T根とはしょっちゅう飲みに行っていたが、最近はずっとご無沙汰。どうも、彼は外飲みが面倒になったらしい。彼には部下がいる。まだ24歳の若者である。今時、飲みに誘うのも気を使わないといけない時代。でもさ、毎週誘うわけじゃないし、たまには上司が奢って、社会文化を肌で感じさせてあげるのも必要じゃないかと思う。だって、自分が若い頃、先輩によく飲みに連れていってもらい、よく言われたもんだ。「自分らも先輩から奢ってもらったから。君が後輩を持ったら、奢ってあげてね」と。これが連綿と続く、先輩と後輩、或いは上司と部下のバトンなのだ。T根は、そういう経験をしたことがないのだろう。それはそれで経験不足なのだが、その部下もある意味不幸だ。ここは一丁、自分が誘ってみるか。
という訳で、3人で飲むことになった。自分は、アキバの「赤津加」にでも行こうと決めていたが、気を利かしたのか、T根は事前に店を予約したらしい。
「どこ予約したの」と尋ねると、「アキバの『晩杯屋』」と屈託なく言う。
「え?いや。そこはやめようよ。もっとビシッとした酒場に行こうぜ」と自分。
すると、T根は「あそこはO野(部下)も気にいってるから」。
どうやら、会議の後で何回か連れていったことがあるらしい。
せっかく気を利かしたようだし、しつこく反論するのも悪いから、「晩杯屋」で承諾した。
そして、飲み会当日。アキバの「晩杯屋」。今までカウンターにしか座ったことがなかったが、初めてテーブル席に。なんか、変な感じがして落ち着かない。
「好きなもん、ばしばし頼もうぜ」と呼びかけたが、O野は遠慮しているのか、積極的に頼まない。自分も若い頃は遠慮してたしな。この若者、自分の年齢のちょうど半分なのだ。ダブルスコアのおっさんをどう見ているのだろう。若者が遠慮しているとT根が、ばしばしとオーダーをしていく。
「ゴールデンチュウハイ」(250円)×3。
「マカロニサラダ」(130円)。
「なすしょうが」(130円)。
「チーズカリカリ」(150円)×2
などなど。
結局、O野は何一つオーダーしなかった。会社には今、3人ほど20代の若者がいるが、皆比較的おとなしい。彼も、訊かれたことだけしか、ほとんど答えなかった。
結局、「ゴールデンチュウハイ」は全部で10杯。自分とT根が4杯ずつ、O野が2杯。とりあえず、勘定は自分がもった。そういえば、一年くらい前、20代の当時新人と池袋の「坐唯庵」に連れていき、一気に大枚が飛んでいったことがあった。あの時に比べれば安いもんだ。でも、O野は満足したかな。
なんか、不完全燃焼で彼らと別れた。場所が悪かったのか、それとも飲み会事態があまり好きではないのか。一つ分かったのは、「晩杯屋」はたとえ座飲みでもグループ向きではないってことかな。
焼きとんとか他に無難にいい店も有るのに。
熊猫さんもそうでしたか。私も前職で諸先輩からそう言われ続けました。社会人3年経つまで後輩が入らず、ずーっと奢られっ放しで支払わせてくれなかったんですよ。
赤津加、かなり前に一度行きましたが、当時は大衆酒場が馴染まなかった私です。
ブクロの坐唯庵、これも赤津加と同じ時期に行きました。いい金額でしたが、料理は全く印象に残ってません。
当時は自分に合った居酒屋を模索していたんでしょうね。
斬新すぎですよ。先輩後輩という関係もさることながら、営業などで他社とのお付き合いもしたことないから、飲みニケーションのボキャブラリーが少ないです。
ジャンさん。
おっしゃる通り、若いのは飲み会は嫌いかもしれません。飲むのが好き!っていう若い男子をとんと見かけません。
自分もずっと奢られっぱなしです。ようやく最近です。奢るようになったのは。
「赤津加」、「坐唯庵」、ジャンさんも目まぐるしく酒場を巡っていたのですね。ひざげりさんもおっしゃっていましたが、安心できるという酒場が一番です。その点ではもう何軒もジャンさんがくつろげる酒場が見つかっていますね。そうありたいものです。
「坐唯庵」は好みの酒があるんです。「開運」の冷や詰めなのですが、これを関鯖で飲るのがたまりません。問題は金額なのですが。