「さようなら、私」
小川糸 著
過去の想いをひきずって歩いている、
三様の女性。
さようなら、
お別れはするけれど、そのお別れは別離ではなくて、
抱えたあとで、そっとふれて、振り返ればみえなくて、
見えないけれどある、きっと空の上のほうに。
そして望むとに関わらずにふっとだけ出会う。
友人との、母との、子との、
それぞれの死との向き合いから、
自身を包むベールは風でゆれる。
さようなら、私。
そして。こんにちわ。
きのう北海道新聞の朝の食卓のなかの文で、
出逢いについて書かれていたこと。
山田香織の文。
出逢うであろう時間を共有できること。
そして来るであろう別れの怖さ、悲しみは、
身体に心にゆっくりと大切に沁み込ませていく。
本の共通項としても印象に残った。