栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

「生ゴミのかきあげ」メニュー

2006-12-23 09:46:55 | 視点
 先月のブログ(11/14)で「一風変わったメニューを出す店」のことを書いたが、19日、忘年会後の2次会で再度行ってきた。
「中洲に安くておいしい店があるので、そちらに行きませんか」という人の誘いを断ってまで行く理由はズバリ「生ゴミのかきあげ」を食べるため。
とても一人で食べる勇気はないが、酔いも手伝って「皆で渡れば怖くない」の心境。
この機会を逃すと二度と足を運ぶことはなさそうだから、ここはなにがなんでも一度チャレンジとばかりに半ば強引に皆を誘導した。

 繰り出したのは総勢8名。
予約しなくても客なんかいないだろ、という私の読みはたがえて、店内はカウンターが一杯だった。
 しかし、中に入ったのは2人だけ。
事前PR(?)が効き過ぎたのか、ほかの連中は入り口のところで半分腰が引けていた。
ほかに行こう、という声もあったが、また歩くのは嫌だ、という声に押され、結局、全員中に。

 最初の注文はやはり「生ゴミのかき揚げ」。
ところが意外なことに、「材料がないからまだできない」という返事。
「えっ、材料がないってどういうこと」
 と顔を見合わせる。
「捨てる材料がまだ足りないということらしいですよ」
「やっぱり本当に生ゴミから作るんだ」
「生ゴミといっても三角コーナーに捨てたやつではなさそうですよ。料理をすると切れっ端が出るではないですか。それを集めて天ぷらにするんですが、その切れっ端がまだ集まってないということらしいです」
 う~ん、やはりシャレではなく、本当にゴミというかクズ材料で作るんだ、と妙なところで感心した。

 「ぼくね、ママに怒られましたよ。うちのお勧めはここなんですからと。顔を見てると真剣に怒ってましたよ」
「お勧めってメニューに載ってるやつじゃないの」
「カウンターに出てるやつですよ」
 なるほど、カウンターの上には大皿に入った家庭料理があった。
でもそれってどこにでもあるやつ。
やっぱりここの店の特徴は生ゴミを客に食べさせるとか、ちょっと変なものに決まっている、と思う。

 第一、メニューの書き方からして変。
「おすすめメニュー」「そうでもないメニュー」とあり、「そうでもないメニュー」をよく見ると、「生ゴミのかき揚げ」「本当のししゃも(めす)1本450円」「本当のししゃも(おす)1本180円」「解凍おにぎり100~150円」とある。
 子持ちししゃもというのは聞くが「ししゃも(めす)」って何?
妊娠してないメスとオスのししゃもはどう見分けるの?
「本当のししゃも」ということは偽物のししゃもがあるの?
解凍おにぎりに100円~150円の幅があるのは何故?
とにかく謎は尽きない。
 しかし、全部確かめるわけにいかないので、とにかく「生ゴミのかき揚げ」だけは食べなきゃあ。

 やがて出てきた「生ゴミのかき揚げ」。
胃腸が弱い人は遠慮した方がいいよ、と言いながら1つ2つ口にする。
もちろん誰かが口にした後でだ。

 感想は、本当に野菜のクズなので食べられないわけではないが、さしておいしいわけではない。
クズを使って、えっ、これがクズ野菜? おいしいじゃない、と客に言わせるのがプロだ。
まあ、こんなものか、では少なくともプロではない。
というより金を取って食べさせてはいけない。
サービスで出すべきものだ。
その辺りが理解できない素人が最近増えている。

 第一この店、入ったときに「いらっしゃいませ」と客を迎えない。
顔を見せて客を迎えるのがサービス業の基本である。
どうもこの店のママは人見知りするタイプのようだが、小さな小料理屋なのにテーブルチャージを取るのもいまひとつ納得いかない。
それも300円~1000円という幅がある。
「うちは明朗会計ですから」とほかの客に言っていたがどこが「明朗」なのか。
不明朗な点はほかにもあって、焼酎はボトルで出されるが、計算はどの程度減っているか目分量で確かめていた。

 実はここと似たようなことは他店でもよくやっている。
それが流行らない理由だとは気付かずに。
そしてこうしたことはなにも飲食店に限ることではないが、やはり気付かない経営者が多いようだ。

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