久しぶりに「工藤軒」に顔を出したら、工藤さんが髪を伸ばしていた。
おまけに変わった柄の作務衣を着ていて、それが妙に似合っていた。
長髪と作務衣の組み合わせが、更に怪しげに、言うなれば宗教者のような雰囲気を醸し出している。
今夜の音楽もギターサウンドだった。
ツインのバスドラがどかどかと響き、ハイハットは16ビート。ひずんだギターが重くうねり、ベースラインがやけに複雑だ。
この音の主が誰か分からない。
いや、「工藤軒」に流れる音楽でボクの知っているミュージシャンは数少ない。さすが、音楽畑を歩いてきただけあって、聴く音楽も玄人だ。
けれど、毎回流れている音楽はたいていギターサウンドである。
でも、多分、工藤さんのお目当てはギターではなく、ベースにあるのだろうと思う。
例えば、一度「ストーン・ローゼス」の「Fool's Gold」が流れていたことがある。
マニの巧妙なベースラインはやはり特徴的だ。
それから、「ピンクフロイド」が流れていたこともあった。
個人的に「ピンクフロイド」は好きではないけれど、ズシンとくるベースは聴いてなくても、耳から離れない。
いまどき、音楽を肴に飲める酒場はそれほど多くない。
音楽はそれほど軽くなってしまったのか。
「工藤軒」がオープンする前、その場所にはブルースバーがあった。あの店も音楽が好きな連中が集まってきた。
立ち飲み音楽バーの系譜。
工藤さんとのおしゃべりも楽しいけれど、ちょっとヘヴィな音楽とともに、「コーヒー酎」(400円)のグラスを傾けるのもたまにはいい。
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