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セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「心と体と」 その2

2018-05-03 00:27:21 | 外国映画
 「心と体と」 その1

 観た当初は、牛の・ギロチン・解体シーンが生々しすぎて「悪くないけど、何だかちょっと・・・」と思ってたのですが、日を追うごとに印象がどんどん強くなってきています。

 いろいろな見方の出来る作品で、夢の世界が精神世界や神の世界(調べたら、西洋では鹿は神性を帯びた動物だとか、日本でも奈良・春日大社の鹿は神の使いだし)を表して、血だらけの食肉処理工場が現実世界を象徴してるとか、精神世界の白と現実世界の赤~血ですね~の対比とか、いろいろ。(個人的ですが白と赤を繋いでるのが青の気がしてます)
 現実世界が血を流す世界というのは食肉処理、ヒロイン マーリアの○○○○、直接描写は無くとも想像できるマーリアの初体験と、監督、何に拘ってるんだか(汗)
 でもね、時間が経っていくと、意味するところだとかテーマとか難しい事がどんどん振い落とされていって、自分にとって印象深い事柄だけが残っていってます。

 それは、ヒロイン マーリアの美しさといじらしさ、健気さ。(ま、綺麗だから健気さ10割増しに感じると言うのはある)
 アスペルガー、コミュニケーション障害、接触恐怖症、心の病で子供の時からカウンセリングを受けていて、病からの誹謗、中傷、嘲笑から心を守るため鉄壁の鎧を絶対外さないし隙を見せない。拒絶反応以外は能面のような表情。
 でも、それだからこそ彼女の心自体は恐れながらも人との繋がりを渇望してる、声を掛けてくれた人の為、自室で二つの小瓶を使い会話の練習をするとか、彼女なりに努力してるとこが何とも切なくていじらしくて、可愛いじゃないですか!(10代じゃなく、20代半ばの大人の女性が一生懸命、社会に適応しようとしてるのが尚更に)
 それが夢の世界で何度も会ってたのが初老で片腕が不自由な上司の男と知り、恋心が芽生える。
 今度は恋愛を知る為に恋愛ドラマのDVDやポルノまで借りて勉強、勉強するもんじゃないんだけど、彼女なら仕方がないと許せます。
 そして、カウンセリングの先生の「恋した時は音楽を聞きたくなったりする」という言葉を、文字通り受け止めてしまったシーンは、この作品の一番の萌えポイントかも。(あの、僕の店で似たことしないでね、あの店のように優しくないから(汗)~店員さんはグッド・ジョブ)

 (現在の結論)
 血だらけの生々しい舞台設定で、いじらしいとかピュアとは正反対の場所だけど、そこで写し出されてるのは、心の障害の為、遅れてしまった20代半ばの女性が繰り広げる、とってもピュアな初恋物語。
 「シベールの日曜日」のバリエーションとも言え、それなら、「レオン」の親類とも言える、違いは
アン・ハッピーかハッピーかの違いだけど、ここには現実的未来も幾らか感じさせてもいる。
 ファンタジーで終わらせた「シェイプ・オブ・ウォーター」、リアルへ舵をきった「心と体と」とも。
 今の所、毎日、映像が蘇ってきてる作品です。

※マーリア役のアレクサンドラ・ボルべーイ という女優さん、興味深々。
 情報がないので解らないのですが、劇団員で30歳くらいでこの役を演じたようですが(映画初出演?、相手役も演技は初めてらしい)、無垢な少女性を自然に出せるのが凄い。
 I・ユベール、J・ビノシュを押さえ、2017年ヨーロッパ映画最優秀女優賞を獲得したのも納得。
 
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