
うろ覚えなのだが、小田急線の柿生駅は、怪鳥のお兄さんが居酒屋を経営していた最寄り駅ではなかったか。もう四半世紀も前のことなので、すっかり忘れてしまったが。だとすると、26年ぶりに柿生駅に降りたことになる。
柿生で仕事が終わった。駅の周囲をしばらく歩いてみる。どちらかといえば、辺鄙な駅である。
以前、いっぺいさんとのやりとりでも書いたように、仕事が終わった地で、極力酒を飲むようにしている。場所によっては、酒場を見つけられないこともままあるが、町を探検することは、とにかく好きだ。
駅の周囲に酒場は数軒。町田のシンボル「いくどん」もあった。このうち、辛うじて気になった酒場は1軒。その店が「鳥宏」だった。柿生駅に隣接した建物の一階。やや斜めに構える間口の造りが不自然で気になった。縄暖簾の格子戸。店構え的には申し分ない。看板には、「安くておいしい店」とある。やや重厚感があるから、決して安い店ではないと思うのだが、果たしてどうか。
17時過ぎ、ボクは店に入った。
店内は手前にカウンター。店の奥は小上がりになっている。カウンターは、ほぼL字。既にカウンターには一人客が数人、思い思いに酒を飲んでいた。一人客の皆さんはどうやら常連のようだった。開店と同時に常連さんが集まる店は、恐らくハズレではないだろう。そう確信した。
常連さんに遠慮して、入口に最も近い席についた。右斜めに焼き台がある。この焼き台で、仕事をしている店員さんは気さくな人で、にこにこと笑顔を称えながら、常連さんとの会話に応えている。一方、大将らしき人物はあまり無駄口を叩かずに、黙々と仕事をしている。お店は、この二人で切り盛りしているようだった。
ボクは、まず「瓶ビール」に、「モツ野菜煮込み」(450円)をいただく。
白味噌仕立て、モツはシロのみ。ボリューミーな煮込みで、恐らく複数人で食べることを想定している量である。実にベーシックな味わいであるとともに、古典的な煮込みだ。ただし、安価であるかは疑問。ボリュームに比して安価かもしれないが、一人客が食べるボリュームにしては過多であるように思う。
焼きものはみどころがあった。
「カシラ」と「ねぎま」を各2本頼んだが、身が大きく、姿も凛々しい。もも肉は弾力があり、しっかりした出自の鳥であることを窺わせた。
飲み物は、「緑茶ハイ」。焼酎は濃いめで、緑茶の割材も濃厚だった。
そうこうするうち、客らがポツポツと訪れ、カウンターはいつしか満席になっていた。それぞれの人が、挨拶を交わす。なるほど、この店は一種地域の社交場のような機能を果たしているのかもしれない。けれど、各常連さんが、それぞれべったりになることはない。適度な距離感を保って付き合いをしているようだ。
それが醸成する店の空気感がよかった。うるさ過ぎず、静か過ぎず。落ち着いた雰囲気の店だ。肴は一品一品丁寧に仕込まれ、作られている様子。まさに居酒屋としての真骨頂といえる。
串焼きは抜群においしく、ボクはすっかり満足だった。
「食べログ」の点数は3.05(9月26日現在)。もう少し、評価は高くていいと思う。
15年~17年前の事です。
この店は存在は知ってたけど、柿生で飲む機会が無く行ったことは無いですね。駅前だし、繁盛してるんだろうな~。
でも、あれって15年前?そんな最近?なんか、何人かでお邪魔したような気がするんだけど。
地元に支えられている店って憧れるなぁ。最近は、チェーン系にばかり行ってしまって、反省です。
結構、大勢でお邪魔したような気がするんだけど。
あまり、記憶がないなぁ。