「大人は判ってくれない」(1959年・仏)
監督 フランソワ・トリュフォー
脚本 フランソワ・トリュフォー
マルセル・ムーシー
撮影 アンリ・ドカエ
音楽 ジャン・コンスタンタン
出演 ジャン=ピエール・レオ
アルベール・レミー
クレール・モーリエ
セーヌ右岸派の拠点雑誌「カイエ・デュ・シネマ」の先鋭的評論家だったフラン
ソワ・トリュフォーの長編第一作目であり、「ドワネル」シリーズの第一作目。
作品自体、優れた作品だと思いますが、フランス・ヌーヴェルヴァーグが始ま
った1959年の盛大なる花火の中の一発で、ゴダールの「勝手にしやがれ」(
1959年)と共にヌーヴェル・ヴァーグ時代の「顔」のような歴史的側面を持つ作
品、今日では、その歴史的価値にばかり目が行ってしまってるような気もします。
我が子に愛情を持てない母親と義父の元で暮らすアントワーヌ・ドワネル。
そんな環境から、彼は学校でも反抗的であり、それ故、教師から目をつけら
れている。
さまざまな負の連鎖からドワネルの非行も悪質となり、遂に感化院送りとなっ
てしまう・・・。
ヌーヴェル・ヴァーグと言うと、カメラを振り回したり、小難しい解かったような
解からんような作品が多く、余り良いイメージがないのですが(笑)、この作品
は、思ってたより全然スタンダードな作りでした。
トリュフォーの子供時代を元にした自伝的作品だからなのか、兎に角、子供
の大人の世界に対する憤懣とか怖れがストレートに解かり易く描かれてます。
子供目線なのですが、その子供の気持ちが非常に良く解かる映画。
ドワネルを演じるJ=P・レオが凄くいい、愛情に飢え、やり場のない怒りを内
に秘め、捻くれた所もあるけど、彼なりに懸命に耐えていて、何とかバランスを
保とうとする健気さ逞しさも持ち合わせている。
そんな彼の必死な気持ちを、まるで理解しようとしない周囲の大人達。
当時のレオが持つ雰囲気と自然な演技があるからこそ、ドワネルのヤサグレ
ざろう得ない孤独がこちらに伝わるんだと思います。
勿論、それを描くトリュフォーの演出もいいのですが。
ラスト・カットのドワネルの表情から、何を読み取るのか・・・。
作品に付きまとってる雑多な諸事を、なるべくなら忘れて、一本の映画として
素直に観る事をお薦めします。
※よくトリュフォーは「恋愛専門」と言われますが、僕は、どちらかというと「恋愛」
より、「恋愛」から少し離れた作品(「アメリカの夜」)、子供を描いた作品(「野
性の少年」、「思春期」)の方に惹かれる事が多いみたいです。
(トリュフォーの恋愛劇って、結局、「可哀想なボクちゃん」で終わる事が多い気
がしてる~個人的感覚ですよ!(笑))
※この邦題を付けた人はエライ!
監督 フランソワ・トリュフォー
脚本 フランソワ・トリュフォー
マルセル・ムーシー
撮影 アンリ・ドカエ
音楽 ジャン・コンスタンタン
出演 ジャン=ピエール・レオ
アルベール・レミー
クレール・モーリエ
セーヌ右岸派の拠点雑誌「カイエ・デュ・シネマ」の先鋭的評論家だったフラン
ソワ・トリュフォーの長編第一作目であり、「ドワネル」シリーズの第一作目。
作品自体、優れた作品だと思いますが、フランス・ヌーヴェルヴァーグが始ま
った1959年の盛大なる花火の中の一発で、ゴダールの「勝手にしやがれ」(
1959年)と共にヌーヴェル・ヴァーグ時代の「顔」のような歴史的側面を持つ作
品、今日では、その歴史的価値にばかり目が行ってしまってるような気もします。
我が子に愛情を持てない母親と義父の元で暮らすアントワーヌ・ドワネル。
そんな環境から、彼は学校でも反抗的であり、それ故、教師から目をつけら
れている。
さまざまな負の連鎖からドワネルの非行も悪質となり、遂に感化院送りとなっ
てしまう・・・。
ヌーヴェル・ヴァーグと言うと、カメラを振り回したり、小難しい解かったような
解からんような作品が多く、余り良いイメージがないのですが(笑)、この作品
は、思ってたより全然スタンダードな作りでした。
トリュフォーの子供時代を元にした自伝的作品だからなのか、兎に角、子供
の大人の世界に対する憤懣とか怖れがストレートに解かり易く描かれてます。
子供目線なのですが、その子供の気持ちが非常に良く解かる映画。
ドワネルを演じるJ=P・レオが凄くいい、愛情に飢え、やり場のない怒りを内
に秘め、捻くれた所もあるけど、彼なりに懸命に耐えていて、何とかバランスを
保とうとする健気さ逞しさも持ち合わせている。
そんな彼の必死な気持ちを、まるで理解しようとしない周囲の大人達。
当時のレオが持つ雰囲気と自然な演技があるからこそ、ドワネルのヤサグレ
ざろう得ない孤独がこちらに伝わるんだと思います。
勿論、それを描くトリュフォーの演出もいいのですが。
ラスト・カットのドワネルの表情から、何を読み取るのか・・・。
作品に付きまとってる雑多な諸事を、なるべくなら忘れて、一本の映画として
素直に観る事をお薦めします。
※よくトリュフォーは「恋愛専門」と言われますが、僕は、どちらかというと「恋愛」
より、「恋愛」から少し離れた作品(「アメリカの夜」)、子供を描いた作品(「野
性の少年」、「思春期」)の方に惹かれる事が多いみたいです。
(トリュフォーの恋愛劇って、結局、「可哀想なボクちゃん」で終わる事が多い気
がしてる~個人的感覚ですよ!(笑))
※この邦題を付けた人はエライ!
トリュフォーでは「アメリカの夜」が一番好きで、僕のオールタイム・ベスト10に入ってる作品。
「華氏451」は昔、TVの吹き替え版(多分「月曜ロードショー」?)で一度見ています。
特に『アメリカの夜』と『華氏451』の2作品はかなり好きです
コメントありがとうございます
原題の意味する所は、「救いようのないバカ」でしょうか。
「とらや」のオイちゃん十八番「バカだねえ・・・」なら愛敬もあって良いのですが。(笑)
「思春期」を観ても、トリュフォーは子供の撮り方が上手いですね。
ハルストレム監督も実に上手いんですけど、トリュフォーもイイ、でも、ちょっと屈折感が付き纏っちゃう。
恋愛>子供の時、愛されなかったから、愛し方、愛され方が解からない、ってやつでしょうか。
「二十歳の恋」、「夜霧の恋人たち」は昔観てるのですが、どうにも余り思い出せなくて・・・。(汗)
でも、黒澤作品(16本)の次に観てる監督なんですよね(14本)。(笑)
本当にそうですよね。
原題を直訳してみたらビックリしました。
>子供目線なのですが、その子供の気持ちが非常に良く解かる映画。
トリュフォー監督っていつまでも子供の気持ちを忘れない人なのかな、と思いました。
(恋愛にも子供っぽい部分が現れている???笑)
この映画を撮った時はシリーズ化するつもりはなかったそうですが
シリーズ化してくれてよかったなぁと思ってます。
鉦鼓亭さんの記事を読んだら、再見したくなりました。
長い事ご無沙汰していて、すいません
実は、この記事をUPした後、「トリュフォーだから、きっと・・・」と思ってお邪魔したのですが、記事が無くて意外に思ってたんです。
特別な作品だったのですね。
(僕も黒澤作品に尽いて書くのが苦手です)
おかしな見方>そんな事ないですよ~!
まして、それで自分が楽しめるなら、誰憚ることなく正解なんだと思います。
「アメリカの夜」のアルフォンスが、素のトリュフォーに一番近いと言われてますが、もしそうなら、彼の愛情って一方的で勝手で、「愛され方」が不器用で、その癖、傷付きやすいガラス細工のような心の持ち主なのかな。
人格分析は専門外ですが。(笑)
この作品、「傷だらけのデリケートな心」が、とても良く描けてると思いました。
コメント、ありがとうございます
主人公の気持ちが痛い程、良く解かるように作られてました。
(大人達の感覚もわかるけど)
大人子供>この作品では丁度中間くらいで言いにくい年頃(笑)だけど、僕の感覚では、まだ子供かな。
これがホントの「お互い様」かも?>辛辣ですねぇ。(汗)
二人共、才能が有ったんだからいいじゃないですか。(笑)
ラストカット>
海まで走り着いて、それを見てる背中で「FIN」かなと思ったんですけど、プイッと(海に向かって)背を向けるというか、横向いちゃうんですよね。
そこが良かったです。
(ニュー・シネマ時代以外のアメリカなら、多分、広い未知の世界、大人の世界を目前にして「希望と決意」の表情で終わりそうなのですが、流石にフランスでした。)
只、フランス映画にしてはストレートな作品だったので、ちょっと書き難い作品でした。
明後日、楽しみにしています。
〜 部分は全て「~」と書いただけです。
(これも化けたらすみません)
私もトリュフォーのお薦め映画を尋ねられたら、まずは恋愛もの以外を薦めますね。トリュフォーの恋愛映画ってみんな同じパターン?て感じですしねー(これも "個人的感覚" です!!笑)
もちろん私個人は彼の恋愛映画も大好きですが、実はちょっと変な楽しみ方をしているんだと思います。
トリュフォーの分身と言われるアントワーヌをドワネルもの5作で繰り返し見てるうちに、トリュフォーという男の恋愛に関する部分をすっかり知った気になってるんですよ。なので彼が撮った他の恋愛映画でも、そこに登場する恋愛に不器用な男たちをトリュフォーに重ねて見てしまい、「もぉ〜!しょうがないわねぇ〜」と、ちょっと出来の悪い息子を見守る母親のように愛でてしまう、という。
おかしな見方ですが、それで楽しめているので結果オーライってことで^^;
この「大人は〜」については、私はどうも恐れ多くて感想を書けないまま現在に至っているのですが、確かにそうですね。素直に楽しんで感想を書けばいいんですよねぇ。時間ができたらいつか・・・^^
>子供の大人の世界に対する憤懣とか怖れがストレートに解かり易く描かれてます。
>子供目線なのですが、その子供の気持ちが非常に良く解かる映画。
>そんな彼の必死な気持ちを、まるで理解しようとしない周囲の大人達。
仰る通りの作品でしたね~よく覚えています。
3年前と思いこんでいたら、2年前に見たようです(笑)。
しかもWOWOWの無料放送だったので、メッチャキレイでした♪
「子供」と書いていらっしゃるけど、子供だけど、思春期で、大人子供というか何というかですよね~?
>ドワネルを演じるJ=P・レオが凄くいい、
>当時のレオが持つ雰囲気と自然な演技があるからこそ、ドワネルのヤサグレざろう得ない孤独がこちらに伝わるんだと思います。
>勿論、それを描くトリュフォーの演出もいいのですが。
レオ氏は この先「俳優」で食べる事が出来て良かったですし~(笑)、
フランソワ君も この先「自分の事を描くシリーズ」を作って公開して
お金まで一杯もらえて良かったですよね~(笑)。 これがホントの「お互い様」かも?
>ラスト・カットのドワネルの表情から、何を読み取るのか・・・。
私の公開していない感想文の一部です。
「ラストシーンの顔のアップは良かったね。
監督の自分の体験だと思いました。」
何も知らずに書いた文です。そのあとに色々と調べて、納得しました☆
>※この邦題を付けた人はエライ!
これは痛く同感!
・・・実は私もこの夏にトリュフォーさんの映画をいくつか見たので
まとめ記事を明後日アップします。 お時間頂けたら、お願いしま~す。
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