「泥棒成金」(「To Catch a Thief」、1955年、米)
監督 アルフレッド・ヒッチコック
脚色 ジョン・マイケル・ヘイズ
原作 デイヴィッド・ドッジ
撮影 ロバート・バークス
音楽 リン・マレー
衣装 イーディス・ヘッド
出演 ケーリー・グラント
グレース・ケリー
ジョン・ウィリアムス
ジェシー・ロイス・ランディス
ブリジット・オーベエル
引退した宝石泥棒ジョン・ロビー。しかし、彼と同じ手口の新手が現れ、警
察に追われるハメに。
自らの潔白を証明する為、保険調査員の助けを借り、ターゲットになりそ
うな資産家夫人に近づく・・・。
この作品、最初の30分位は、つまらなくは無いけど、正直それ程、面白
くもない。
それが30分過ぎて、資産家夫人の娘としてG・ケリーが登場した途端、パ
ッと画面が華やかになり話が面白くなる。
彼女がスクリーンに登場し、C・グラントと顔を合わせ、母親らと共に食事
をする。何でもない、たったそれだけの事なのに、スクリーンが一気に「映画
という夢の世界」に一変する。
映画スターとは正にこの事で、久々に「映画スター」或いは「大スター」とい
う言葉を実感しました。
話自体は、それ程緻密に出来ていないというか、あくまで二人のスターを
魅せる為に大きな破綻さえ無ければいいという感じ。
フランス警察は、あの頃のハリウッドがステロタイプで描くおマヌケで、賊
が屋根から侵入するのを知っていながら屋根に警官を配置しない大らかさ。
でも、そんな事はどうでもいいんです。
ヒッチコックがG・ケリーの美貌に「めまい」を起こしたのか、多分、生涯に
只1本作ったG・ケリーとC・グラントの為のスター映画なんですから。
我々も無駄な事を考えず、お洒落な雰囲気の中、二人のスターが織りな
す世界とダイヤのハラハラを存分に楽しめばいい。
映画の楽しさの原点に戻ればいいんです。
C・グラントの安定感、演技は達者で女優を光らせる才能が有る。
名立たる女優達が相手役に望むのも当たり前のクソッタレ。(笑)
G・ケリー。ハリウッドが生んだ最高のクール・ビューティ。
フォーマルも、カジュアルも、水の中さえ・・・、ちょっと反則の世界にいらっ
しゃいます。(笑)
個人的には、今日観た「ダイヤルMを廻せ」のケリーが一番好きだけど、
美貌を生かしたゴージャス感を見るのなら、この作品でしょう。
よく解らないけど、あのゴールドのパーティ・ドレスを着こなせるのは余
程の美貌と才能が要ると思います。
彼女の魅力を引き出す、イーディス・ヘッドの才能もまた特筆すべきなの
は言うまでも有りません。
メインディッシュの肉とソースが幾ら絶品でも、それだけでは彩りに欠けま
す。
絶えず「剣が峰」に立たされる不憫な保険調査員のJ・ウィリアムス、根性
の座りっぷりが「椿三十郎」の奥方に通じる資産家老夫人ジェシー・ロイス・
ランディス 。
この二人のコメディ・リリーフが居て、主演二人が一層輝くコントラスト。
その辺のバランスの妙は「手練れ」の一言でしょう。
理詰めで観ず、肩の力を抜いて見ましょう。
楽しさにかけては「ファミリー・プロット」同様の魅力が有ります。
ラストの鐘は、祝福の鐘?
いやいや、あれは優雅な独身貴族に別れを告げる弔鐘。(笑)
※スタンリー・ドーネンの「シャレード」(1963年)、ブレーク・エドワーズの
「ピンクの豹」(1963年)のエッセンスは、ここに有ったのかもしれません。
2015.5.4
DVD
監督 アルフレッド・ヒッチコック
脚色 ジョン・マイケル・ヘイズ
原作 デイヴィッド・ドッジ
撮影 ロバート・バークス
音楽 リン・マレー
衣装 イーディス・ヘッド
出演 ケーリー・グラント
グレース・ケリー
ジョン・ウィリアムス
ジェシー・ロイス・ランディス
ブリジット・オーベエル
引退した宝石泥棒ジョン・ロビー。しかし、彼と同じ手口の新手が現れ、警
察に追われるハメに。
自らの潔白を証明する為、保険調査員の助けを借り、ターゲットになりそ
うな資産家夫人に近づく・・・。
この作品、最初の30分位は、つまらなくは無いけど、正直それ程、面白
くもない。
それが30分過ぎて、資産家夫人の娘としてG・ケリーが登場した途端、パ
ッと画面が華やかになり話が面白くなる。
彼女がスクリーンに登場し、C・グラントと顔を合わせ、母親らと共に食事
をする。何でもない、たったそれだけの事なのに、スクリーンが一気に「映画
という夢の世界」に一変する。
映画スターとは正にこの事で、久々に「映画スター」或いは「大スター」とい
う言葉を実感しました。
話自体は、それ程緻密に出来ていないというか、あくまで二人のスターを
魅せる為に大きな破綻さえ無ければいいという感じ。
フランス警察は、あの頃のハリウッドがステロタイプで描くおマヌケで、賊
が屋根から侵入するのを知っていながら屋根に警官を配置しない大らかさ。
でも、そんな事はどうでもいいんです。
ヒッチコックがG・ケリーの美貌に「めまい」を起こしたのか、多分、生涯に
只1本作ったG・ケリーとC・グラントの為のスター映画なんですから。
我々も無駄な事を考えず、お洒落な雰囲気の中、二人のスターが織りな
す世界とダイヤのハラハラを存分に楽しめばいい。
映画の楽しさの原点に戻ればいいんです。
C・グラントの安定感、演技は達者で女優を光らせる才能が有る。
名立たる女優達が相手役に望むのも当たり前のクソッタレ。(笑)
G・ケリー。ハリウッドが生んだ最高のクール・ビューティ。
フォーマルも、カジュアルも、水の中さえ・・・、ちょっと反則の世界にいらっ
しゃいます。(笑)
個人的には、今日観た「ダイヤルMを廻せ」のケリーが一番好きだけど、
美貌を生かしたゴージャス感を見るのなら、この作品でしょう。
よく解らないけど、あのゴールドのパーティ・ドレスを着こなせるのは余
程の美貌と才能が要ると思います。
彼女の魅力を引き出す、イーディス・ヘッドの才能もまた特筆すべきなの
は言うまでも有りません。
メインディッシュの肉とソースが幾ら絶品でも、それだけでは彩りに欠けま
す。
絶えず「剣が峰」に立たされる不憫な保険調査員のJ・ウィリアムス、根性
の座りっぷりが「椿三十郎」の奥方に通じる資産家老夫人ジェシー・ロイス・
ランディス 。
この二人のコメディ・リリーフが居て、主演二人が一層輝くコントラスト。
その辺のバランスの妙は「手練れ」の一言でしょう。
理詰めで観ず、肩の力を抜いて見ましょう。
楽しさにかけては「ファミリー・プロット」同様の魅力が有ります。
ラストの鐘は、祝福の鐘?
いやいや、あれは優雅な独身貴族に別れを告げる弔鐘。(笑)
※スタンリー・ドーネンの「シャレード」(1963年)、ブレーク・エドワーズの
「ピンクの豹」(1963年)のエッセンスは、ここに有ったのかもしれません。
2015.5.4
DVD