前日、小淵沢駅に着いて「食彩工房 雅」で本格蕎麦をいただいた。そして小淵沢を去ろうとしている今、自分は小淵沢駅の2階にある駅そば、「丸政」に向かっている。家族が一階のお土産屋にいる時間を利用して、一人階段を昇った。
24年ぶりの小淵沢。次に、ここを訪れるのはいつになるか。いや、もしかするともう二度と訪問することはないかもしれない。人生は一期一会。悔いが残らないよう、しっかりと駅そばをいただきたい。
「丸政」は改札の外にある。駅ナカにあれば、もう少し利用客も増えるような気がするのだが。
小淵沢駅は中央線と小海線のターミナル駅だ。小淵沢で降りずに、小海線に乗り換える人も少なくない。けれど、小海線は常に中央線と連絡しているから、乗り換え客が駅そばを食べるケースはあまりないのかもしれない。
ともあれ、「丸政」に着いた。店舗は駅と同じようにきれいで清潔だ。店舗の手前に券売機。おっと、Suicaは使えない。財布をみると、珍しく万札しかなく、小銭なし。そして、また一階に引き返し、かみさんから400円を貰って、券売機に臨んだ。
「へぇ、『山賊そば』か」。
面白そうだけど自分はまだお腹いっぱい。朝ごはんにカレーまで食べてしまったから。ここはいつもどおり、基本メニューから、攻めよう。
そして、「かけそば」のボタンを探すのだが、そのボタンが見つからない。おかしいな。「かけそば」がないのか、とよくよく見ると、「かけ黄そば」というのが見つかった。はて、なんだろう。黄色いそばとは?
その時点でピンとくれば良かった。だが、全く頭が働かなかった自分は、そのメニューのボタンを押し、店のおやっさんに渡した。
350円。決して激安とはいえない。上野の「爽亭」の「かけそば」は、このご時世でも290円だぞ!
食券を手にしたおやっさんは、自分に「『かけ黄そば』でよろしいですね?」と尋ねる。まるで、みのもんたさんが不気味な笑みを浮かべて、「ファイナルアンサー?」と訊くように。
え? やっぱ「かけ黄そば」って、なんかいわく付きなのかしら。そんな思いにドキドキしてくる。
おやっさんから「ゆでるのにちょっと時間がかかります」と念を押された。やっぱスペシャルなものらしい。ますますドキドキしてくる。
待つこと3分。ようやく出てきた「かけ黄そば」は、なんてことはない。それは中華麺に似たそばだった。
かんすいを入れているからなのか、確かに麺は黄色い。多分、蕎麦粉は入っていないだろう。蕎麦ではなく、中華そばの方だったのだ。
そして、つゆはもちろん和風出汁。つゆと麺のバランスは均等とは言えないが、まぁこういうものなのだろう。ただ、麺のゆがきは絶妙だった。これはおやっさんの職人芸である。これが甲信地方でポピュラーなのかは分からないが、それでも珍しいものをいただいたことに変わりはない。
小淵沢、蕎麦ではじまり、そばで締めた。まだ元気だったら24年後に!
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