
貿易センタービルの駐車場の一角に突然建った「銀だこハイボール酒場」。他の「銀だこハイボール酒場」がそうであるように、ここも立ち飲みスタイルだ。立ち飲みラリー新橋編が終わって、いよいよ浜松町編だと意気込んでいたところ、その店舗のある「ホット横町東京」に行くと、ものの見事に立ち飲みコーナーはなくなっていた。冬季のため、やめてしまったのかもしれない。
だが、屋内のフードコートを思わせる店舗は健在で、ボクらはそこでしばし忘年会の二次会をすることとなった。
ねずみ色の三和土に,ビールケースを椅子にした粗末な空間,殺風景な,都会の真ん中にあるとは思えないほどの悲しい店内に、看板間際のボクらは陣取り,悲しいほどに残り物と思われる「焼きそば」を食べた。
白角のハイボールとともに。
テーブルが乱雑に,そして不規則に曲がり,既に夜も更けたことを思い出させてくれる。
そこに「焼きそば」が置いてあると,どこか祭りの後を想起させてくれる。
外を見上げると冬の大三角形が、こんな都会の空にも微かに浮かんでいる。それを見上げながら、ハイボールを一杯口に含むと、少し背筋が寒くなった。
ボクらは何故ここにいるんだ?
ボクはM町君に言った。
ここだったら、貿易センタービルの38階くらいに行って、2階のファミマで買ったビールとワインをあおっていたほうがどれだけ良かったか。
千切れたキャベツがほんの少し入った焼きそばをつまみながら、ボクはM町君に毒づいた。
あぁ、だいぶ酔っているのかも。
このフードコートはその後、一度跡形もなくなくなったが、いつぞや復活したりしていた。
そして、またもや今はない。
蜃気楼のように。
浮かんでは消える。蜃気楼のようにね。
もしかすると、ボクらも蜃気楼なのかもしれないよ。
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