「もう一軒行こう」となって、我々は電車に乗った。Sちゃんが東十条に行こうと言い出したのだ。Sちゃんは上野のホテルで暮らしていて、上野から大宮の定期を持っていた。
東十条ならあの店しかない。
「香港亭」。
ただ、問題は営っているかだ。この店は、さぁ行こうとなって行ってみると営ってないことがしばしばだった。
しかし、その心配は杞憂で、お店には灯りが点いていた。
席に着いて、まず「ホッピー」白をオーダー。この日、2ラウンド目。
そのオーダーにSちゃんは驚く。
「ホッピーあるの?」
やっぱり「ホッピー」がある中華って少数派なのかもしれない。言い換えると、自分は「ホッピー」があるから、この店に来るのだ。
メニューをまじまじと眺めるSちゃんが出した答えは、ドリンクとつまみがついたセットで、彼も「ホッピー」をオーダーした。つまみは「餃子」。
へぇ、そんなセットがあったのかと、自分もそれに変えてもらい、つまみを「ピータン」でオーダーした。
「香港亭」はとびきり凄い店ではなかったが、悪い店でもなかった。「ホッピー」があるし、紹興酒だって安価だし。Sちゃんは「ここいいね」と言った。確か小樽の兄貴、みーさんも店舗は違えど、「香港亭」を気に入って、「ここいいね」と言った。混んでないし、料理もそこそこうまい。会計は安価だし、駅からはとびきり近い。この小路には居酒屋が密集しているが、わざわざそうしたお店に行こうとは思わない。「香港亭」で充分楽しめるからだ。ただし、玉に瑕は、営っていないことがしばしばある点だ。
お店は厨房の男性とオーダー担当の女性が二人で営んでいる。このお二人は恐らく外国の方で、ご夫婦かなとも思ったりする。時々、中国語で激しい口調で話しをしたりとか、その振る舞いには決して他人とは思えない雰囲気があった。男性は日本語をほとんど話せなかったが、女性は堪能だった。なにしろ、「ホッピー」の焼酎のおかわりが「中」で通じるのだから。はじめてこのお店に来た時は、「中」という言葉、ご存知かなと思い、「焼酎のおかわりください」と言った覚えがある。すると、「あぁ、『中』ね」と普通に返ってきた。自分はそういう雰囲気も加味して、この店が好きなのである。だから、人を連れて行き、「ここいいね」と言われたら、自分も嬉しい。とびっきりの中華ではないし、いわゆる町中華ではないが。
お互い、「中」を2杯ずつおかわりして終了。帰宅の途についた。
飲み仲間がまた一人増えた夜だった。
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