中国:「金持ち村」の秘密とは
建ち並ぶ豪邸、医療費もタダ
中国・長江に近い江蘇省・華西村は「中国一の金持ち村」と呼ばれる。
豪華な住宅と高級車がずらりと並び、医療費もタダ。
開村50周年を記念し、先月、村営の超豪華ホテルもオープンした。
中国各地からも見学者が殺到する村の秘密とは?
中国最大の経済都市・上海から車で約2時間。
華西村の入り口には「天下第一村」と書かれた門がある。
西洋風のしゃれた豪邸が並ぶその奥に、
地上72階建てのホテル「華西竜希国際大酒店」がそびえ立つ。
高層階には展望台や回転レストランがあり、
純金1トンで作った置物の「牛」が客を出迎える。
建設費は30億元(約360億円)だが、
その不動産価値は既に約1.6倍に高騰。
宿泊費は1泊2080~9万9999元(約2万5000~約120万円)だが、
早くも予約でいっぱい。
「村の発展手法を学ぼうと、地方政府の幹部らが見学ツアーでやってくる」ためだ。
ホテルを建設したのは、金属加工会社など大手8企業から成る村営企業グループ「華西」傘下の会社。
村民約2000人が1人1000万元(約1億2000万円)を出資、借金ゼロで完成させた。
華西村は、かつて面積1平方キロに満たない人口2000人弱の稲作中心の農村だった。
60年代後半、呉仁宝・前党委書記(82)の指導で、金属加工工場を設置。
資本主義が厳しく批判され、集団農業が強いられていた文化大革命期にも、
ひそかに工場を運営して技術を蓄積した。
78年の改革・開放後は工業や農業、商業など産業の多角化に成功して急成長。
周辺の村を合併し、現在は面積30平方キロ、と30倍・
人口約3.5万人と約17.55倍の工業都市へと生まれ変わり
、村の「総売り上げ」は512億元(約6000億円)に達する。
発展のカギとなったのが「少分配、高蓄積」と呼ばれる独特の戦略。
例えば村営企業に勤める村民の月給は1600~2000元(約2万~2万4000円)と飛び抜けて高くはない。
だがボーナスは年間500万円以上あり、その8割は村営企業の「株」で渡される。
この株は市場で売買できないが、年1%の配当金が支払われ、村営企業から家屋などを買うのにも使える。
村営企業は支払うべき人件費を“蓄積”し、さらなる事業拡大に投資できる。
村営の服飾会社で工場長を務める李六祥さん(46)の自宅は、
延べ床面積486平方メートル(約150坪)の2階建て。
床は大理石で、日本製の大型液晶テレビが並ぶ。
「昔は水道もなく、春節(旧正月)に少し肉が入ったワンタンを食べるのが最高のぜいたくだった」そうだ。
しかし「株券」をもらえるのは、
開村時からの村民で、村営企業を育ててきた約2000人の「老村民」だけで、
最近合併した周辺の20村からの住民(新村民)には、その権利を認めていない。
約2万人の出稼ぎ労働者(農民工)も現金の月給(約3万6000円前後)だけだ。
ある中国経済紙記者は「結局は一部が残りの住民を搾取する構造だ」と冷ややかだ。
中国社会科学院農村発展研究所の党国英主任も中国紙に対し、
華西村はあくまで例外的で「新しい農村建設の方向性を代表するものではない」と指摘する。
だが、開村時から村の発展を率いた「カリスマ」で長老の呉前党委書記は、超豪華ホテルを前にこう語る。
「社会主義国家が力を結集させれば、こんな大きなことができるというのを象徴するものだ」。
最近の見学者は年200万人以上にのぼるという。
という事は・
経済特区を設けたり・
皆で力を合わせて、東日本大震災で被災した町にもこのアイデアは何か応用できそうですね。
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