興趣つきぬ日々

僅椒亭余白 (きんしょうてい よはく) の美酒・美味探訪 & 世相観察

「揺るるばってん、沈まんばい」

2018-09-22 | 随感・偶感・歳時感

上の写真は、この夏を北海道で過ごした友人から、お土産にといただいたお酒。
6日の北海道地震で棚から落ちたのだが、ビンが割れなかった一本とのこと。

「ラッキーな酒だから、飲むと幸運が舞い込むよ」
と冗談めかして言う友人は、重いのにわざわざ持ってきてくれたのだ。

 

 


   

よく見ると、ビンのふたの角がへこんでいる。
察するに落ちたとき、硬い床に頭から落ちたのだろう。
腹から落ちていれば、ひとたまりもなく割れてしまったにちがいない。

ところで、この割れるのをまぬかれた酒を見て、わたしはある方に教えてもらった一つの言葉を思い出した。

「揺るるばってん、沈まんばい」

という言葉だ。「揺れるけど沈まないぞ」という意味である。

佐賀出身のその方は、ヨットにも乗るので、‘ヨット乗り’ の間でいわれている言葉かもしれない。

「人生にも大波・小波、大風・小風はあるけど、帆と舵を上手く操って(工夫をこらして)、決してあきらめずに乗り切っていけ」
という意味が込められているとのことだった。

わたしはこの割れなかった酒瓶を見て、こんなこじつけをしてみたくなった。
「落ちるばってん、割れんばい」(落ちても割れないぞ)と。

人生にはいうまでもなく、さまざまな避けがたい不運や不幸が訪れるものだ。不慮の事故だってある。それを前もって気に病んでいても始まらない。
イザというときにはこのビンのように、むしろ頭から飛び込んでいきたいものだ。

2018.9.22