「BBB」

BASEBALL馬鹿 BLOG

居酒屋さすらい 0654 - 本とグラスと氷の音と - 「PRONT IL BAR 八重洲地下店」(千代田区丸の内)

2013-06-24 17:52:28 | 居酒屋さすらい ◆東京都内
「待つのには慣れたけど、だけど得意にはなれない」
と歌ったのは誰だったか。
17歳の時分からこの歌詞がボクの頭にちらついている。

八重洲の地下街でビールを飲もうと「キリンシティ」を探したのだが、どうしても見つからない。
そんなことってきっと誰にでもあるんじゃないかと思う。
「確かこの辺にあったよな」と全く違う場所を探しているんだが、人の記憶なんてとても曖昧なのだと思う。
ボクはその時、「キリンシティ」は移転してしまったんだなと思い、喫茶店の「PRONT」が経営する「IL BAR」に入った。
ここならしばらく本を読みながら時間を潰せそうだと思った。

オアゾにある「IL BAR」は立ち飲みだが、ここは座りである。
カウンターに腰掛け、「ハイボール」を頼んだ。
そしておもむろに本を開きハイボールと一緒に読み始める。
「プラハのシュタイナー学校」という本のタイトルは今し方、恵比寿の有隣堂で購入してきたものだ。
ボクにとっては本が最大のおつまみ。

ハイボールにはミントの葉。
梅雨明けが待ち遠しい東京駅地下の風にこの清涼感は心地よい。

「ウィスキーはお好きでしょ」。
一抹の爽やかな風が吹いてくるように。
アイスピックで丹念に作られた氷がグラスに転がる、チリチリと強い炭酸が口元ではじける音が気持ちいい。
ボクだけの時間。

ページをめくる。
グラスの中の琥珀がカウンターの木目に溶けて、ハードカバーの風景を美しく彩る。

「ハイボール」をおかわりした。
暗がりでハイボールのグラスがキラリと光った。
ボクは本を閉じて、ドキドキする気持ちを抑えた。
そして、ハイボールのグラスを口に運びながら、こう呟く。
待つ時間も悪くないなって。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 居酒屋さすらい 0653 - THIS ... | トップ | ―――――――――――――――――――――――――――... »

コメントを投稿