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居酒屋さすらい 0891 - ビールを注ぐ手つきはミュージカル - 「ヱビスビール記念館」(渋谷区恵比寿)

2015-07-18 00:13:28 | 居酒屋さすらい ◆東京都内

土曜の仕事を終え、恵比寿に向かった。東京都写真美術館で植田正治の写真展を見る。

無機質な美術館。

そこにある心温まる写真たち。写真が持つ力。その磁場にずっとひきつけられてしまうのは、ボクが昨夜からずっと眠れなかったことと無関係ではない。

冬の木枯らしが吹く窓を眺めてボクはその夜をやりすごした。

 

どこかで起きた本当の一瞬の出来事をパッケージした写真。それは、誰かの思いもその中に閉じ込めてしまうのだろうか。聞こえてくるのは、そのひとつひとつの小さな声。ボクはそうした声に耳を澄ませた。

 

美術館を出て、ボクはヱビスビールを飲んだ。

ヱビスビール記念館で。

ベンダーにコインを投入してメダルを買い、それをカウンターに出す。好きなビールを告げ、ボクはビールが注がれるのを待つ。

その深淵な時間。女性の優しい手つきが妙に艶めかしい。

女性の鮨職人がいないのは、ただ単に体温が高いというだけの理由ではないだろう。もし、それがまかり通っているならば、女性の体温はビールのタンブラーも温めてしまうということになりはしないだろうか。

だから、そんなのは嘘なんだ。きっとね。

 

椅子に座ると、背後のラックには「星のおうじさま」の原書。

ボクはいつもこの本を途中で読むのをやめる。だからおかげでいつまでたっても読み終わらない。

あぁ、ビールがうまい。

脳と舌にひりついた、なんか分からない違和感をビールが流していく。

 

「星のおうじさま」を開いた。日本版ではいきなり象と帽子の絵が出てくるが、原書は違う。

何故だろうか。

 

砂丘に咲く家族の肖像。

そして、「星のおうじさま」。一見何も関係ないと思える2つのエピソードをビールは一瞬のうちに繋げていく。

ビールを飲みほして、ボクはまたベンダーの前で硬貨を入れてコインを買う。

400円。

だけど、それはビールだけの対価だけではなく、ビールを注ぐ女性の手つきを眺めるシアター。

金色に輝くタワー。 しなやかな手の動きはまるでミュージカル。

僅か30秒の短いストーリー。

だから、ボクは駅からたとえ遠くても、ここに足を運んでしまう。

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