蕎麦屋さすらい157 - 王子にはスタバもあれば、砂場もある - 「そば 砂場」（北区王子）

王子で野暮用を終えたのが17時半。案の定、こんな時間になった。帰宅して夕飯を作るには中途半端な時間帯なので、この日はかみさんに夕飯づくりを任せた。

この日は蕎麦飲みを計画していた。「dancyu」の「蕎麦飲み」特集に触発されて。ただ、敷居が高いのはちょっと勘弁。財布と気持ちが落ち着かないのは嫌だし。

そこで、実は以前から気になっていたお店に出かけてみようと考えた。

王子の北本通り沿いにある「砂場」。以前から何度も目の前を通りすぎては気になっていた。お店はこぢんまりとしているが、なにしろ「砂場」ののである。

外から店内は見えない。ちょっと怖いけど、入ってみるとするか。居酒屋とは違う緊張感がある。

ドアを開けてみると、店内もこぢんまりしていた。4人掛けテーブルが卓。左手は一段低くなっており、そこにテーブルが2卓。不思議な造りである。

「一人だけど、この4人掛けでもいいですか」。

一応きいて、座った。

早速、メニューを眺めると、ちょうどいいセットがあった。

「お酒セットメニュー」（1,200円）。

酒と蕎麦前と蕎麦のセットである。

酒は、日本酒、ビール、蕎麦焼酎雲海、ウーロンハイ、レモンサワーのうち一杯。

蕎麦前は、板わさか、みそでんがくのうちの一つ。

そして、〆の蕎麦はもりかかけのいずれか。もりかけ疑惑。

熊猫セレクトは日本酒、板わさ、そしてもり。

まず、常温で頼んだ日本酒と漬物が出てきた。

いいじゃないか、いいじゃないか。

居酒屋ではなく、蕎麦屋だからなのか、なんだか意味もなくテンション上がる。ちょっと大人になったみたいな気がする。

板わさが運ばれてきた。

普段、山口のかまぼこをつまみに飲んでいるが、この板わさ、なんだか特別にうまい。

18時近くになると、何人かのお客さんが入ってきた。全て一人客で、4人掛けテーブルは、全て埋まった。

「砂場」の近所に装束稲荷神社がある。大晦日の日、関東一円に住む狐らが榎の木に集まり、装束に着替えて王子稲荷神社に参詣する伝説がある。これが王子の狐である。もりもかけもいいけど、ここは「きつねそば」とかもよかったかなとも思う。

ともあれ、蕎麦はおいしい。灰色がかった白っぽい蕎麦で外殻はなし。腰も強くて喉越しよし。うまい！

お銚子一本、たった一合だが満足感は高い。1,200円の充実感。

虎ノ門のあの「砂場」よりはスケール感が違うけど自分はその方が好きだ。敷居の低さは本当の町蕎麦だ。

鳥取県の平井信治知事の名言を借りて、我が町王子を自慢したい。

王子にはスタバもあるし、砂場もある。