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居酒屋さすらひ 2107 - ザギンの迷宮 - 「居酒屋 あるぷ」(中央区銀座)

2024-05-24 21:18:53 | 居酒屋さすらい ◆東京都内

Oさんとの一献は軽く終わる訳がなかった。

「いい店見つけたんだよー」とOさん。

「銀座なんだけどさ、いい子がいるんだよー」。

まさか、キャバクラ? 銀座のキャパクラなら、警戒しないと。

「へぇ、どんな店なんですか?」。

「バーなんだけど、いい雰囲気で。そこで働いてる子が可愛くて」。

還暦を過ぎても、Oさんはまだ元気いっぱいだった。

「行こうぜ!」。

結局、行くことになった。

銀座の、迷路みたいな道を行く。昔、「ブラタモリ」でやってた、あの迷宮の裏通り。多分、自分は二度と辿り着けないかも。そんな路地を行ったところにあった。

「あるぷ」。

アルプス? 平仮名? 不思議なネーミングである。お店の看板には「居酒屋」とあるが、どう見ても居酒屋ではない。

扉を開けると、店は激混みだった。小さな店、暗がりの中で多くの客が飲んでいる。

「2階空いてる?」

Oさんが尋ねると、お店の人は軽くうなづいた。

普段、バーなんてこないし、ましてやザギンとも縁が薄い。だから、ちょっと身構えてしまう。

ソファみたいな椅子に座った。

果たして、Oさんの推しとはどんな女性なのか。果たしてハイジか、それともクララか。やがて、女性がオーダーをとりにきた。暗がりで、顔がよく見えない。

Oさんは慣れた口調で洋酒の銘柄を言った。

「ロックでね」。

自分はよく分からないから、「同じものを」と告げた。

「どうよ、今の子」。

どうやら、やはりその子が推しのようだった。

「いや、よく分からないス」。

本当によく分からないのだ。

店内に静かなジャズが流れている。シャンデリアと木材が調和した空間。なかなかお目にかかれるものではない。階段には何やら光る絵画。不思議な装飾。非現実的世界のサードプレイス。

推しの子がロックグラスとスナックを持ってきた。少し微笑を浮かべて、去っていった。

「可愛い子ですね」。

Oさんにいうと、嬉しそうに「でしょう!」と鼻息を荒くした。

結局、もう一杯飲んで家路についた。

こういうお店が身近にあったらいいなと思う。仕事帰りの非日常。家へ帰る前のクールダウン。銀座の路地には異界があるぶ。

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