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オレたちの「深夜特急」~番外編 サメット島へ~後編

2011-10-27 13:21:15 | オレたちの「深夜特急」
島に着き、小さな桟橋から眼下の海を眺めると青く透き通ったガラス瓶のような水面がそこに広がっていた。その美しい光景にわたしは思わず目を見張った。
日はゆっくりと傾きかけ、強い日差しの太陽は海の背後にある山の向こうに消えていった。
わたしは、宿泊できるバンガローを目指して白い砂浜を目指した。

バンガローはいとも簡単に見つかった。
1軒家の緑色のペンキで塗られたそれは、とても簡素なものだった。1泊80バーツのそれはベッドのシーツがきれいで、ただそれだけでもこのコストの価値はあると思った。

わたしは、このビーチに2泊ほどした。
日中はひがな1日、ビーチチェアに寝そべり、ひたすら海を眺めた。青い空と海の区別がつかないほどの光景にバナナボートが走り、観光客の歓声が聞こえる。
ビールを飲めば最高なのだが、わたしには無駄遣いできるお金は持ち合わせていなかった。
夜もさざなみの音を聞きながら、ビーチに出て海の水面を覗き込んだ。
なにしろ、サメット島の海には夜光虫がいると聞いており、わたしはただただその幻想的な光景だけを探した。
月明かりとバンガローの電燈だけが、暗がりの中で海中が光れば、まさしく夜光虫なのだろうが、結局1度もその光景を見ることはできなかった。

月は満月に近くなっており、恐らくこの島のどこかでガンジャのパーティが繰り広げられていると思われる。気のせいか山の向こうからは太鼓のような音が聞こえ、微かに人の声も風に乗って聞こえてくるような気がする。

日本を出て6ヶ月、海を見たのはアモイ、香港、マカオ、そしてヴェトナムのニャチャン、そして今。実に3ヶ月ぶりである。
海はいいものだなと思う。
夜の海は怖いが、こうして真夜中に海を眺めているのも、人生の中でそうは多くはないだろう。
旅に海は必要だなと思う。
今後、わたしは、どこをどう歩いていくべきか。

チェンマイからわたしはビルマには渡らず、ラオス行きを決断した。それならば、次もビルマに渡らずマレー半島を行くべきではないか。
そう考えるようになった。
時間なんてかかってもいいから、マレー半島の先までわたしは行かなければいけないと思った。

3日間のバカンスを終えて、バンコクに戻ることにした。
再び桟橋から船に乗るとき、水面を覗き込んだ。
本当はいるはずもない夜光虫が水底に蠢いている光景をわたしは見た気がした。

※当コーナーは、親愛なる友人、ふらいんぐふりーまん師と同時進行形式で書き綴っています。並行して語られる物語として鬼飛(おにとび)ブログと合わせて読むと2度おいしいです。

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2 コメント

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今回の記事には (ふらいんぐふりーまん)
2011-11-01 13:40:55

少し詩的な感じがあるねえ。

更には色濃く、深夜特急の文体を踏襲しようという試みがあったように思うが、どうなのよ、師よ。

しかし師は、のんびりすることに長けてるなあ。俺だと、なんか寂しくなって、無駄に動き回るような気がするなあ。(苦笑)

返信する
ふふふ。 (熊猫刑事)
2011-11-02 12:35:48
深夜特急の文体は意識してないなぁ。
強いていえば、星野道夫さんだよ。

のんびり大好き。
根がぐうたらだからね。

さて、番外編は終了だよ。
来年4月から「第二便 マレー半島編」が始まるゼ。
返信する

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