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セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」

2017-05-05 12:09:37 | 映画感想
 「牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件」(「牯嶺街少年殺人事件」/「A Brighter Summer Day」、
  1991年、台湾)
   監督 エドワード・ヤン
   脚本 エドワード・ヤン  ヤン・ホンヤー
       ヤン・シュンチン  ライ・ミンタン
   撮影 チャン・ホイゴン
   美術 エドワード・ヤン  ユー・ウェイエン
   音楽監修 チャン・ホンダ
   出演 張震
       楊靜恰
       王啓讃  柯宇綸
       林鴻銘  張國柱 

 1961年に実際起きた事件から発想を得た作品。
 詳しくは公式サイトを参照にして下さい。
 http://www.bitters.co.jp/abrightersummerday/
 休憩なしの236分、よく頑張ったけど、2時間経った今、まだケツが痛い!
 1960年の台湾事情が余り理解出来なくて・・・。
 主人公の外省人達と内省人の反目も有るんだろうけど、そこは全然解らな
いし。
 普通の少年(度胸も腕っ節も外見に寄らず有るみたい)が、多感な思春期
に周りの友人達の影響で不良に染まり出し、そこに親の期待やら、誰にも理
解されない孤独(只一人、妹は解っていたけど)、初めての恋人との諍いから
15歳で殺人者へ転落していく。
 その連鎖、閉塞感、心情、特にやるせなさは描けてると思うけど、共感はし
ずらい。
 日本の「青春の殺人者」を思い起こしたけど、あれはこの作品の半分の時
間で描いてて、僕の捉え方が間違ってないのなら「青春の殺人者」に軍配を
上げたいです。
 まぁ、台湾の1960年を描いててテーマは違うけど、「青春の殺人者」も19
70年代中頃の日本の空気を描いてるっちゃ描いてるから少しだけ似た感じ
はする。
 多分、僕より映画上級者向けの作品。
 登場人物達の関係と顔を把握するのに1時間以上掛ったと思う。
 率直な感想は「とにかく疲れた!」

※1960年の台湾って植民地時代の日本家屋が結構、残ってたんだ。
 この作品の主要人物達は皆、接収した日本家屋に住んでる。(主人公の家
 なんて、まるで小津安二郎)
 父は陸軍軍属として徴用派遣され終戦まで台湾に居たけど、米軍の「飛び
 石作戦」の為か沖縄ほど空襲は酷くなかったとか。
※アジアの子供達を中心とした群像劇、それを通して描く国の「今」、編集、
 少しだけど「タレンタイム 優しい歌」に似てる。でも、僕は「タレンタイム」を
 遥かに好みます。

 H29.5.4
 シネスイッチ銀座2
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「歓びを歌にのせて」

2017-04-11 08:43:19 | 映画感想
 「歓びを歌にのせて」(「Så som i himmelen」、英「As It Is in Heaven」、2004年、スウェーデン)
   監督 ケイ・ポラック
   脚本 ケイ・ポラック
   撮影 ハラル・グンナル・ポールゴール
   音楽 ステファン・ニルソン
   出演 ミカエル・ニクヴィスト
       フリーダ・ハルグレン
       ヘレン・ヒョホルム

 一流の指揮者ダニエルは8年先までスケジュールが決まってる生活に疲
れ果て、心臓麻痺を起してしまう。
 リタイアしてスウェーデンの寒村に引っ越すが、教会の聖歌隊の指導を頼
まれて・・・。

 う~ん、これも良い作品ではあるけど、何だかなぁ・・でした。
 いろいろと雑念が沸いて、物語の世界に入り込めなかった感じ。
 一つは既視感でしょうね、「天使にラブソングを」とか、田舎の閉塞感の中、
謹厳実直の建前に終始する夫ともっと感情を大切にしたい妻との葛藤は「ラ
イアンの娘」に似てるし、閉ざされた世界に入ってきて調和を乱してしまうの
は「バベットの晩餐会」を連想してしまいました。
 それと、話の展開にやや不自然さも感じました。
 何度か深刻な諍いが起きても、その後の練習では何事も無かったようにし
てる、ガス抜きにしては内容が深刻すぎる。
 僕も以前、街のイベントで練習の責任者を何年かやってた事があって、揉
めたり不満が溜まると後々までずっと根にもたれるんですよ、それをナダメ
ルのが苦労の80%。
 世界で一番、隣人との関係性が薄いと言われてるスウェーデンだからなの
かな、人の事は人の事なんでしょうか。(笑)
 もう一つ、レナが余りに不憫。
 彼女、立ち直れるのだろうか。映画なのに心配してしまうレベル。
 自然描写が美しいスウェーデン映画の特徴は本作も出ていて、自然の中
に点在する家々の様子の美しさはこの国ならではだと思います。
 ガブリエラの独唱は、彼女自身を反映してるかのようで素晴しいシーン。
 只、一番好きだったのはレナとダニエルの自転車練習シーンの微笑ましさ
かもしれません。

 見所の沢山有る作品ではあります。

 H29.4.9
 DVD
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「ラ・ラ・ランド」

2017-04-06 22:33:03 | 映画感想
 「ラ・ラ・ランド」(「La La Land」、2016年、米)
   監督 デイミアン・チャゼル
   脚本 デイミアン・チャゼル
   撮影 リヌス・サンドグレン
   プロダクションデザイン デヴィット・ワスコ
   音楽・作曲 ジャスティン・ハーウィッツ
   作詞 ベンジ・パセック&ジャスティン・ポール
   音楽監督 スティーヴン・キジツキ
   振付 マンディ・ムーア
   衣裳 メアリー・ゾフレス
   出演 ライアン・コズリング
       エマ・ストーン
       ジョン・レジェンド

 (冬)ジャズピアニストのセバスチャンはL.Aの大渋滞の高速道路で女優
    志望のミアと最悪の出会いをする。
 (春)二人は偶然に再会を果たすが・・・。

 良い作品だと思います。
 シネフィルの監督らしく随所にニヤッとさせられるオマージュが一杯だし物
語も悪くなく、ミュージカルとしての完成度も高い、そして、終了後の余韻もち
ゃんと有る。
 そりゃ、F・アステア&G・ロジャースやジーン・ケリーのような華麗なステッ
プ、ダンスに較べれば見劣りはするけど、最初から監督は売れないジャズピ
アニストと女優の卵という設定を重視し完成度を求めていないと言う事なの
で、納得出来ます。
 色彩設計も人工的な「シェルブールの雨傘」よりナチュラル志向でコントラ
ストと調和はとれてると思う。
(序盤の共同生活してる廊下の壁とかモロ「シェルブール~」ですが)
 なのに、何なんでしょうね、観賞後「悪くはないのだけど・・・」とテンションが
上がり切らないのは。
 終わり方がアレなのは、映画会社のロゴに「The End」の懐かしさで中和し
てるから問題ないと思うし、オマージュした「シェルブールの雨傘」のエンディ
ングは充分、余韻に浸りきれて素晴しいのだから終わり方ウンヌンの問題じ
ゃないと思う。
 ナンバーだって、それなりに良い曲だし「ピーターパン」を連想する博物館
のダンスシーンも、如何にもミュージカルって感じで素敵なんですよね。
 結局、突き詰めれば「レ・ミゼラブル」と同じでナンバーが平均的で突出し
たものがないと言う事、この作品のメイン・ナンバーは「City of Stars」だと思
うけど、「ウエストサイド物語」の「Tonight」、「サウンド・オブ・ミュージック」の
「ドレミの歌」、「マイ・フェア・レディ」の「踊り明かそう」のようなインパクト、親
しみやすさに程遠く、二人のダンスも監督の狙いで古いスターの劣化版でし
かない。
 ミュージカルがクリアすべきレベルに達してるけど突き抜けてはいない。
 音楽もダンスも80~90点辺りで綺麗にまとめてるだけ、物語で役者が幾
ら頑張ってもミュージカルの根本が突き抜けてないからミュージカル映画とし
て平均点の上止まり。
 結局、行き着いた結論はそこでした。
 確かに今の時代、昔のように世界中の人々が口ずさむような曲が出にくい
のは解りますが、近年だって「オペラ座の怪人」やインド映画「恋する輪廻 オ
ーム・シャンティ・オーム」のようにキャッチーで一度聞いただけで忘れられな
くなる曲を持つミュージカルは有るんです。
 ふっと口ずさんでしまうメロディ、つい真似したくなるステップ、難しいのは重
々承知の上、長く残るミュージカルとそこが違うと思いました。

 エマ・ストーンとライアン・コズリング。
 初見のエマ、上手いと思うけどオスカー獲る程の出来かと言えば、ちょっと
疑問。
 作品の中の感情、クレッシェンドとデクレッシェンドの幅に演技が追いつい
ていない気がしました、決して大袈裟に演じろという意味ではないです。
 ライアンは贔屓にしてる役者さんなので僕のハードルが高く、ソツ無くこなし
たなという印象。
 内に秘めた感情を演技としてさりげなく表現してる部分はエマより上手いと
思うけど、今迄の演技から抜けたものがあるかというと特に見当たらなかった
気がします。

 う~ん、面白かったんですけどね・・・何かが足りなかった。(汗)

※序盤の共同生活シーンで黄色いドレスの人、「エクス・マキナ」のソノヤ・ミ
 ズノだったんだ。
 全然、解らなかった、そもそも、あそこに東洋系ハーフが居た事すら気付か
 なかった。(汗)
 「エクス・マキナ」の時は完全に日本人顔だったから油断したのかな。
 それと、スクリーンの大きさに対して席が近すぎた。最初のナンバーは絵を
 観ると字幕を追えず、字幕を追うと絵が疎かになるという失態、このナンバ
 ー辺りから慣れてきたけど、やっぱり、まだ調節し切れてなかったのかも。
 同じスクリーンで二度目の失敗、バカは懲りないと自覚。
※監督のデイミアン・チャゼル、シネフィルの監督というのは解った。
 このタイプでタランティーノは長命だけど、P・ボグダノビッチはピークの短い
 人だった。
 「セッション」、「ラ・ラ・ランド」の流れって、ボグダノビッチの「ラスト・ショー」、
 パロディ満載の「おかしなおかしな大追跡」によく似てる。
 チャゼルは2作目でオスカー、ボグダノビッチは3作目の「ペーパー・ムーン」
 でオスカー、でも、ボグダノビッチはそこで終わっちゃった、気を付けないとね。

 2017.4.1
 TOHOシネマズ日本橋
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「スモーク」

2016-12-25 00:57:03 | 映画感想
 「スモーク」(「Smoke」、1995年、米・日・独)
   監督 ウェイン・ワン
   脚本・原作 ポール・オースター
   撮影 アダム・ホレンダー
   音楽 レイチェル・ポートマン
   出演 ウィリアム・ハート
       ハーヴェイ・カイテル
       ハロルド・ペリノー・ジュニア
       フォレスト・ウィテカー  ストッカード・チャニング

 NYブルックリンの街角にある煙草屋。
 そこの店主オーギーと彼に繋がる人達の人生模様をオムニバス風に描いて
いく。

 人が語る事は冒頭に示されるエリザベスⅠ世の煙の量計のように嘘か真か、
実に眉唾の類である。
 煙草の煙のように実態が見えるようで直ぐ無に帰してしまう。
 しかし、その掴み所のない真実らしきものを真実と思い、人間の善性を疑い
ながらも信じなければ生きていけない、弱くて強い、それこそが人間の正体で
はないのか。
 黒澤の「羅生門」の杣売りのように。

 観て感じたのは「羅生門」のバリエーション、もしくは発展型ではないかと。
 「真実は一つのようで、個人々々の問題でしかない」
 それはエピローグのオーギーと老婆の映像と、その始めにタイプライターで
印字される「「オーギーのクリスマス・ストーリー」とポールの名前」が語ってい
る気がします。
 真実と見るか物語と見るか?(その意味では後年の「ライフ・オブ・パイ」に
も似てる)
 オムニバス風に語られる話それぞれに結末は描かれていない、観客の想
像に任されていますが僕はそこに「羅生門」のラストと同じ人間の善性に対す
る「希望」が託されていると感じました。
 この物語で扇の要である杣売りの位置に居るのがオーギー、話を進行させ
る動力である多襄丸の位置がポール、そして疑念を提示する真砂と武士が
ラシードとルビー。
 そこにクリスマスに象徴される「赦し」の要素を入れた。
 人間の善性に希望を託すという意味ではF・キャプラの「素晴らしき哉、人生
!」、「ボケット一杯の幸福」にも通じてる。
 捻くれた考えで多分ピントずれしてるだろうけど、僕はそんな事を連想しまし
た。

 今の時期にピッタリな作品かもしれません。
 良い作品だと思います。

※葉巻は香りも味もめっちゃ強くて、喫煙者の感想としては魅力は凄くあるん
 ですよね。
 でも、あれを毎日吸ってたら還暦なんて無理だったろうな。(1本なんて1回
 では吸えないから鋏で途中で切り何回かに分けるのだけど、それでも肺に
 ダメージを感じる~それに葉巻ってガタイの大きい外人じゃないとサマにな
 らない)
 匂いもキツイから鈍感になってる僕さえ部屋から何日も匂いが取れないの
 が解ります。
※今年は「ブルックリン」、「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」、本作とブ
 ルックリンを舞台にした作品が何故か多かった。

 H28.12.23
 DVD

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  我、鏡を見て詠める

 安するめ 噛めば噛むほど 味はなし
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「遠い空の向こうに」

2016-12-13 00:01:03 | 映画感想
 「遠い空の向こうに」(「October Sky」、1999年、米)
   監督 ジョー・ジョンストン
   原作 ホーマー・エイチ・ヒッカム・ジュニア「 Rocket Boys」
   脚本 ルイス・コリック
   撮影 フレッド・マーフィー
   音楽 マーク・アイシャム
   出演 ジェイク・ギレンホール
       クリス・クーパー
       ローラ・ダーン

 行きつけのTSUTAYAで評点が高く知らない作品だったので借りてみま
した。

 1957年10月、ソ連が打ち上げた人類初の宇宙衛星スプートニク。
 ウェスト・ヴァージニアの炭鉱町でそれを見上げる高校生ホーマー。
 彼は友人2人とガリ勉1人を誘い独自のロケット製作を始める・・・。

 何となく既視感の有る作品。
「我が谷は緑なりき」、「おもいでの夏」、「スタンド・バイ・ミー」にサクセスス
トーリー、父子再生を混ぜ込んだ感じ。
 感想を一言で言えば「1950年代の「我が谷は緑なりき」」かな。
 良い作品だと思うし、ちゃんと泣けましたよ。(笑〜僕の涙は安いけど)
 でも、僕にとっては其処までの作品、特に感銘を受ける・・・と言う事は
無かった。(汗)

 エンドクレジットでオールディーズが掛かった瞬間、「あ、これはノスタル
ジー(感傷)なんだ」と少し醒めてしまった。
 アメリカに、世界中に「夢」が有った時代。
 数年前気付いたのですが、今の僕はセンチメンタルな割に、余りノスタ
ルジーに心が動かない性質なんですね。(「ニュー・シネマ・パラダイス」
とか・・・、「ブルックリン」、「キャロル」も同じ1950年代だけど、その時代
の人間を描いて、その時代で完結してるから僕の感覚ではノスタルジー
じゃない)

 プロムでクィーンになりそうな娘にヒジ鉄喰らわす所が良かった。(ホン
ト、性格悪いわ自分)

※原題「October Sky」が原作「Rocket Boys」のアナグラムって、よく考え
 たもんだ!
※中学の頃、アルミのペンシルキャップに卓球の球を細かく刻んで詰込みケツを
 ペンチで圧着、それをロウソクで加熱するとプシューとロケットみたいに飛ん
 でく。(3~5mたけど(爆))
 友人達と発射台まで作って遊んだのを思い出しました。(笑)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 打ち上がる そのロケットに 込めしもの
  僕らの願い 思えばかなうと

 2016.12.11
 DVD
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「モンパルナスの灯」

2016-11-09 23:17:33 | 映画感想
 「モンパルナスの灯」(「Les amants de Montparnasse 」、1958年、仏)
   監督 ジャック・ベッケル
   脚本 ジャック・べッケル
   原作 ミシェル・ジョルジュ・ミシェル
   撮影 クリスチャン・マトラ
   音楽 ポール・ミスラキ
   出演 ジェラール・フィリップ
       アヌーク・エーメ
       リリー・パルマー
       ジェラール・セティ  リノ・ヴァンチェラ

 売れない画家モディリアーニ、パトロン、友人に助けられ何とか生きてる
状態。
 体は病に蝕まれ、酒に溺れる毎日だが絵に対する志だけは曲げなかっ
た。
 そんな彼が画学生のジャンヌ・エビュテルヌに出逢う・・・。

 これはジェラール・フィリップをひたすら眺める作品じゃないでしょうか。
 知性を感じる美男であり30半ばの渋さも感じさせる、おまけに眼差しに
女性本能に訴えるような魔力もある、男から見てもイイ男ですね。
 でも、まぁ、男の僕から見るとアヌーク・エーメを眺める映画でもある。(笑
~顔も綺麗だけどスラッとした長身に凛とした美しさを感じました)
 そんな二人を見ているうちに自然とモディリアーニの人とナリが自然と自
分の中に落ちてくる、出来の良い伝記ものだったと思います。
 只、幾つかのカットで余韻を持たせようとするあまり、2,3秒長く感じるカ
ットがあって、ちょっと焦れる所もありました。(時代かもしれないし、単に僕
が短気だからかも(笑))

 他の役者陣ではパトロンで女っ振りのよいベアトリスを演じたリリー・パル
マー、忍び寄る死のメタファーである画商モレルを演じたリノ・ヴァンチェラ
が印象に残りました。ついでに言えば元カノの経営するカフェで働く女給さ
んが可愛かったです。(汗)

 ローマでもロンドンでもない、如何にもパリという感じの作品。

 2016.11.6
 TOHOシネマズ日本橋
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「パリジェンヌ」

2016-10-09 22:04:48 | 映画感想
 「パリジェンヌ」(「Les Parisiennes」、1961年、仏)
   監督 ジャック・ポワトルノー  ミシェル・ボワロン
       クロード・バルマ  マルク・アレグレ
   脚本 アネット・ワドマン ロジェ・ヴァディム 他
   撮影 アンリ・アルカン  アルマン・ティラール
   音楽 ジャン・アンドレ
   衣装デザイン ルイ・フェロー
   出演 ダニー・サヴァル ダニー・ロバン
       フランソワーズ・アルヌール カトリーヌ・ドヌーブ
       フランソワーズ・ブリオン ジョニー・アリディ
      
 フランス得意の艶笑小噺をオムニバス形式で語った作品。
 第1話「Ella(エラ)」
 ちょいと図々しい歌手・ダンサーのエラが、先客に構わずタクシー相乗りで
仕事場へ。
 その先客がナントカだったので瓢箪から駒・・・。
 第2話「Antonia(アントニア)」
 結婚前の恋人とゴルフ場でバッタリ。
 その元カレが「不感症の人形みたいな女」と話してるのを盗み聞きした旦那、
早速、女房にご注進。
 アントニアは如何にもフランス女らしい方法で復讐を企てる。(笑)
 第3話「Francoise(フランソワーズ)」
 旦那の浮気に怒ったフランソワーズはアメリカからパリの親友の元へプチ
家出。
 「昔から気が多くて男を見る目なし、私は違うわ」と親友に言われカチンとき
たフランソワーズ、持ち前の手管で親友の彼氏にちょっかいを・・・。
 第4話「Sophie(ソフィー)」
 堅物でまだネンネとの級友評に反発した女子高生ソフィー、「昼下がりの情
事」のアリアーヌよろしく精一杯背伸びした結果・・・。

 小品だけど上手くまとまったオムニバス映画だと思います。
 第1話のエラ役のダニー・サヴァル、コケティッシュなのはいいけどキンキン
声でマシンガントーク。
 「アイドルを探せ」の時は左程気にならなかったけど、今回はのべつまくなし
なのでちょっと疲れた。(笑)
 第2話と第3話は如何にもフランスって感じがして面白く、アントニア役のダ
ニー・ロバンの艶っぽさ、フランソワーズ役のフランソワーズ・アルヌールの小
悪魔ぶりも上手く役に嵌ってました、特に第3話のオチは中々洒落てて良。
 話としては、この二つがお薦め。
 第4話、これはもう女子高生役のカトリーヌ・ドヌーブを観てるだけで大満足。(笑)
 端役をやってたドヌーブが初めて注目された作品(R・ヴァディムの毒牙にか
かるオマケ付き)としてタイトルだけは知ってたけど、若い時は掛らなかったし
最近は忘れてて観る機会の無かった作品。
 まだ10代だけど、シャープな美貌は既に見惚れるくらい、この人、この寄せ
付けない美貌からか若い頃は芸術系の冷たい役が多いのだけど、屈託のな
い笑顔を見せると凄く可愛いんですよね。
 僕がこの人の本当のファンになったのも中期のコメディが少し入った作品か
らなんです。
 結構、コメディもこなせたんじゃないかな、若い時のもっと陽気な作品を見た
かった。
 この作品、背伸びする部分は前述の「昼下がりの情事」を彷彿させるし、窓
から「こんばんは」は「ティファニーで朝食を」みたい(笑)、まぁ「ティファニー~」
と同年の映画なんだけど。
 しかし、相手役のJ・アリディ、リアル女房は僕の初恋の歌手シルヴィ・ヴァルタ
ン、ムカツクぜ!(笑)

 miriさん、忘れてたこの作品、思い出させてくれて、ありがとう!
 ドヌーブもアルヌールも良かったし、作品も面白かったです。

 H28.10.9
 DVD
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「ハドソン川の奇跡」

2016-10-04 00:36:11 | 映画感想
 「ハドソン川の奇跡」(「SULLY」、2016年、米)
   監督 クリント・イーストウッド
   脚本 トッド・コマーニキ
   原作 チェスリー・サレンバーガー  ジェフリー・ザスロー
   撮影 トム・スターン
   編集 ブル・マーリー
   音楽 クリスチャン・ジェイコブ  ザ・ティアニー・サットン・バンド
   出演 トム・ハンクス
       アーロン・エッカート
       ローラ・リニー

 2009年、ニューヨークを離陸したUSエアウェイズ1549便は直後にバードス
トライクにより両エンジンが停止、市街地、低空、限られた時間の中、サレンバ
ーガー機長はハドソン川への不時着水を強行する。
 だが数日後、機長と副機長は国家運輸安全委員会(NTSB)の場で飛行場へ
の緊急着陸が可能だったと告げられる・・・。

 流石、イーストウッド監督、ソツなくまとめてて面白かったです。
 事故後の国家運輸安全委員会(NTSB)との攻防の中で、機長とクルーは勿
論の事、救助に向かう人達まで、そのプロフェッショナルぶりと矜持を浮彫りに
していく。
 演出の手腕と鮮やかさは見事と言っていいでしょう。
 但し、事故自体をサイドストーリーにして地味なNTSBとのやりとりを中心に据
えながら、それでも映画として少しも飽きさせずに観せた一番の功績は脚本構
成と編集の妙に有った気がします。

 事故後、まだ7年、殆どの人が存命中なので事実に縛られフィクションの入る
余地が少なく、又、着地点も決まってる為か作品として若干窮屈な感じがした
のと、NTSBの描き方が昔の西部劇の悪玉みたく単純化されてるので解決して
も余り「深み」がなく、そのあっさり感をヒーロー談で上手く誤魔化された感じが
しないでもなかった。(笑)
 ちょっとそんな気もしましたが、やっぱり真のプロフェッショナルぶりを見ている
のは実に清々しく、役者陣も役に嵌っていて見応えが有りました。
 DVD化されたら、家族と一緒に見てみたいと思っています。

※原題の「サリー」はチェスリー・サレンバーガー機長の愛称。

 H28.10.2
 TOHOシネマズ日本橋
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「ゆりかごを揺らす手」

2016-08-30 00:40:10 | 映画感想
 「ゆりかごを揺らす手」(「The Hand That Rocks The Cradle」、1992年、米)
   監督 カーティス・ハンソン
   脚本 アマンダ・シルヴァー
   撮影 ロバート・エルスウィット
   美術 エドワード・ピッソーニ
   音楽 グレーム・レヴェール
   出演 アナベラ・シオラ (クレア)
       レベッカ・デモーネイ (ペイトン)
       マット・マッコイ (マイケル)
       アーニー・ハドソン (ソロモン)
       ジュリアン・ムーア (マーレーン)
       マデリン・ジーマ (エマ)

 ホラー系と思ったらサスペンスだった(笑)、でもサイコパスっぽい所もあ
るのでギリギリ「肝試し」セーフと言う事にしてもらいます。(汗)

 産婦人科で猥褻行為を受け、告発したクレアとマイケルの夫婦。
 騒ぎが大きくなり告発された医師モットが自殺、賠償の為、資産は差し押
さえ。
 医師の妻はショックで流産、無一文に。
 その半年後、夫婦の前にペイソンと名乗る女がベビーシッターとして現れ
る・・・。

 最初、標的は赤ちゃんかと思ったけど、そうじゃなかった。
 その辺りや、話の進め方、真綿でゆっくりと首を絞めていく感じが素晴ら
しい、性急でなく時間を掛け隙を見付け一つ一つ追い込んでいくのがいい
ですね。
 でも、これだけ丁寧に作りながら、所々、雑だったり安易にご都合主義へ
走ったりしてる。
 何だか気が散りました。

 特に気になった点。
・造作手伝いで雇っていた障害者のソロモン、彼がペイソンの策略に引っ
 掛かった時、彼に「絶対、(エマ~夫婦の長女)守ってみせる」と言わせて
 る疑問。
 これで土壇場にソロモンが救世主として登場するのが予想ついちゃう。
 だからクライマックスも安全弁付き緊張感という、何とも締まらない気分に。
・終盤、友人のマーリーンがペイソンの正体に気付くのですが、そこからの
 展開がご都合主義の塊り。
 ペイソンの狡猾さ、深謀遠慮ぶりを目の当たりにしてるのに、単身、敵地
 に突入させてる。
 マーリーンの辞書には「用心」という単語が無いのか。(笑)
 ご丁寧に見破った事まで披露してしまう。
 作劇上、「見破る→災難に遭う」だけを決めていたけど、→の部分のアイ
 デアが浮かばず単純・強引に話を進めた感じで、どうにもこうにも???
 でした。
 細かい所では、半地下のペイソンのフロアから2Fの家族のフロアへ毎晩
上がって来てたのに気付かなかったり(木造~サイコパスの話だからなの
か、何だか「サイコ」を思い出す家だった)、母乳を余り飲まないのに順調に
体重が増えてる事を疑問に思いながら突き詰めない、飲まないのに出るモ
ノが普通なら体重は減るしかないし、赤ちゃん始終不機嫌で泣き喚くのが普
通、誰かがミルクを飲ませてるとしか考えられないでしょ、まして二人目なん
だから。
 色々、ご都合主義が目に付き過ぎました。

 物語自体は面白く飽きる事はないし、理不尽な逆恨みの恐怖もよく描けて
る、でも、あちこちで引っ掛かって不完全燃焼状態。
 もっと良い作品になれたんじゃないかな、勿体ない気がします。
 (ペイトン役のレベッカ・デモーネイの方が人気有るようですが、僕の好み
はクレア役のアナベラ・シオラ(笑))

※女二人の戦いに男一人、その男は存在感が薄い。
 今年観た「ヒドゥン・フェイス」に似た構図、ただ、本作の夫の方が、あっちの男
 より多少有能かも。(笑)
※当人に秘密にしていたクレアの誕生パーティ、「キャリー」のプロムを連想
 させて、どんな大惨事が起きるのかとヒヤヒヤしてました。(笑)
※ラスト、クレアはソロモンに、
 「貴方には本当に酷い事をしたわ、ごめんなさい。助けてくれてありがとう」
 の一言くらい有って欲しかった。
 福祉事務所から禁止されてる赤ちゃんの「抱っこ」を認める事で表現してる
 のだから蛇足かもしれないけど、やはり謝罪と感謝の言葉は必要だったの
 では?
 それが有れば、もう少しホッコリ終われた気がします。

 H26.8.28
 DVD

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 しあわせの 光眩しく 強ければ
   その影も亦 色深くなり
 
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「カリフォルニア・ドールズ」

2016-07-18 15:53:50 | 映画感想
 「カリフォルニア・ドールズ」(「...ALL THE MARBLES」、1981年、米)
   監督 ロバート・アルドリッジ
   脚本 メル・フローマン
   撮影 ジョゼフ・バイロック
   音楽 フランク・デヴォール
   出演 ピーター・フォーク
       ヴィッキー・フレデリック
       ローレン・ランドン
       バート・ヤング

 P・フォーク
 アクの強い俳優さんでしたね、俳優にはアクの強さが必要だけど、何事
も「過ぎる」と使いづらい。
 日本で言えば渥美清さんに似てる、上手いけどアクが強すぎて、しかも
「当たり役」が嵌り過ぎ何を演じても「寅さん」、「コロンボ」のイメージが取
れない。
 品のなさからスマートな役が出来ないのも似てる。
 (「スーさん」に染まり切らない三国連太郎さんは、その点、凄かったかも)
 でも、二人とも嫌いじゃないです(笑)、憎めない愛敬が何とも言えません。

 さて、この作品。(汗)
 女子プロレスでタッグを組む「カリフォルニア・ドールズ」がマネージャーの
ハリーと共に栄光を掴むまでを描く、女版「ロッキー」でした。
 P・フォークはそのマネージャーを演じてるのですが、ホント、一筋縄では
いかない胡散臭いイタリア系で、ピッタリ。
 只、「マネージャーとしては有能だ」と言う割に、余り、そうは見えない、む
しろ、演出家として有能だった。(笑)
 それと、1シーンでいいからレスリング(必殺技)の練習をしてる所が欲し
かったかな、「出た!必殺技!!」はいいけど、いきなりだとカタルシスに欠
ける気がして勿体なかった。
 (「オーケストラ!」と言ってる事が正反対だけど、あれはM・ロランという
最強兵器が・・・)

 監督のR・アルドリッチは「飛べ!フェニックス」、「北国の帝王」、「ロンゲス
ト・ヤード」等、男の汗の匂いが印象的な人だけど、今回は結構サービス精
神を発揮してました。
 ちょっと枯れた感もしないでは無かったけど、流石に演出はソツがなく黒澤
さんと違って最後まで映画のエンタティメント性を忘れないでいてくれたのは
立派。
 演技陣もP・フォーク、ドールズの二人組他、全員、健闘していたと思います。
 どうしても二番煎じの既視感は拭えなかったけど、それなりに楽しく面白い
作品でした。

 クライマックス(Part1)~画質最悪(汗)
 https://www.youtube.com/watch?v=caAsJfygIMQ
 

※ビック・ビジネスのボクシング界だったら、プロモーターにあんな事した日
 にゃ、次の日、カタワになってるか近くの川底に沈んでるか、どっちかでしょ。

 2016.7.17
 DVD

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 故郷(ふるさと)を 捨てた夏の日 遠くなり
    古びた鞄 肩に喰いこむ
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「宇宙人ポール」

2016-05-29 11:00:44 | 映画感想
 「宇宙人ポール」(「Paul」、2010年、米)
   監督 グレッグ・モットーラ
   脚本 サイモン・ペッグ
       ニック・フロスト
   撮影 ローレンス・シャー
   音楽 デイヴィッド・アーノルド
   出演 サイモン・ペッグ
       ニック・フロスト
       クリステン・ウィグ
       セス・ローゲン (ポール・声)
       シガニー・ウィーヴァー

 アメリカのコミケへ遥々イギリスからやって来たSFオタク二人。
 ホモ達と間違えられながらも聖地巡りをするうち、本物の宇宙人と遭遇・・・。

 大元は「未知との遭遇」だろうけど、「E.T.」、「スタートレック」、「スター
・ウォーズ」、「メン・イン・ブラック」、「エイリアン」他、全編に渡ってパロデ
ィを散りばめてる作品。
 それらを知ってれば、より楽しめるだろうけど、映画はクイズじゃないの
で別に知らなくても全然、大丈夫。
 恥かもしれないけど、僕が観てるのは「未知との遭遇」、「スター・ウォー
ズ」、「エイリアン」だけ(「E.T.」は子供絡みのファンタジーみたいだった
ので未だにパス)、それでも充分楽しめました。
 只、コメディなのに何人も死人が出るのはね、ラスボスはともかく、あの
人達は引っ張り要員で引っ張るだけ引っ張って用が済んだら邪魔なので
「消えて」って感じ。
 もう少しスマートに退場させられなかったのかな、ちょっとそこだけは引っ
掛かりが残りましたが、後は上手くいってて面白かったです。
 このコメディの面白さは、パロディの面白さもあるけど、イギリス人から見
るアメリカへのブラックユーモア。
 口が悪く品は無いけど開放的でフレンドリーな所を宇宙人が体現し、排
他的で保守性が強く頑迷な所を生身のアメリカ人が演じる、特にキリスト
原理主義者から一変、天国がないなら地獄もないとばかりにタガが外れ
ていくヒロイン。
 そのイギリス人視点のオチョクり具合が可笑しい。
 コメディという保険に寄りかかって強引な展開もあるけど、充分、合格点
をあげられる作品だと思います。

 予告編
 https://www.youtube.com/watch?v=i-FV-k8XQoM

※下ネタ多し、但し、それ程悪趣味ではない。
※ラスボス、ここの所、拝見してなかったので誰か気付きませんでした。(汗)
※「スコットランド・ヤードは銃を撃たないって本当か?」と中盤出てくる保安
 官、何だかロイ・シェイダーに似てるんだけど、あれって「ジョーズ」のパロ
 ディ?

 H28.5.22
 DVD

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 上手ければ 果てなく釣れる 泥鰌かな
   柳の下に 人は途絶えず 
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「あの頃エッフェル塔の下で」

2016-05-22 08:32:15 | 映画感想
 「あの頃エッフェル塔の下で」(「TROIS SOUVENIRS DE MA JEUNESSE」、2015年、仏)
   監督 アルノー・デプレシャン
   脚本 アルノー・デプレシャン   ジュリー・ペール
   撮影 イリナ・リュプチャンスキー
   音楽 グレゴワール・エッツェル
   出演 カンタン・ドルメール  (ポール・青年期)
       ルー・ロワ=ルコリネ  (エステル)
       マチュー・アマルリック (ポール・現在)
       リリー・タイエブ

 「あの頃エッフェル塔の傍で」でしょ(笑)、原題は「青春の三つの想い出」
だとか。
 簡潔に言えばファム・ファタールを失った男の想い出話。
 久しぶりに僕が思うフランス映画を観た気がします。
 余り好きではないのだけど、ヌーヴェル・ヴァーグ期のフランソワ・トリュフ
ォーの映画に近い感じがしました。
 しっかりした捉え所はないけれど、伝えたい漠然とした感じは解るような気
がする。

 トリュフォーと同じマザコン臭の強い作品。
 終盤始めに入る台詞、
 「その4年の間、僕は7人と関係を持ち、エステルは15人と関係を持った」
 (パリに住むポールと200k離れたエステルは週末だけしか会えない)
 そしてエピローグでのエステルの台詞、
 「私が愛してるのは、あなただけなの・・」(この台詞に嘘は無い)
 只、この台詞、迂闊にも流し聞きしてしまった。
 だから、終わってみれば、多分、一番重要だったこの台詞をDVDのように
正確に再生確認できない。
 この二つの台詞とファム・ファタールという言葉をミキサーに懸けたのが、
この作品。
 僕は、そう感じました。

 直近の事ですが、あるフランス映画の検索をしてた時(作品名が思い出せ
ない)、留学中の日本人女性がパリでタクシーに乗った際の会話を思い出し
ました。
 (運転手はオッサン)
 「今、何人、愛してるの?」
 「え・・一人ですけど」
 「若いのに勿体ない!俺は5人愛してるよ」
 この会話からでは運転手の奥さんが何人の男を愛してるのか、女房殿が
知らないだけなのかは解らない、でも、フランス人(男女を問わず)の思考形
態の一端は窺い知れる、例え運転手が例外だとしても、そういう思考回路が
有るんだろうな、と。
 この作品を観る前に、このコメントに出会ったのは幸いでした。(笑)

 予告編
 https://www.youtube.com/watch?v=VD5dfK_MpNY
 やっぱり、フランスでもトリュフォーに似てるって言われてた。(笑)
 予告編から感じる英米タイプのウェットな話を期待するとハズレます。
 フランス映画ですから。

※感想の落ち着き先が、どこに行くのか、まだ不明。
 取り敢えず、カテゴリー「映画雑記」に置いておきます。
 今の所、本年ベスト10の10位前後かな、結構、正体不明な作品。
 (笑)

 2016.5.21
 早稲田松竹
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「幕が上がる」

2016-05-03 01:18:43 | 映画感想
 「幕が上がる」(2015年、日本)
   監督 本広克行
   脚本 喜安浩平
   原作 平田オリザ
   撮影 佐光朗
   音楽 菅野祐悟
   出演 百田夏菜子
       玉井詩織 有安杏果
       高城れに 佐々木彩夏
       黒木華 
       ムロツヨシ  清水ミチコ
       志賀廣太郎

 ガールズムーヴィー、演劇部編

 この作品、僕が参考にしてるfilmarksで高得点をマークしてた作品(アイド
ル、アーティストものはファンによる底上げが有るので、疑いつつ)、「アイドル
ものじゃない真っ当な作品」と評判を聞いて気になってたし、最近、注目してる
黒木華さんも出てるので迷ってたのですが、「忘却エンドロール」の宵乃さんが
記事をUPされたので、「それでは」と。

 確かに真っ当な作品で良い作品だし、素直に感動できると思いました。
 アイドル業の超忙しいスケジュールを縫って、これだけの演技をした彼女達、
それに合わせて最善の努力をしたスタッフ・キャストも素晴らしい。
 でも、やっぱり「ももいろクローバーZ」有りきの作品という印象は否めない。
 これは再見するとよく解るんじゃないかな。

 「がんばっていきまっしょい」、「スウィングガールズ」、僕の好きな「シムソン
ズ」と同じキラキラ青春モノのガールズムーヴィーで本作もそれらと同じく青春
独特のキラキラ感が感じられます。
 でも初見でもある程度感じてしまうのですが、再見すると一層感じてしまう差、
そのキラキラ感が天然ダイヤと人工ダイヤの違いのようにクッキリと見えてき
てしまう。
 それは前記3作が殆ど新人か上昇気流にイマイチ乗れない娘達、まだ手垢
の付いてない新鮮な素材、その原石を磨いて光らせたのに対し既に輝いてし
まってるスターが無名の女子高生を演じるという作為。笑顔、カメラ目線、既に
体得してしまったものは消せないし、演出、カメラもファンの需要に応える為に
毎回のように、それぞれのUPや歩く姿に必要以上の時間を割いてる。
 これ、そういうファン・サービスが無ければ、もう20分くらいは短縮出来る気
がします。
 それと忙しいスケジュールの為か、終盤の盛り上がりをモノローグや台詞に
頼ってしまい映画の魅力である動きや映像で見せる事を殆ど放棄してるのも、
かなりの問題点だった気がします。

 演技に関して「ももいろクローバーZ」の方々は上手いし(ちょっと下手っぴい
も居るけど)、それを纏める黒木華さんもいい、彼女、今回は「横綱相撲」とい
うか若い面々のぶつかり稽古に胸を貸すって感じでした。(笑)
 助演の溝口先生(ムロツヨシ )も上手に主演者達を支えていたし(最初は誰
だ、三谷幸喜か?クサイ芝居する奴と思ったけど)、地味ながら滝田先生を演
じた志賀廣太郎さんが落ち着いた良い味を出してアンサンブルを支えていた
と思います。(僕が一番印象に残ったのは志賀さんかも、地味でも美味しい役
だし)

 悪い作品じゃ決してないと思うけど、このテの作品に必要な新鮮味が無いの
が、ちょっと致命傷かも。
(と、AKB48も、ももいろクローバーもZも区別のつかないオッサンがブツブツ
言ってます(汗))

※黒木華さん、妄想シーンの蜷川バージョンで入った方が面白かったかも。(笑)

 2015.5.1 
 DVD

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 夢破れ 夢破れてまた 夢を見て
  ため息の先 富士を見上げる
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「アイアンマン」

2016-04-24 19:40:30 | 映画感想
 「アイアンマン」(「Iron Man」、2008年、米)
   監督 ジョン・ファヴロー
   脚本 マーク・ファーガス   ホーク・オストビー
       アート・マーカム  マット・ホロウェイ
   撮影 マシュー・リバティック
   音楽 ラミン・ジャヴァディ
   視覚効果 ジョン・ネルソン
   出演 ロバート・ダウニー・Jr.
       グウィネス・パルトロウ
       ジェフ・ブリッジス
       
 僕は「鉄人28号」、「鉄腕アトム」、「サイボーグ009」で育ち、「超時空要塞
マクロス」で卒業した人間、だから、こういう展開、物語に違和感なく入ってい
ける。
 純然たる娯楽映画に理屈を付けるような野暮は持ち合わせていません。
 映画なんだから面白ければOKと思っています。

 ヒロイン、グウィネス・パルトロウ だったんですね、全然、気付かなかった。(笑)
 最初に彼女が登場した時、僕のマイ・ベスト10に入れてる作品「狼は天使
の匂い」(1973年・監督 ルネ・クレマン 仏・米)のティサ・ファロー(ミア・フ
ァローの妹)に似てるな、と。
 そんな思いで観てたら役名がペッパーだって・・・。(爆)
 J・ファヴロー、あの作品好きなのかなァ(まさかネ(笑))、作風、まるで違う
ような気がするけど。

(朝起きたら、そう言えば、これアメコミだったと・・・、ならば役名や髪型は最初
から決まり、でした。(汗))

※J・ブリッジス、メジャー・デビューの頃から知ってる俳優さん。
 「ラスト・ショー」で嫌な印象が付いちゃったけど、妙に忘れられなくて。
 そして、段々、好きから大好きな俳優になった・・・、それから30年、感慨深
 いものがあります。
 今度「トゥルー・グリット」観てみようかな。

 H28.4.24
 DVD 
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「ジョンとメリー」

2016-04-04 23:58:56 | 映画感想
 思い出しついでに、と言っても10代の終わり頃「フォロー・ミー」で知った
ミアが出てるというので観て凄く印象に残った作品、思い出の映画の一つ。(多
分、教育TVの原語版)
 このタイトル、日本語で言えば「太郎と花子」的な意味合いが有ると思い
ます。

 「ジョンとメリー」(「John and Mary」、1969年、米)
   監督 ピーター・イェーツ
   脚本 ジョン・モーティマー
   原作 マーヴィン・ジョーンズ
   撮影 ゲイン・レシャー
   音楽 クインシー・ジョーンズ
   出演 ダスティン・ホフマン
       ミア・ファロー

 NYの或る夜、パブで意気投合した二人は勢いでそのままベット・イン。
 翌朝、男のベットで女が目を覚ました所から物語が始まります。

 かなり技巧臭のする恋愛劇。
 初見の時はその技巧が面白くて良かったのだけれど、時を経て見直す
と技巧が鼻に付いてしまう、僕にとってそんな印象を持つ作品。
・ある名詞を封じ手というかNGワードにして、更に事後の翌朝に始まり初
対面の挨拶で終わるという、通常の恋愛劇の逆パターンで作劇するという
二つの「縛り」。
 そんな発想から書いた気がするけど、そこは上手くいってるしラストで封
じ手が解かれた時、「あっ、そういえば」って言うくらい不自然さが無くて面
白い。
・もう一つの大きな特徴は、表の台詞と別に本音の台詞がモノローグで入
る事。

 https://www.youtube.com/watch?v=9Ni5Ta6J6hw
 
 このシーンじゃないけど、こんな感じ、
 女「素敵な部屋ね」
  (潔癖症かしら?)
 男「ありがとう」
  (オイオイ、棲み付くつもりか?)

 「エターナル・サンシャイン」でお互いの本音をテープで聞いてしまうシー
ンが有りますが、あれが二人のモノローグとして中盤まで頻繁に入ってくる。
 終盤になると少なくなるのは、恋愛感情が芽生えて表と裏の乖離が少な
くなって来るのと、その為、余裕ブッこいてる暇が無くなるから。(笑)
 初見の時はこれが面白くて記憶に残ったけど、数年前再見した時は「いち
いち五月蝿いなァ」と感じてしまいました。
 このモノローグで物語と会話のテンポが時折停滞しちゃう感じがして、何か
イラっときちゃう。
 歳のセイで元々の短気に拍車が掛かったんだろうか。(笑)
 事件らしい事件も起きず、淡々と丁寧に二人の感情の変化を描いていく所
はすごく良いし、初対面の頃(この作品は既に事後なのですが素面に戻れば
初対面みたいなもの)、二人だけの差し向かいになった時のお互いの距離感、
ジャブを撃ちながら反応と出方を見たり、それが意図しない方向へ行って慌て
たり、誰もが経験する普遍性も上手く描けてるのだけど、残念ながら10代の
時みたいには印象に残らなかった。
 哀しい哉、再見時、歳を感じた1本。(涙)

 時折挟み込まれる互いの過去シーン以外、殆どジョンの部屋を出る事の無
い二人の密室心理劇。(笑)
 だから脚本、演出、演技、三拍子揃わないと忽ち欠伸が出る事必定、そこは
充分以上にクリアしてます。
 D・ホフマンは「卒業」の2年後、M・ファローは「ローズマリーの赤ちゃん」の
翌年、ステップアップ中の若い二人の演技合戦は中々の見物。
 特にミアの役は普通の美人女優じゃシリアスに寄り過ぎて話が辛気臭くなる、
彼女が持つ独特のエキセントリックな感じが実によく役にフィットして物語に色
彩を与えています。

 出会った頃の手探り感、トキメキに気付く時、そんな感覚を思い出したい方、
風変わりな恋愛劇を観たい方にお勧め。
 再見時の印象はイマイチだったけど、それでもこの映画の持つ独特の雰囲
気は今でも好きです。

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 今なら自信を持って言える(笑)

 ちょっと待て!その錯覚が 命取り


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