栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

売り切れる弁当屋、売れ残る弁当屋

2010-11-28 22:41:13 | 視点

 流行る店、流行らない店の違いについては以前書いたが、この2枚の写真は同じ場所で昼時に弁当を移動販売している車を写したものだ。
両者の位置はほんの2、3mしか離れていない。
要するに並んで車を止め、同じように弁当を売っているわけだ。
ただ売っている弁当の値段と中身は違う。
片方は380円、もう一方は500円。
そして売れ方も違っていた。

 実は私もこの移動販売車から弁当を買って食べたのだが、買ったのは左の写真の車から。380円と安いから買ったわけではない。私が買いに行ったときは最後の一つで、本当は違う種類の弁当が欲しかったのだが、弁当はそれしかなかったため、結局一つ残った弁当を買ったのだった。

 食べ終わって空箱を捨ててもらおうとしたときに初めて右の写真の販売車に気づいたのだった。
見ると値段は500円だったが、この中身だったらこちらで買ったのにと思ったものだ。
しかもまだ弁当は残っていたし。
では、なぜ500円弁当車の存在に気付かなかったのか。

 まず位置の問題。
左の車の380円弁当が正門の真ん前に陣取っていたのに対し、右の500円弁当の方は正門の端、壁に少し隠れるような位置に止めていたため気付かなかったのだ。
 もう一つは、話をしていて分かったのだが、500円弁当の方は到着時間が少し遅かったようだ。
おそらく12時を少し回ってからこの場所に来たのだろう。
自分でも「やはり遅く来るとダメですね」と言っていた。

 弁当販売は時間勝負で、12時15分までで勝負が決まる。
その時間を過ぎるともうほとんど売れない。
私のように昼食時間に遅れた人間が1人2人買いに来る程度だろう。
時間勝負だから、当然早く着いた方がいい場所を確保できる。
 よく見ると両者は服装も車も違う。
片方はレストラン服で、もう一方はジーンズの軽装。
販売車もそれ用に改装した車と、普通の商用車の違い。
どう見ても左の写真の方がプロで、右の写真は素人という感じで、年季の入り方も違う。

 聞けば左の写真の方はこの仕事を12年やっているという。
しかも何人か社員がいて、それぞれの場所に出向き、弁当を販売しているようだ。
移動販売だけかと思ったら、市内にイタリアンレストランを1店舗構えているという。
どうやらそれは客への権威付けというか安心感かららしい。
店舗もある方が客が安心するらしい。
この辺が消費者心理の面白いとこだ。
12年、この仕事をしている中で、そのことに気付き、比較的最近、店舗を構えたと言っていた。

 移動販売でもただ漠然とやっている人と、色々勉強しながら一生懸命にやっている人では歴然と差が出るものだ。


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草原 繁,中尾 隆一郎
東洋経済新報社

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