セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「激しい季節」

2013-10-20 22:15:23 | 外国映画
 「激しい季節」(「Estate violenta」1959年・伊)
   監督 バレリオ・ズルリーニ
   脚本 バレリオ・ズルリーニ  スーゾ・チェッキ・ダミーゴ
       ジョルジオ・ブロスベリ
   撮影 ティノ・サントーニ
   音楽 マリオ・ナンシ・ベーレ
   出演 エレオノラ・ロッシ=ドラーゴ
       ジャン=ルイ・トランティニアン
       ジャクリーヌ・ササール

 第二次世界大戦、敗色濃いイタリアでファシスト党の青年と夫が戦死した
ばかりの未亡人が恋に落ちる。

 映画雑誌「ロードショー」を初めて買ったのは、ちょうど40年前。
 その号の特集に「この人の思い出の1本」というのが有りまして、或る人が
この作品を挙げていました。
 曰く、「エレオノラ・ロッシ=ドラーゴの色香が堪らない」と。
 翌年、渋谷でホール上映が有るのを目敏く見付けて・・・。
 結果は???(笑)
 ジャクリーヌ・ササールの方が、可愛い!(今観ると、ちょっと内藤洋子に
似てる)

 そんな記憶の作品を再見してみました。
 感想は、「子供にゃ無理だ」(笑)
 この作品、物語は通俗メロドラマの域を出ていないし、演出も、それほど
秀でていると思えない。
 それでも、この作品が残ったのは、ひとえにドラーゴの「大人の色香」、こ
の一点。
 これは、ひたすらドラーゴに見惚れる映画でしょう。
 (アヌーク・エメに清潔なエロを足した感じ?ホント、清楚なのに官能的で
堪らなくイイ女~笑)
 18のアンチャンじゃ、この色香の本当の所なんて理解出来ないのが普通
で(解かったら、殆んど病気)、理解出来なければ、この作品、まるで面白く
ない。
 そんな映画だと思います。

 演出で一番良かったのは、停電の中、皆でダンスを踊るシーン。
 トランティニアンを巡ってササールとドラーゴが「鞘当て」する場面。
 雰囲気が、どんどん濃厚になっていって、抜き差しならなくなっていく感覚
が素晴らしい。
 ちょっと、ジョシュア・ローガンの「ピクニック」(1955年)を彷彿させる所
がありました。
 (アメリカと違って、ヨーロッパの方が雰囲気がありますね~笑)
 後、終盤、突然の空襲で二人の「目が覚める」シーンからラストへの流れ
が、中々、切なくて、その辺りも良かったです。

 youtube「激しい季節」より、この映画の白眉とも言えるダンス・シーン。
  何で白いカーディガン1枚脱ぐだけで、こんなにエロティックなんだろう。
  (曲は「Temptation」から、この映画のテーマ曲「Estate Violenta」)
  本物の大人の色香に触れてみたい方、専用。(熟女嫌いな方はJ・ササ
  ールを)
  http://www.youtube.com/watch?v=ddXe38FInDY

 上記のロングバージョン、照明弾は対岸の街を攻撃する連合軍によるもの。
 https://www.youtube.com/watch?v=7KJT5vL3uJM  
 
※現在の表記は「ドラゴ」のようですが、昔は「ドラーゴ」と表記されてました
 (今、キネ旬の俳優事典を調べたら、やはりドラーゴ)、今回は憶えた名
 前で書きました。
※音楽の一節が、少し前にUPした「ブーべの恋人」のフレーズと酷似して
 ました、どっちが先かと思ったら、こちらが先。

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4 コメント

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こんばんは☆ (miri)
2013-10-21 19:21:19
カテゴリー「雑記」なんですね。。。

>感想は、「子供にゃ無理だ」(笑)

あ、その通り!
ひと言で言えばそういう映画でしたね~!

>この作品、物語は通俗メロドラマの域を出ていないし、
演出も、それほど秀でていると思えない。

そうでしょうか?
私的には良い反戦映画になっていたように思いますし、
彼の方に母親がいない事が、とても深い意味を持つように思いました☆

>それでも、この作品が残ったのは、ひとえにドラーゴの「大人の色香」、この一点。
>これは、ひたすらドラーゴに見惚れる映画でしょう。

もちろん、彼女が一番です!
彼女を見るための映画と言っても良いと思います。
それはたとえ鑑賞者が女性であっても・・・

>18のアンチャンじゃ、この色香の本当の所なんて理解出来ないのが普通で
>(解かったら、殆んど病気)、理解出来なければ、この作品、まるで面白くない。
>そんな映画だと思います。

ただ、私はそれ以上の何かもあると思ったのです☆

>演出で一番良かったのは、照明を消して、皆でダンスを踊るシーン。
>トランティニアンを巡ってササールとドラーゴが「鞘当て」する場面。
>雰囲気が、どんどん濃厚になっていって、抜き差しならなくなっていく感覚が素晴らしい。

とても良かったとは思いますが、私は一番ではないと思いました。
一番は、やはり、あの衝撃のシーン(よその子供の遺体発見)だと思いました。

>ちょっと、ジョシュア・ローガンの「ピクニック」(1955年)を彷彿させる所がありました。

あんまり・・・そう思えなくて・・・ごめんチャイ☆

>(アメリカと違って、ヨーロッパの方が雰囲気がありますね~笑)

ハイ(笑)

>後、終盤、突然の空襲で二人の「目が覚める」シーンからラストへの流れが、
>中々、切なくて、その辺りも良かったです。

やっぱり、そこですよね~!!!

>今、キネ旬の俳優事典を調べたら、やはりドラーゴ)、
今回は憶えた名前で書きました。

私もずっと「ドラーゴ」さんです☆
ではまた映画のお話しいたしましょうネ~!


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いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2013-10-21 23:37:46
 miriさん、コメントありがとうございます

カテゴリー「雑記」なんですね。。。>迷ったんですけど、これはスイマセンと言うしかありません。
でも、前回は殆んどのシーンを忘れてしまったのですが、今回は、絶対忘れないシーンが沢山出来たし、ストーリーも忘れないと思います。
勿論、ドラーゴも。(笑)

反戦映画>これは、余り感じませんでした。
特権で「兵役逃れ」してた男が主人公ですから、「反戦」を言ったら一般人が浮かばれません。
「あの出来事」も、凄くリアルなんですけど戦争の酷さ、というより、「超えてはならない一線」を示す、一種の「神の啓示」に近いのではないかと、後になって思いました。
そういう意味で、この作品、当時の人達がまだ持っていた「倫理観」(と時代)に敗れた恋物語で、あれだけの「離れがたい思い」、「大人の女の炎」も、「人の道」の前には無力で諦めざろう得なかった。
平凡に、敷かれたレールの上を歩かされてきた「お嬢様さま」、そんな自我を押し殺してきた彼女に、ほんの一瞬、訪れた「激しい季節」
その報われない「女の情念」の悲哀を描いた作品だと、僕は思いました。
(女性から見ると、「夫の戦死」、「罪なき死」、「戦争に翻弄される女」があるから、そう感じるかもしれません)

一番は、やはり、あの衝撃のシーン>
僕は、書いた所が、やっぱり一番。(この辺は、この作品の捉え方の差でしょう)
うす暗い中、抗おうと思っても、抗しきれず、自分の感情の荒波に飲み込まれていくサマが良く出ていて、音楽、雰囲気ともに抜群だから・・・。
miriさんの仰る、「出来事」と、そのリアクションからのシーンも勿論良いのでけど。
僕は、やっぱり甘ちゃんのロマンティストなんですよ。(笑)
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こんにちは! (宵乃)
2013-10-25 12:32:26
全く知らない作品です。
観る人によって捉え方が全然変わってくる作品なんですね~。
鉦鼓亭さんもメロメロな大人の色気をたたえたドラーゴさんをいつか観てみたいです!

ところで、11月は「秋の夜長のミステリー企画」を開催いたします。
開催期間は11月8日(金)~10日(日)まで。2週間後なので、その間に各自見たいミステリー作品を探してみて下さい。
何を観たらいいかわからない時、探偵モノや法廷モノ、原作者が有名なミステリー作家の作品を選べば大丈夫!
よかったら一緒にミステリー映画を楽しみましょう♪
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こんばんは (鉦鼓亭)
2013-10-25 20:41:47
 宵乃さん、お知らせありがとうございます

お題の件、了解です。
サスペンスは浮かぶんですけど、ミステリーか・・・。
時間が有るので、いろいろ考えてみます!
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