アキバの北端。末広町に程近い、雑居ビル。
一階と二階はアニメショップがテナントする、いかにもアキバのビルに、どういうわけか本格的なカフェが入っている。
以前、アキバのカレー屋探している時に、偶然この店を見つけたのだが、はじめはにわかに信じられなかった。
ビルの入口に、「カップオブエクセレンスが飲める」といった主旨の張り紙があるのだが、アキバ系のおっぱいが強調されたポスターとともにある張り紙に、どうしても胡散臭いさを感じてしまうのだ。
だが、ある日、階段を昇って、その店に行ってみることにした。
怪しげな階段を昇って。
ドアを開けると、そこはもうアキバではなかった。
喫茶店とは違う。独特の雰囲気。
3rdウェイブコーヒーのようなドライな空間。ボクは少し安心した。
店の手前はカウンター。その奥にはテーブルがある。
ボクがテーブルに腰かけると、若い男性がメニューを持って訪れた。
「カップオブエクセレンスとは?」。
ボクが質問すると、彼は「国際品評会で賞を獲得した豆です」。
メニューを繰ると、農園名とその農園で働いているであろう人びとの写真が貼られている。なるほど、ブラジルやコロンビアといった国名の産地ではなく、農園単位で競われる品評会であるらしい。
「わたしは東亜珈琲で修行を積んできました」。
その若者は、そう言葉をつないだ。
更に、「東亜珈琲と同じように、化繊のフィルターで抽出しています」と続けた。どうやら、その化繊維はペーパーフィルターよりも優れているらしい。
その時に飲んだコーヒーは、「フィンカ・ラ・シィレナ」。
メキシコのコーヒーでカップオブエクセレントスで4位を獲得したらしい。
だが、正直なところ、それよりも、二回目に飲んだ「VAULT ブレンド」に感動を覚えた。多分、最初に飲んだカップオブエクセレンスは期待が大きかったのだろう。値段も600円と高かったし。
だが、ブレンドコーヒーは、気負わずに飲めた。その芳香といったら、もう。
おいしい。
それ以上に形容する言葉は必要ない。
鼻で感じる香りと、舌で味わう香りの二重奏。
果たして、ここはアキバなのか。
仮にアキバだとしたら、何故ここに、本格コーヒー店を出したのか。
大いなる謎である。
しかしながら、アキバで最高のコーヒーが味わえるのは、間違いないだろう。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます