林の叙述がいま、直に起きている事象と重なり合って、貧困に直面する働く者にとっては、小説の中の登場人物に自らを置き換えることによって共感を呼んでいると思うのです。同じように、堤さんのルポも、そこに記されているアメリカの現状が、読者の、身の回りの事情とうり二つであること、少なくとも相似であることを示しているでしょう。制度的に様々な面で切り捨てられてきた結果、たとえば国民皆保険という名でアクセスのよさを表現してきた以前に比較して、医療崩壊といわれるほどに、医療を提供する側も、受ける側も、だれもが、いつでも、どこでもよい医療を受けるという理想からはほど遠い現状にあることを、それこそ万人が実感する今日ということではないか。こう思うのです。
そこで、日経メディカルのメルマガから。
堤さんのインタビューを掲載していいます。前述の『ルポ貧困大国アメリカ』をお読みでない方は、その雰囲気をつかめるのではないでしょうか。
医療にかかわる部分を引用します。
――『ルポ貧困大国アメリカ』では、米国の医療問題に鋭く切り込んでおられます。 堤 『ルポ貧困大国アメリカ』では、「一度の病気で貧困層に転落する人々」というタイトルで、1章をアメリカの医療の現場ルポにあてています。 80年代以降、新自由主義の流れが顕著になるにつれ、大企業の保険料負担を減らすため、公的医療のカバー範囲が縮小されていきました。自己負担が増えて医療費が家計を圧迫し始めると、国民は民間医療保険に入るようになります。その結果、保険会社の市場は拡大、保険外診療も拡大して製薬会社や医療機器会社に大きな利益をもたらしました。 しかし一方で、大きな医療格差が生まれました。民間医療保険に加入してもカバー範囲は限定的なため、医療機関にかかった結果、借金漬けになる人が続出したのです。 小泉政権で経済財政諮問会議が混合診療や株式会社の病院経営などの解禁を主張していましたが、その根底にあるのは新自由主義そのものです。 アメリカ人からしてみると、日本の国民皆保険は理想的な制度で、なぜそれをわざわざ壊そうとするのか分からない。マイケル・ムーア監督の『シッコ』という映画が昨年、日本でも公開されましたね。アメリカの医療制度の悲惨さを描いたあの映画で特徴的だと思ったのが、カナダやフランス、イギリスを良い医療制度の国として描く一方で、日本が紹介されなかった点です。その理由はおそらく、日本の医療制度がアメリカ寄りになってきていることをムーア監督も知ったからでしょう。 ――米国の医師の置かれた状況は。 特にひどいのは医療過誤訴訟のリスクが高い産婦人科や心臓外科の医師たちです。先にも話したように、年収20万ドルだった外科医が、保険料が18万ドルになったため差し引き年収2万ドルのワーキングプア・レベルにまで転落、廃業に追い込まれた例もあります。 さらに、保険会社が病院の経営方針に大きく介入するようになり、効率や採算性を優先するその経営手法が医療現場を激しい競争にさらしています。過剰労働と十分な治療を患者に提供できない罪悪感などから、心や体を病む医師が増えています。医師はまだ貧困層じゃないからいいじゃないか、と言う人もいますが、経済的には大丈夫でも、心が壊れていくのです。今、医師の抗うつ薬の使用量は莫大なものになっています。 国が守るべき国民の生存権は、単に経済的な要素ばかりでなく、誇りを持って働けるとか、人間らしい働き方ができるといったことも含めてのものだと私は思います。しかし、かつて国が守ってくれていた医師や教師といった社会インフラの要となる人々ですら、国は守ってくれなくなったのです。 ではなぜそうした状況がアメリカで大きな社会問題となっていかないのか。それは「分断」のせいです。 教師の世界でも、医師の世界でも、激しい競争にさらされた結果、横の連携がブツブツと切れている。自分の上か下しかおらず、横の仲間がいなくなり、手がつなぎにくくなっている。また、医療過誤保険もそうですが、個人が全部自己責任を負う形になってしまったことも、分断が進んだ大きな原因です。 |
年収20万ドルだった外科医の2万ドルへの転落は劇的ですが、対岸の火事といってばかりはおれません。日本社会全体が訴訟社会へ移行するという予測もできますし、何よりもすでに日本では歯科医師のワーキンプア化が一度ならず記事になっていて、そのかぎりで日本のアメリカ化は現実のものとなっています。
堤氏も強調するように、アメリカの現実は、新自由主義路線の一つの行き着く先であるし、このまま日本が今の経済路線をとるかぎり、近い将来のプロトタイプということになりかねません。
新自由主義的施策の深刻な影響が露呈し、その打開策を明確に呈示できない今の政権の姿は、ゆきづまりという表現がぴったりはまる。内閣改造も、それにからむ公明党の画策も、大きくいえば、自民党政治のゆきづまりを表面上取り繕い、ごまかそうとする意図の表れにすぎません。
また一方で、政権交代を云々する前に、新自由主義施策をとりつづけるのか否か、これを自公にも、民主党にもつきつけなければなりません。
日本の現状を直視すれば、それすらはっきりしないで、あるいは問うことなしに、政権交代をと叫び続けることほど、愚かなことはないと私は思います。
(「世相を拾う」08142)
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