栗野的視点(Kurino's viewpoint)

中小企業の活性化をテーマに講演・取材・執筆を続けている栗野 良の経営・流通・社会・ベンチャー評論。

失敗の方程式から学ぶ(2)

2006-03-16 00:41:08 | 視点
 まだバブルが弾ける前だったが、マンション建設のA社社長に取材した時のことである。
最初に出てきたのはミニスカートをはいた若くてかわいい女の子だった。
社長秘書だという。
その時私は嫌な予感がした。
次の瞬間、社長室が別のフロアにあると嫌だな、と思った。
すると、「ご案内します」と別の階に案内された。
まずいぞ! これでロレックスの金ピカ腕時計をしていると最悪だ。
そう思った。
すると、なんということだ。
しばらく待たされた後に現れた社長の腕にはロレックスの金ピカ腕時計が光っていた。
なぜか成金はゴールドを好む。同じロレックスでもプラチナにすれば品が感じられるのだが。
結局その会社は1年半後に倒産した。

 昨年12月、遠賀の技術系ベンチャーが破綻した。
モーター分野ではちょっと知られた男だった。
ただ、会社設立から20年以上経過しているからベンチャーというには多少はばかれるが。
本社は遠賀町だったが、社長は中間市の研究所にいつもいた。
自社開発のモーターを利用した電気自動車や電動自転車を開発し、海外からの引き合いも来ていたが、どうも販売にあまり力を入れていないというか、買うなら売ってあげてもいいよ、というような態度で客に接していた。
モーター言語を本人が開発し、モーターが売れる度にソフト使用料が入ってきていたので、販売に力を入れてなかった。その癖が抜けなかった。
ところが時代がどんどん変わり、競合商品、類似商品が出てきだす。
特に近年、デジタル時代になって技術革新が速いというか、類似商品を作るのも容易になっている。
それだけに営業力がない会社は生き残れない。
そのことに気付くべきだったが、相変わらず研究開発にのみ没頭し、会社全体を見ていなかった。

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1.「失敗の方程式から学ぶ」
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  講師:ジャーナリスト・栗野 良

日 時: 3月18日(土) 13:30 ~ 17:00
●場 所:九大USIサテライト・ルネット2F
       福岡県福岡市南区大橋1-3-27(西鉄大橋駅前)