今回の「名言・佳言ピックアップ」は、「法句教」の中の言葉を取りあげます。
「おのれこそ おのれのよるべ
おのれを措(お)きて
誰によるべぞ
よくととのえし おのれこそ
まことに えがたき
よるべをぞ獲(え)ん」(160偈)
ブッダ(釈尊)の言葉とされる法句教(真理の言葉)には、さまざまな訳があるようですが、わたしはこの友松圓諦の訳が好きです。(『法句教』友松圓諦・訳、講談社学術文庫)
古文調で、五七調の韻律が格調を生み出しているからです。
この160番目の句は、自分こそが自分の拠りどころなのだという自立・自尊の精神を教えています。人生、他人に甘えず凛として生きたいものです。
ただわたしには、「よくととのえし おのれこそ」のところが分かりにくい。どうすれば自分を「よくととのえる」ことができるのでしょう。
『法句教』の中には、例えば「忍辱(しのぶこと)こそ最上の行(ぎょう)」(184偈)、「誹(そし)らず 害(そこな)わず 戒(いましめ)におのれをまもり 食(かて)において量(ほど)を知り」(185偈)という言葉が出てきます。
(同書巻末の現代語訳では「忍耐こそは最上の苦行である」「そしり罵(ののし)ることなく、そこない傷つくることなく、清浄に至る戒律に自らを守りつつしみ、食するに又その限量を忘れず」とあります)
「ととのえる」というのはそのようなことでしょうか。道は決して容易ではありません。
わたしの場合はまず、食べ過ぎ(飲み過ぎ)を改めることから始めねば・・・。
*写真は月見草。 本記事と関係ありません。