上野駅が現在のようにこぎれいになったのはいつのことだったか。
おしゃれな店舗がいっぱい出来て、いわゆる駅ナカのショッピング街が出来上がったのはいつのことだったか。幼少の頃、母が帰省に向かう度に利用した上野駅はもうない。
京成上野駅を降り、国鉄(当時)の上野駅に向かう際に上野のお山の入口を通ると似顔絵を描いて生計を立てる画家くずれの人びとと手足を失った人が奏でるハーモニカが流れていた。
アメ横の始発点となる上野駅はいつも多くの人でごった返していたが、いつもゴミゴミしてどこか垢抜けないで、酔っぱらいや失業者(当時はホームレスという言葉はなかった)が駅の周囲に溢れかえり、子供心に恐ろしいところであると考えていた。
辛うじて忍ばず口は当時の面影を今でも色濃く残しているが、公園口から坂を下っていく側の駅舎はもう今は昔だ。
一番暗くてジメジメとしていた山下口が、今や最も明るく賑やかに変貌した。
その一角にあるのが「立喰酒場 buri」だ。
銀色のプレートに店名が刻まれた看板が洒落た雰囲気を醸し出している。店頭には赤提灯も出ているが、どことなくおっさんを寄せつけない店構えだ。
恵比寿に店舗を構え、一流蔵元のカップ酒を置くスタイリッシュな立ち飲みの先駆けになったというのが店の触れ込みのようだ。
だが、お店に入ってがっかりした。しっかりと椅子があるのだ。
否、恐らくは元々、椅子などはなかったのだろうが、客のニーズなどによって椅子を入れたのだろうと想像できる。
ちなみに同店のホームページを参照すると、椅子がまだ入っていない頃の店内を偲ぶことができる。
ともあれ、「立喰酒場」は全くの看板倒れということになる。
こういう店、今は案外多い。
小規模店ながら立ち飲み形式を採用することによって、コストを削減しつつ、少しでも多くの客を招き、かつ回転をよくするという思惑だったものが、マーケティングリサーチ通りにはやはりいかないようだ。
はじめは立ち飲みだったが、やがて椅子を置くようになった店を熊猫は「転び立ち飲み」と呼んでいる。
「立喰酒場 buri」の店内はガランとしていた。
まだ7時前ということもあったが、客は年配のサラリーマンが一人だけだ。
わたしは、U字型のカウンターに座って生ビール(スーパードライ=550円)を頼んだ。
つまみは「塩モツ煮込み」(650円)。
ネギがたくさん入った大きい丼のそれは極めて薄味。アメ横の濃厚な「モツ煮」とは一線を画している。
生ビールの値段といい、この「塩モツ煮込み」の金額といい、料金はやや高めだ。
料理は創作系。
例えば、「うにクレソン」「豆乳グラタン」「特製つくねのメンチ」など、独特のネーミングがされた料理がメニューを連なる。いずれも650円~850円といい値段だ。
それもそのはず、食材には一家言あるようだ。
大山鶏や上州豚といった地物の食材を使用。メニューの触れ込みでは豆腐も「幻」のものを使っていると記されている。
その豆腐をいただいてみた。
「汲み上げ豆腐」(580円)。
味付けは塩とわさびのみ。
これが実にうまかった。
幻の豆腐を使っているかどうかは、わたしのへなちょこな舌では分かりようもないが、とにかく只者でないことは伝わってくる。
この豆腐に合う飲み物といえば、日本酒をおいて他にない。
わたしの背後に迫る壁には木枠の棚がこしらえられ、そこに整然とそして見事にワンカップの酒が陳列している。
その光景は圧巻だ。
カップ酒も「南部美人」「上喜元」「天狗舞」などの銘柄が揃っている。
そこで、わたしは尾瀬あきら氏のイラストが映える「るみ子の酒」(森喜酒造場)、「るみかっぷ」をチョイス。
やはり、豆腐には日本酒が一番だ!
「るみかっぷ」の飲み口もさらりとして尾をひかず、実に飲みやすい。
結局、2本も飲んでしまった。
そうこうしていると20代前半と思しき女性の2人組が入店してきた。
サラリーマン客はわたしを含め3人。
つまり、5人に2人が20代の女性になったことになる。
こぎれいな空間は上野のサラリーマンにとってちょっと肩身の狭い思いがするのは気のせいだろうか。
おしゃれな店舗がいっぱい出来て、いわゆる駅ナカのショッピング街が出来上がったのはいつのことだったか。幼少の頃、母が帰省に向かう度に利用した上野駅はもうない。
京成上野駅を降り、国鉄(当時)の上野駅に向かう際に上野のお山の入口を通ると似顔絵を描いて生計を立てる画家くずれの人びとと手足を失った人が奏でるハーモニカが流れていた。
アメ横の始発点となる上野駅はいつも多くの人でごった返していたが、いつもゴミゴミしてどこか垢抜けないで、酔っぱらいや失業者(当時はホームレスという言葉はなかった)が駅の周囲に溢れかえり、子供心に恐ろしいところであると考えていた。
辛うじて忍ばず口は当時の面影を今でも色濃く残しているが、公園口から坂を下っていく側の駅舎はもう今は昔だ。
一番暗くてジメジメとしていた山下口が、今や最も明るく賑やかに変貌した。
その一角にあるのが「立喰酒場 buri」だ。
銀色のプレートに店名が刻まれた看板が洒落た雰囲気を醸し出している。店頭には赤提灯も出ているが、どことなくおっさんを寄せつけない店構えだ。
恵比寿に店舗を構え、一流蔵元のカップ酒を置くスタイリッシュな立ち飲みの先駆けになったというのが店の触れ込みのようだ。
だが、お店に入ってがっかりした。しっかりと椅子があるのだ。
否、恐らくは元々、椅子などはなかったのだろうが、客のニーズなどによって椅子を入れたのだろうと想像できる。
ちなみに同店のホームページを参照すると、椅子がまだ入っていない頃の店内を偲ぶことができる。
ともあれ、「立喰酒場」は全くの看板倒れということになる。
こういう店、今は案外多い。
小規模店ながら立ち飲み形式を採用することによって、コストを削減しつつ、少しでも多くの客を招き、かつ回転をよくするという思惑だったものが、マーケティングリサーチ通りにはやはりいかないようだ。
はじめは立ち飲みだったが、やがて椅子を置くようになった店を熊猫は「転び立ち飲み」と呼んでいる。
「立喰酒場 buri」の店内はガランとしていた。
まだ7時前ということもあったが、客は年配のサラリーマンが一人だけだ。
わたしは、U字型のカウンターに座って生ビール(スーパードライ=550円)を頼んだ。
つまみは「塩モツ煮込み」(650円)。
ネギがたくさん入った大きい丼のそれは極めて薄味。アメ横の濃厚な「モツ煮」とは一線を画している。
生ビールの値段といい、この「塩モツ煮込み」の金額といい、料金はやや高めだ。
料理は創作系。
例えば、「うにクレソン」「豆乳グラタン」「特製つくねのメンチ」など、独特のネーミングがされた料理がメニューを連なる。いずれも650円~850円といい値段だ。
それもそのはず、食材には一家言あるようだ。
大山鶏や上州豚といった地物の食材を使用。メニューの触れ込みでは豆腐も「幻」のものを使っていると記されている。
その豆腐をいただいてみた。
「汲み上げ豆腐」(580円)。
味付けは塩とわさびのみ。
これが実にうまかった。
幻の豆腐を使っているかどうかは、わたしのへなちょこな舌では分かりようもないが、とにかく只者でないことは伝わってくる。
この豆腐に合う飲み物といえば、日本酒をおいて他にない。
わたしの背後に迫る壁には木枠の棚がこしらえられ、そこに整然とそして見事にワンカップの酒が陳列している。
その光景は圧巻だ。
カップ酒も「南部美人」「上喜元」「天狗舞」などの銘柄が揃っている。
そこで、わたしは尾瀬あきら氏のイラストが映える「るみ子の酒」(森喜酒造場)、「るみかっぷ」をチョイス。
やはり、豆腐には日本酒が一番だ!
「るみかっぷ」の飲み口もさらりとして尾をひかず、実に飲みやすい。
結局、2本も飲んでしまった。
そうこうしていると20代前半と思しき女性の2人組が入店してきた。
サラリーマン客はわたしを含め3人。
つまり、5人に2人が20代の女性になったことになる。
こぎれいな空間は上野のサラリーマンにとってちょっと肩身の狭い思いがするのは気のせいだろうか。
たきおか、肉の大山、立呑屋よってけバー、など、平均点の高い立ち飲みの多い上野は主な生息地の一つでした。
さて、若旦那さんは随分「たきおか」がお気に入りのようですね。ご自身のブログにも「たきおか」のようなお店で飲みたいと記されていますね。
わたしも「たきおか」好きです。一回しか行ったことありませんが…。
なんていったって、7時から開いているのがスゴイ!
5月の頭に「TASUICHI」の前を通ったらラーメン屋に変わっていました。
上野の立ち飲みは競争が激しいです。
たきおかは、まだ立ち飲みに本格的に傾倒する前、一人飲みを覚えたころから通っている店の一つであり、思い入れがありますね。木曜日の夜はたきおかに寄り、瓶ビール+肉じゃが+そら豆という1000円でお釣りが来る組み合わせが好きで、よく通っていました。
TASUICHIには以前友人が働いていたのでちょっと残念です。椅子が入った時点で通わなくなってしまいましたが・・。上野は激戦区でしょうからね、切磋琢磨していけばいいなと思っている次第です。
しかし、「TASUICHI」に椅子が入っていたとは知りませんでした。
転んでしまったんですね~。
立ち飲みを標榜してるのに椅子があるとかなりがっかりします。しかし、それがマジョリティなんですね。