打ち合わせの途中に東京駅を通過。
最近は何かと話題となる機会が多くてテレビでもよく見る。
10月1日に復元・改修工事が終わって新装開店した東京駅。
オープン前にも一度、通りかかったついでに写真を撮ったことがあるが
その後も大変な騒ぎになっているらしい。
とにかくカメラを構える人が多い。
最初は誰かタレントでも来ているのかと思ったが
皆さん、真新しい駅舎に向かって思い思いに写真を撮っている。
今やすっかり東京の「新名所」になった感がある。
やはり旅行者が多いが、近所のOLやサラリーマンらしき姿も目立つ。
私のような乗り換え客も含めて
東京駅は一日に100万人以上の人が利用するが
オープン後は4割以上も利用客が増えたと言うからスゴイ!
消費拡大も期待できるのではないか。
左右にドームを備えた独特の赤レンガ駅舎が100年の歳月を経てよみがえった。
設計は日本の洋風建築の開祖とも言える建築家・辰野金吾。
日銀本店をはじめ数々の名建築を残しているが
いま、その作品が再び注目を浴び、ちょっとした「辰野金吾」ブームだと言う。
ご覧の通り、いかにも「明治の元勲」といった気骨あふれる風貌である。
実際、肥前国・唐津藩の武士の家柄だったらしい。
工部大学校(現在の東京大学工学部)を卒業後、ロンドンに留学。
帰国後、英国で学んだ建築技術をいかんなく発揮し
日本の文明開化に大いに寄与する。
辰野博士の作品は全国各地に点在するが、私の出身地である関西にも多い。
中でも「奈良ホテル」は代表作の一つだ。
和洋折衷のクラシカルなフォルムは古都・奈良を象徴する高級ホテル。
泊ったことはないが名物の朝食「茶がゆ」は絶品である。
大阪・中之島のシンボル「中央公会堂」もそうだ。
ちょっと東京駅に似ている。
昔、亡くなったシナリオ作家仲間の追悼映画界をここで開いたことがあるが
とにかく重厚で心地よい空間だった覚えがある。
南海電車の「浜寺公園駅」も有名だ。
いかにも洋風建築を思わせる駅舎は東京駅よりも歴史が古く
私は辰野金吾の最高傑作だと思っている。
堺市の浜寺公園は古来、美しい白砂青松が続くリゾート地で
その海岸の風景とモダンな駅舎がみごとにマッチしている。
打ち合せが終わった夕方
再び東京駅の前を通るとすっかり夜の雰囲気だった。
秋の日はつるべ落とし・・・本当に日暮れが早くなったなあと空を見上げる。
夜はライトアップしているという話も聞いたのだが・・・
高層ビルと赤レンガの駅舎が一つに溶け合ってなかなかの夜景である。
駅の建物はやはり旅情をかきたてる独特な雰囲気があって
このまま夜行に揺られてどこかへ行きたいなあ・・・と
しみじみ思うオジサンであった。