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セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

舞台「ショー・ガール」細川俊之&木の実ナナ

2011-05-15 22:43:22 | 雑記
 ちょっと映画から離れて舞台の話を。
 僕は、余りナマの舞台というのを観ていません。
 今回書く「ショー・ガール」も、一度もナマで観ていません。
 この舞台劇、歌と踊りと劇を組み合わせた~でも、これをミュージカルと
呼ぶのは違和感がある~作品は、当時の僕にとって、かなり衝撃的な作
品でした。

 日本の喜劇・コメディというのは、湿度が真夏の4畳半なんです、クレー
ジー・キャッツ、大宮デン助、ドリフターズ、吉本新喜劇、日常の生活に纏
わり付くような湿度の笑い。
 それが悪いと言ってる訳ではありません、僕も日本人で、この国で生き
てる人間ですから、そういう「笑い」は生理的に受け付けるし、自分の「根」
も、そこに有ると思っています。
 (フランスだって、ルイ・ド・フィネスみたいにフランスでしか受けないとい
う喜劇があるから、土着性の喜劇というのは各国共通の要素なのかもし
れない)

 でも、僕はずっと思ってました、「何で日本には、I・A・L・ダイアモンドや
N・サイモンのような「シャレたコメディ」を作れる人がいないんだろう」と。
 井上やすしさんに可能性を期待したのですが、彼は別の方向を選びま
した、井上さんは「日本人の笑い」を追及したんだと思っています、才能の
有る日本人なら当然の道だったでしょう。
 「日本人にはシャレたコメディは出来ない」、そう思い込んでた僕の横っ面
を思いっきり張っ倒す作品に最初に出会ったのが、この「ショー・ガール」と
いう作品なんです、僕の中では、これと、この20年後、三谷幸喜さんのTV
ドラマ「王様のレストラン」だけが、「日本のシャレたコメディ」なんです。
 だけど、限界も知りました、両方とも「思いっきりバタ臭い」設定、そうしな
いと湿度が高くなっちゃうんですね。
 「ショー・ガール」シリーズは記憶が憶ろげなんですが外国設定だったと
思うし、「王様のレストラン」は「高級フレンチレストラン」という日本人の日
常から離れた設定というか味付け、結局、こうしないと日本人には「シャレ
たコメディ」というのは出来ないのかもしれません。
 
 「ショー・ガール」で、僕の目を覚ましてくれた事が、もう一つあります。
 細川俊之という役者さんです。
 細川さんは、絵に描いたような「二枚目のツッコロバシ」(他に使いようが
ない、という意味)、キザで猫なで声で、立ち居振る舞いがオカマっぽくて、
僕の大嫌いな役者さんでした。
 「二枚目に演技力は要らない」という通俗的な説に乗っかていた僕を、張
り倒してくれたのは彼です。
 確かに「ショー・ガール」では、歌も踊りも相方(「ショー・ガール」は細川&
木の実の二人芝居)の木の実ナナと較べると可哀そうなレベルだったかも
しれません、でも、彼には「コメディ」を演じる明るさと軽さ、センス、そして、
それを観客に納得させる演技力が有りました。
 バタ臭い設定の舞台の上なら、細川俊之という役者はH・ボガートにもA・
ドロンにもなれる人だったんです。
 「君の瞳に乾杯!」、有名なボギーの台詞を違和感なく言える日本の役
者が居るとしたら、細川俊之、彼だけだったと思います。
 もし仲代達也さんが、細川さんの代わりをやっても、あんな飄逸感と違和
感のない明るさは出せない、勿論、役者としての力量を言ってるのではあ
りません、役者個々の色合いを言ってるのです、役者が10人居れば10人
10色という事です。

 フィルムという素材で長く残る映画。
 その場限り、一期一会の世界が身上の舞台。
 どちらがいいとか比較のしようのないものですが、これ、DVD化されてな
いのが残念でなりません。
 毎年、「年の暮れ」に渋谷の西武劇場(現・パルコ劇場)で上演され、回
を重ねる毎に人気を博しプラチナ・ペーパーだった和製ミュージカル・コメ
ディ。
 人気が出た後半はTVでも放映されてたから、どこかに残ってると思いた
い、是非是非、DVD化して欲しいものです。
 心底、そう思っています。

・人間、空想の世界で「こうなりたい」と思うことが誰でもあると思います。
 僕は、脚本家になって「シャレード」に負けないコメディを書く、というのが
 空想の夢なんです。(笑)
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