言葉だけは傷つかないようにする
体の傷は
そっと隠して
言葉のなれそめは
恋し焦がれて
文章の
その一句に胸うたれ
ゆるやかに染み込むこの驚き
振り向く瞬間のいとおしさ
一呼吸はそのためのしずく
雨を食べる
よく舌にのせて
そういうふうに大地があって
ふんでさわって泥にまみれ
種があったとはしゃいだ
あー
手が空に
空には無数の
きらきら
つかみとる言の葉のいろめきたち
それって美しすぎるかな
美しいってそういうことだと細胞ごっこ
DNAは螺旋をつむぎ
語る唇は空間の暗号をゼロとワンで創造し
余白は縦横無尽
名前を呼んだ
ふりむいた
呼んだきがした
ふりむいた
ふれられなかった
それだけで詩は出来上がる
愛というように
恋というように
だんだんと
分からなくなる
理解への
眩暈はまたも
首をかしげる